10話 2枚抜き
『1階層ストラックアウトスタートッ!! 1セット目持ち球16で頑張っちゃってください!!』
「いよっしっ!! いっちょやったりますかっ――」
「「ジュウ?」」
うまうまな探索になったと思って、ややブルーな気持ちは一旦仕舞った俺。
そんで意気揚々と1階層に踏み込むと、数えきれないほどの電気アンマウスがくんずほぐれず、身体を鍛え、確かめ合っていた。
これはなんともおぞましい光景……。
何か隅に馴染めてないのとかいじめられてるのが数匹いて……そりゃ逃げ出したくなるよな。
可哀想に……ってちょっと嬉しそうにも見えるな。
まさか、あの1匹以降案外地上に来なかったのは……。
「……。……。……。これ以上お前らみたいのを増やしてたまるかよ!! 俺の素材場をいか臭くしやがってよお!!」
『――1球目投げたあああああっ!!』
ファイアボールを生み出して、俺はおもむろにそれを放り投げた。
あんまりにも敵の数が多いから、わざわざ狙いを決める必要もなくて……。
――パン!!
まずは1匹。
レベルアップしたこともあって速度はさらに上がっていて……アナウンスさん曰く、1200を越えているらしい。
そんなのが当たれば銃弾同様身体に穴を空けるのだっておかしくはないし、電気アンマウスの肉片が飛び散るのだって普通……。
「さらにそれが弾丸よりもかたーい魔力の塊だったら……」
――パン! パン!
「っしゃ! 2枚抜き!!」
そこそこな距離があっても前後で2匹の電気アンマウスから血飛沫が舞った。
どんだけ鍛えた腹筋でもこれを耐えることはできないのよな!
レベル100のモンスター群……楽勝か?
「――ジュウッ!!」
「ってそんなに簡単じゃないよな! まっず、俺防御力はまだまだなんすわ!」
いつの間にか背後に立っていた電気アンマウス。
それに手を思い切り掴まれると痛い、だけじゃなくて身体が痺れて、ぶるぶる震えて……そこら中が痙攣する。
「これ、気持ち悪いし……動きにくい!!」
今朝食った白米と味噌汁が逆流しそう……こいつら、ただのキモくてエロいモンスターじゃなかったのかよ。
「――お前たち!! 旦那様から離れろおおおおおおおおおお!!」
「「ジュウ!?」」
他の電気アンマウスを相手にしていたのか、少し離れたところにいたインドラがついに吠えた。
そしてその手を地面に当てると、電気アンマウスたちはふわふわと宙を舞い、くっつき始める。
「旦那様大丈夫か!?」
「あ、ああ! 助かった! ありがとう!!」
「……ふ、うふふふふ!! こ、これくらい旦那様のためならなんてことないぞ!よし、このまま電気を流して爆発させてやろうか!! ぐ、ぬぬぬぬぬ……」
インドラの美人顔に青筋が現れて、本当に怖い。
でも、そんなに頑張っているのに電気アンマウスはぶるぶる震えるだけでなんのその。
流石に電気がついた名前なだけあると……。
こいつら、やっぱ強……。
「ん?」
拘束から解かれた俺はここであることに気づく。
電気アンマウスのやつ、これだけの電撃を浴びているのに思ったよりも身体の周りに電気を纏っている様子がない。
それどころかそれをその尻尾の先に集めて、そこから身体にゆっくり流している。
これ、あれだ。
家電のプラグとコードに似てる。
あの尻尾によって安全な分だけ身体に取り込んで、ある程度発散させてるんだ。
だからあの電撃の威力を最小限にできている……。
「なら……それが焼かれたりぼろくなったらどうなるんのかな? インドラ!! あの尻尾を下に向けさせてくれ!!」




