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異世界ミリタリーもので見られる。銃の怖さが広まっているハズの世界で銃を持つ転移者にイキって突進してくる異世界の現地の人の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/02/04

「コウキ様、決闘をお願いします。ええ、片方消しです。どちらかが死ぬか、瀕死になるまで戦います」


 と言うと、客人の異世界人、コウキ・ヤマムラはその太った体を揺らして大笑いをした。

 俺はマーク、この家門の騎士だ。


「プシュー、ブ~クスクスクスクス~~。馬鹿でござる。こちらは銃を持っているでござるよ!」



 そして、俺の主人、伯爵殿に確認する。


「伯爵殿、良いですね。コウキを殺したら、お嬢様とコウキの婚約を無しにして、俺をお嬢様の護衛騎士に戻して下さること」


 伯爵はやれやれと言った顔をして、言い放った。


「マークよ。気持は分かるが、コウキ殿の持つ異世界の武器は貴重なのだよ・・・・騎士100人でもかなうまい」


「いえ、ジュウなど張り子のトラです。騎士にはかないません」


 伯爵殿はフウとため息をついた。


「ギャハハハハ、イキリお仕置きイベントなり!」


 お嬢様は手を組んで俺を見る。


 お嬢様は貴族の娘だ。政略結婚も覚悟されていたが、コウキはあろうことか、お嬢様を伯爵令嬢だからと軽んじる。


『最低、公爵令嬢でござる。これが定番でござる~、伯爵令嬢は・・・困るなり』



 異世界転移して着の身着のままの奴を保護したハーケン伯爵家を軽んじる。


「よいでござるよ。一秒で終わらせるなり。拙者の下働きでイキリ騎士を成敗するテンプレなり!」

 とまたワケの分からないことを言う・・


 下働き。

 そう、俺はハーケン伯爵家一番の騎士であったが、奴が来てからその場を奪われ、お嬢様の隣も奪われた・・・


 奴の下働きをすることになった。



 だからだ。下働きだから奴の弱点が分かったのだ。




 ☆☆☆回想



 来た当初、俺はコウキの指導係だった。この世界の常識を教え。立派なジュウ騎士にせよと伯爵から命令を受けた。




「コウキ殿、訓練をして下さい」

「え~、僕のはインステェンクト射撃だから必要ないの。訓練したら本能が落ちるなり。ほら、ゼノン大佐も当たれば良いと言っていたよ」


「ゼノン大佐とは?」

「アニメ名作、無頼突撃ブラザーズだよって知らないか?」




 奴は一日中食べては寝てを繰り返している。

 異世界では高等遊民だったらしく太っている。


 恐らく貴人階級なのだろう。



 奴の異世界の武器は『ジュウ』だ。

 簡単に言うと鋼で出来た魔道具だ。


 鉄のツブテを飛ばす兵器である。



 旦那様は大喜びだ。ご令嬢のロッテ様の婚約者に指定された・・・



「マークよ。コウキ殿はどうだ?」

「それが簡単な運動もしません・・」


「うほー、令嬢だ。ツインテールにして」

「コウキ様、ツインテール・・・とは」

「そうだ。エスコートしてやる」

「キャア!まだ、婚約者ではございませんわ」


「うん。伯爵令嬢だものな。ゴールは公爵令嬢か・・・」



 かなり失礼な奴だ。しかし、上がやれと言えばやるのが騎士の仕事だ。



「なあ。本当はマークが当家最強の騎士なのにな」

「お嬢様の護衛騎士だったのに・・」

「それほど、ジュウは強力なのさ」


 仲間の噂話は嘘ではない。俺は・・・・



 やがて、俺はコウキの侍従のような扱いを受けた。

 普段なら俺が領地に出た魔物を討伐するのに、コウキに出番を失われた。


 いや、それも良い。領地が助かるのなら・・・


 しかし、奴のジュウがさび付いて来た。

 カチャ!カチャ!


「ジャムったなり!」

「コウキ殿を援護しろ!」


 度々加勢をすることになった。


 原因は整備不良だ。


「コウキ殿、ジュウの整備はされないのですか?」

「銃チャンネルでは全バラシは危険なり。業者に依頼するなりと言っていたなり。マーク、頼むなり」


「はあ・・・」


 戦士は自分の武器を整備する。異世界では違うのか?


 ドワーフ工房に依頼した。


「これがジュウです・・・整備お願いします」

「どれ、どれ・・・う~ん。な、何だ!」


 バン!


 鉄礫が発射された。天井に穴が空いた。

 危険だから、あの弾の箱、マガジンというものを外してもらったのに・・


「危ないだろうが!」

「面目次第もありません・・・」


 後の調査で、マガジンを外してもジュウの中に一発は入るらしい。

 度々、コウキに注意してもそれは怠った。


 おかげで弾が手に入った。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・



 意識が決闘の場面に移った。



 俺の武器はノミ一個だ。

 それを見て、コウキは笑う。


「ギャハハハハハ、早く終わるなり!」

「距離は50メートルでいいか?」

「うん、もっと近くでよいなり。その度胸があればなり」


 お言葉に甘えて20メートルまで近づいた。



 俺はあれからドワーフ工房に入り浸った。





 ☆☆☆回想


 ジュウの分解に成功したドワーフの親方は興奮している。


「これは・・・全ての部品があるだけでしっかり納まっている。すごい技術だ・・・」

「そうなのか?」


「ああ、大きさだけで納まっている。必要ない物はない。強いて言えば、ジュウを覆うこの覆筒というべきものだろう・・・いや、それすらも、砂やホコリから守るために必要だろう」


「親方、クリーン魔法ではだめなのか?」

「ダメだな。ジュウの弱点は一回使う毎に黒いススが覆う。それが粘着して部品の連動を悪くする。ジャムるとはその状態だろう」


「親方?同じ物を作れるか?」

「無理だ・・・な」





 ・・・・・・・・・・・・



「決闘開始!」


 決闘が始まった。

 ドワーフの分解から、分かったことはマガジン内の鉄礫は30発、連発で打てばあっとう間になくなるのだろうとのことだ。


 そして、重さは弾を入れれば4キロぐらい。


 意外なことに、コウキの動作は遅い。


 俺はジュウを持ち繰り返し練習をした。コウキの真似をしたのだ。


 ジュウを構える。狙う。撃つ。


 すると分かって来た。コウキの命中率は悪い。5メートル先の魔物にも当たらないことがあった。


 だから、最近は連射ばかりをしていたのだな。



 俺は決闘が始まったら、身体強化魔法を使い一瞬で間合を詰め・・・



「ヒィ、なんなり!」


 ダダダダーとジュウは明後日の方向を向いて火を吐いた。

 俺が銃口を皆のいない方向に向けたのだ。


 これで全弾を撃ったか。


 足払いをかけ。地面に伏させた。


 さあ、殺すか・・

「助けてなり。拙者は異世界転生してから頑張るなり!死ぬの嫌なり!何でも言うことを聞くなり・・」



 そうか、こいつも好きで転移してきたのではないか・・・

 その一瞬、奴は腰から小型のジュウを取った。


 バン!バン!


「ウゲ・・」

 腹部に一発は貫通した・・・・


 だがしかし、俺にも隠し球はあるのだ。


 実は手の中に奴が取り忘れた弾がある・・・

 その弾は・・・


 ドワーフの親方が解明してくれた。





 ☆☆☆回想


「たまげたよ。ジュウとは、ただ、この大きな針のようなもので鉄礫の後ろを叩く。それだけで高速で発射している」


「へえ、それじゃ、ジュウとはハンマーとノミか?」




 ・・・・・・




 コツンと俺は手にしたノミで右の手の平に隠し持っていた鉄礫の後方を叩いた。


 バン!


 発射した。手の平が熱い。火傷は覚悟の上だ。


「プシュ~~~~!ママ~~!」


 奴の胸に穴が空いた。シュー、シュー呼吸音が漏れている。


 俺は立ち上がり。勝ち名乗りをあげる。


「俺の勝ちだ!これで、お嬢様とこいつの婚約は取り消しだ!」


 奴が死ぬのを確認して俺も倒れた。



「マーク!」

「・・・お嬢様・・・」

「今、回復魔法師を呼びます。お父様、異世界人1体より忠義の家臣団ですわ!マーク!私を守りなさい!一生よ!」


「あれ、お嬢様、どこ?目の前が暗くなっていく・・・」



 目が冷めたら医務室だった。

 伯爵殿が大金をはたいて回復術士を呼んでくれたそうだ。


「マーク!」

「お嬢様・・・痛いです・・」

「キャア、ごめんなさい」


 お嬢様に火傷した右手首を握られていた。

 これからもお嬢様を守りたいと思う・・




 ・・・・自衛隊・米軍において、10メートルから30メートル先から銃手に向かって人を走らせ。銃手はその間に構えて、狙い。空で撃つ。訓練をしている。


 現代戦においても向かって来る敵にふいをつかれ。格闘戦になる想定は例外とは言えないレベルで発生しているらしい。


 マークが考察のすえに同じ戦法を採ったことは皆知らない。重要な記憶として記録されることになる。


最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
そもそも銃って数揃えて初めて意味を成す武器だからな、伯爵も取り込んだ後奪ってバラして調べて量産する腹づもりだった可能性のほうが高いと思うんだよな。ドワーフの親方も現代の銃の胆が薬莢の方にあると気づいて…
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