EPISODE4. 朝日が昇る頃2人は、
昨日の出来事から一夜明けて、今日も朝日が昇った。
北海道の春は遅い。桜が満開になるのは、例年ゴールデンウィークあたりで、4月初頭はまだ最高気温が10度に満たない日も普通にある。普通、もう少し南の方の都府県だと桜の満開が卒業シーズンや入学シーズンに被って、満開の桜を見て新学期の実感が湧くということが多いだろう。だが、北海道のこの時期はまだ路肩に雪が残っており、しかもその雪は車が出す排気のせいで黒く汚い。我々北海道民は、辺り一面を埋めつくしていた白い雪が溶け、だいぶ地面が見えてきて残すは路肩の汚い雪のみという状況で新学期の訪れを実感するのである。
つまり、北海道の4月の朝は寒い!
という訳で、時刻は6:30。響詩也、音色奏、この二人は昨日、一緒に学校に行こうという約束をていた。昨日の1件で学校に通うことを決心した音色奏の初登校が心配な響詩也が一緒に行かないかと提案したのであった。もちろん当の本人、音色奏もかなり不安に思っているので快諾したのだ。だが、2人はまだ夢の中にいるのである…
いや、否!!!!!!本当は起きているのだが、寒さ、そして不安が彼らを布団の中にいさせるのであった!!!!
___詩也の朝。
6:30。いつも僕は7:00にアラームをセットしているが、今日は音色さんが初めて登校するということでいつもより早めにアラームをセットしたのであった。が、それがいけなかった。寒い+いつもより早い=起きたくない!この方程式が成立してしまったのである。よくある、宿題終わってないけど明日早起きしてやれば間に合うし寝ちゃおう!もこの式によって引き起こされるものである。
ダメだ、今日は記念すべき音色さんの初登校の日なんだ。早めに起きて準備しないと…早めに…はや…は…
7:00。いつもの響家の起床は、詩也のスマホのアラームにかかっていた。詩也が自分のアラームで起き、その後詩也が家族を起こし周っているのであった。だがしかし!本日、詩也が6:30にアラームをセットし、すぐに止め再びに眠りについてしまったため、起こし役がいないのであった!
故に、現在響家、全員夢の中!!!
7:30。詩也、起床。
ん…今何時だ…?
「うわぁぁぁぁぁ!!!???もう30分過ぎてるんじゃんか!!!間に合わねえよおおお!!!!」
6:30にアラームかけたはずなのに、なんで鳴らなかったんだ?確実にセットしたはずだったんだけど、どうしてだろう…←あるある。二度寝前に寝ぼけてアラームを止めた記憶は何故か抹消されるのである(重要!)
とりあえず急いで準備しないと!急げばまだ集合の8時に間に合う!
「ママー!起きてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
7:50。詩也、朝を抜き、爆速で準備をする。不足のアクシデント(1.母、全く起きないため朝食なし。2.突如訪れた腹痛。)により、朝を食べる時間がなくなってしまったのである。
くそ、これじゃあ8時に間に合わない。ちょっと遅れるかもって音色さんに連絡…あ!!!
詩也は、奏の連絡先を聞いていなかった。
___奏の朝。
6:30。今日は初めて高校に通う日。女子高校生の朝は早い。寝癖も直さないといけないし、スキンケアもしなきゃいけないし、やることが多すぎるんだよね。朝のこの感じも中学生ぶり。懐かしいな。
学校。馴染めるかな。響くん昨日、奏なら大丈夫って言ってくれたけど、それでも昨日の夜は不安で全然寝れなかったな…うぅ、寒いしまだ眠い。もう少し寝てt…
「かなでちゃん!!!!もう朝だよ!!!!起きないと遅刻しちゃうよ!!!???」(本当は優しく呼んでるが寝起きのため怒り混じりに聞こえるのである。)
寝起きの奏の頭に鋭く響くおばちゃんの声。なんで寝起きってなんでもないような音でも頭に響くんだろう。
「はーい!わかったー!起きるねー!」
初日から遅刻する訳にはいかないし、起きよう!
…ってあれ?体が動かない!?なんで!?眠くて体が動かない!布団の外寒いし!学校行かなきゃいけないのに…でも、もう1日だけ休んでも、いい、よね…
6:35。音色奏、二度寝。
(6:30 現実ver.)
「かなでちゃん?もう朝だよ?起きないと遅刻しちゃうよ?」
「はぁぃわかっtおきrn……」
7:40。音色奏、二度寝より帰還。
「かなでちゃん!もう遅刻しても知らないからね!」(今度は本当に怒り混じりである。)
やばい、奏二度寝しちゃって…7:40!?
あああああああもう!なんで二度寝なんてしちゃったんだろう。8:00に響くんと約束してるのに絶対間に合わないよ…寝癖も直さないと行けないしスキンケアしないとお肌も荒れちゃうしどうしよう…そうだ、ちょっと遅れちゃうかもって響くんに連絡すれば…あ!
奏は、詩也の連絡先を聞いていなかった。
___そして、8:00を迎えた頃2人は…
まだ出会っていなかった!果たして、奏の初登校の日、2人は遅刻せず無事に登校出来るのか!