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第1話⑤

ざわつく会場で、ジャックは自分に銃を突き付ける男を見ていました。会場が暗くなった瞬間、近くにいたボディーガードが一瞬で倒されてしまい、抵抗しようと思いましたが、パーティーの参加者に危険が及ぶと思い大人しく捕まるしかありませんでした。


「ティーチ……」

「久しぶりだなジャック……!!」


ティーチはジャックが15年前に倒した男でした。懐かしさなど微塵もありません。できればもう二度と会うことはないと思っていたんですから。


「あの時俺を逃がしたのがお前の運の尽きだったな」

「なぜここにいる……」

「そりゃ、この星を奪うためだよ。雇い主に頼まれてな!」

「まさかっ!!」


ジャックが後ろを見ると、そこには15年前に自分が王位を奪ったはずのシャルルの姿がありました。眠そうな目、堕落した体。その後ろにはレオパードの姿もありました。


「よくやったティーチ」

「ティーチ、こいつとはもう関わるなと言ったはずだ。なぜお前のような男がこんな奴に従う……!!」

「俺はお前を倒せれば、一度捨てられた飼い主にも尻尾を振るのさ」


壇上に上がったシャルルが、マイクの前に立ち話始めました。


「うぉっほん!!皆、久しぶりだな。余だ、シャルルだ」


自信満々なシャルルに、パーティーの参加者たちは嫌悪感を感じていました。当然です。このシャルルという男は、この国を腐らせた張本人だったからです。彼の長い話の代わりに、彼が行っていた悪行を話しましょう。


シャルルが王になったのは30年前。

当時家庭教師だったレオパードと結託し、父である先代の国王を嘘の罪で国外追放し、その座に就きました。それが最初の悪行。

次の悪行は王になってから。国民から税金を多く取り立て、自分は贅沢三昧。足らなくなったら搾り取る。国民の暮らしなど考えていなかったのです。

さらに、搾り取れなくなると今度は自分の惑星以外の星に頼るようになりました。当時交流のあった星に、食べ物や資源、技術を高く売り、その分国民を働かせました。当時アクエリアスでしか取れなかったノアメタルも例外ではありません。ジャックが王様になる頃には、すでに埋設量の90%以上が他の星に売られていたことがわかりました。

極めつけは、アクエリアスの技術を利用した兵器開発です。他の星を脅す材料にしたり、兵器を高く買ってくれる星に売ったりと、アクエリアスは一時期、兵器工場と呼ばれた時期もありました。

当然、国民も黙っていません。何度もシャルルから王位を奪おうとしました。ですが、時には嘘を吐き、時には一時的な平穏を与え、最後には宇宙海賊を使って星を支配したシャルルに、誰も逆らえなくなっていたのです。


「15年前に旅芸人と偽ってやって来たこの海賊に星を奪われてから、余の人生は一変した!川の水を飲み、味のないパンを食い、労働をするという耐え難い屈辱を味わった。余は王であるぞ!だから今日、アクエリアスの正統な血筋である余が、再びこの星を治めるためにわざわざ帰って来たのだ。喜べ、再び余のために働くことを。貴様ら知恵のない人間を、王である余が生かしてやるのだ!!」


レオパードの拍手のみが会場に響きました。


「手始めに、この大罪人である海賊、ジャックの処刑を行う。余から全てを奪った男の死をもって、王位を余のもとに取り戻すのだ!」


シャルルは顎でティーチを呼びました。そしてジャックは背中に銃を突き付けられたままマイクの前まで連れてこられました。


「大罪人とは言えど、最後に言葉を残す位は許してやろう。さぁ言え」


ジャックはとても悲しそうな顔をしていました。


「すまんみんな。俺は15年しかみんなに平和な日々を過ごさせてやれなかった……。裏切ると思っていたレオパードの行動が早すぎた……」

「私はあなたと違って、仕事は早くするんですよ元王様!」

「じゃあここで、次の王を皆に紹介しよう。少しの間みんな大変だと思うが、みんななら大丈夫だと思う……。頼んだぞ」


するとジャックは、体を大きく広げ会場中の空気を吸い込みそうな勢いで息を吸い、マイクが壊れるほどの大声で、最後の言葉を発しました。


「次の王は息子のブルーノだ!!!!!みんなで王を守れ、『プランZ』発動!!!!!!!!」

「アイアイキャプテン!!!!」


ジャックの声に、1人のロボットが答えました。シャルルが声のする方を見ると、眼帯をした黒いロボットが机の上に立ち、今まさに黒い帽子を被ろうとしていました。


「き、貴様は……ロバーツ!!!」

「おうバカ王、久しぶりだな。どうやって戻ってきたか話は山ほどしたいんだが、キャプテンの命令は絶対なんでな。さぁみんな、プランZだ!急いで逃げるぞ!」

『アイアイ副キャプテン!!!!!』


こうして、パーティー参加者の大移動が始まりました。




次回予告


プランZが発令された。城の中を走るブルーノ達に追っ手が迫る。弱気になっているブルーノにロバーツは檄を飛ばす。そして、ロバーツの船に乗ったブルーノはそこで新キャプテンに指名される。キャプテン?僕が?新キャプテンの声に応えた船は、ロボットへと姿を変える。さぁ、追っ手を倒せ、キャプテンロバーツ!

次回、王国の友機レクス・ロバーツ、第2話「王子の決意」!!

宇宙は、蒼い海よりずっと広い!!

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