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第6話 掲示板①

6話目です。


【鋼鉄城】SOY総合スレNO・15【くっそ硬ぇ】


001:かふぇいん

 シード・オブ・ユグドラシルの情報を交換しましょう! 雑談もどんと来いですが、荒らしは止めましょう。

 因みにSOYはシード・オブ・ユグドラシルの略称です。世界樹の種は大豆だった?

 次スレ>>900でオナシャス!


―――――――


024:ドリフ

 むぎぃー!! “鋼鉄城”が倒せねぇー!!


025:あんきも

 え、ドリフさん性懲りもなく“鋼鉄城”に挑んでるんですか?


026:グロス

 あの状態異常耐性ガン積みの移動要塞倒せる奴はいねぇだろ。


027:パンプキン

 >>24何すか“鋼鉄城”って?


028:ドリフ

 >>27“鋼鉄城”ドラグライト。

 前回の大型アップデートで追加された新要素“ユニークモンスター”の内の一匹だよ。

 まぁ、“摩天楼”とか“月光蝶”に比べりゃちょっとマイナーかもしれんが、そこそこ有名だよ。


029:かふぇいん

 現在確認されてる“鋼鉄城”ドラグライトの状態異常耐性スキルは、【猛毒耐性】【混乱耐性】【石化耐性】【盲目耐性】【呪術耐性】【麻痺耐性】【硬直耐性】【軟化耐性】【炎熱耐性】【氷結耐性】【帯電耐性】【泥土耐性】、それに加えて攻撃スキルが【衝撃装甲リアクティブアーマー】【火焔弾】【火焔熱線】とか、もう、ね……。

 しかもこれ以上に未確認の耐性スキルがあるっぽいとか、ね……。


030:パンプキン

 >>28ありがとうございます。

 >>29うわぁ……。


031:かふぇいん

 本当、ユニークモンスターはバランスブレイカーばっかりだよ。

 何て言うか、運営くたばんねぇカナァ(遠い目)


032:タタラ

 草www


033:サカマキ

 ウィッスウィッス。

 適度に地獄絵図な所悪いがこちらを見てくれんか? 【動画1】


034:モロモロ

 >>33ZAPZAPZAP。

 PKさんは帰ってどうぞ。


035:サカマキ

 悲しい事言ってくれるなや、とにかく動画見てって。


036:あんきも

 ……何じゃこりゃ。


037:タタラ

 えらい別嬪さんがPK三人を返り討ちにしよったwww


038:グロス

 何処よここ? 女の方は誰?


039:サカマキ

 女性プレイヤーはノービス。

 びっくりする程石投げんの上手い。


040:ドリフ

 本当だ。随分と正確に投げるな。

 つーか、レイピア刺しただけで剣使いが死んだぞ? 何だあの武器。


041:モロモロ

 ん!? 何か爆発したぞ!?


042:かふぇいん

 ノービスさんのスキルですかねぇ? HPを全損させてからしゃがみ込んで何かしてましたし。【爆弾作成】か【死霊術】でしょうか。


043:タタラ

 致死クラスの攻撃を受けて死体を爆弾にされる……あれ、初心者にはまるで見えないんですけど。


044:ミタマ

 おっとぉ、これはこれは……。


045:サカマキ

 な? 殺られたのは俺のギルメンの中でもヒラの奴だから別にいいんだけどよ。


046:グロス

 ここイワン周辺の草原だよな。

 ……ちょっとイワン行って来る。


047:ドリフ

 俺も。


048:サカマキ

 俺も。


049:シェイカー

 僕も。


050:あんきも

 ちょ、“灰燼”!?



◇◇◇◇◇



 病院で出される朝食を食べながら、双葉は医者の話を聞いていた。

 因みに、朝食は梅肉を乗せたお粥である。

 食欲が涌かなくても食べられる様になっており、実際に双葉も食べる事は出来たのだがいかんせん病人食なので味が薄く感じる。


「味が薄く感じるわ。以前はそこまででも無かったのだけれど」


「それは双葉さんが健康な証だよ。病院暮らしとは言え、やはり二十代が味の薄い物を好むのはいかんよ。個人的な意見ではあるがね」


 気落ちした様子で朝食を食べる双葉を笑いながら眺める四十過ぎの医者に双葉は目を向ける。


「それで、今日はどういったご用件で?」


 そう尋ねる双葉に医者は軽くこう言った。


「君の足を直す目処が立った」



「嘘おっしゃい」


 そう間髪入れずに返した双葉に対し、医者は酷く驚いた様だった。


「何故嘘だと?」


「最初に『君の足が治る事は無い』と言ったのは貴方でしょう?」


 双葉はずっと覚えていたのだ。

 下半身不随を言い渡されたあの日の絶望を。


「確かに、私はあの日そう言った。しかし、私はその後こうも言った筈だ。『それは現時点での話、未来に向けて私は全力で解決策を見出だそう』とも、ね」


 確かにそうも言っていた、しかし、あの時は何もかもが薄っぺらい慰めに聞こえていたのだ。

 『大丈夫だから』『元気を出して』『きっと何とかなる』と無責任に言い放つ人達に何度激情を顕にした事か。

 ――その様な感傷で私の足は戻らない、と。


 医者は口を閉ざした双葉に「それに」と続ける。


「治す見込みが無いのなら、双葉さんの足をそのままにしている筈が無いだろう? 本当に治せなければ、今頃双葉さんには義足を付けてリハビリを行って貰ってるよ」


 希望が無ければとっくの昔に双葉の両足を切り落としていた、と医者が暗に言っている事を理解した。

 実際、何故双葉が病院で二年間も過ごせているのかは疑問に思っていたのだ。

 両足以外は何等重傷を負ってはいないと言うのに。


「……そう、ですか」


 小さく呟いた双葉に医者は大きく頷いた。


「……おや、もうこんな時間だ。双葉さん、決断を急ぐ訳じゃない、自分の中で折り合いを付けておくと良い。今日は可能性の話をしに来ただけだから」


 安静にね、と言い残し医者は扉の向こうへ消えて行った。

 双葉一人を残して。



次回、再会。

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