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シード・オブ・ユグドラシル~幸運極振り死神さんは、確定必中即死使い~  作者: 砂場の黒兎
骸霊騎と釣天秤 The Chariot and catedralia
38/40

第30話 油断大敵は心に刻むべき。

一ヶ月くらい先に纏めて連投しようと思ったけどいい加減時間が空きすぎたので投稿。本当に申し訳ない。

ともあれ30話目。



 トリスの家を後にしたノービスは子狼を連れて通用門から外に出ようとしたのだが、幾ら住人達の常識の埒外に存在する異邦人であろうとモンスターを連れ歩くという行為は看過されなかったようで。


「懐いている様なので別に殺せとまでは言いませんがせめてテイムしてから連れ回して下さい」


 とはアルバの談だ。一番にノービスを見つけたのが知人の彼で助かった。

 アルバによれば【テイム】のスキルを持った状態で自分に懐いた対象に名前を付ければテイムが成功するとの事なので早速名付けを行う事にする。


「貴方は……」


 黒曜石の様に輝く瞳と、親から受け継いだのだろう漆の様な黒毛から、黒に因んだ名を付けようとは思うが……。


「あまり凝った名前も嫌よねぇ?」


 同意を求めるように問い掛けるも返事が返る事は無く子狼は首を傾げる。もう単純にクロで良いかと思ったノービスの脳裏に誰かの声が響いた。


 ――アーテル。


 これぞ天啓とばかりにそれっぽい名前が浮かんだので子狼の名を謎の声が示すままに定める。


「貴方は今日から“アーテル”、これから宜しくね?」


「■■ァ!」


 “白昼夢”に比べれば幾分か聞き取りやすい声で子狼――アーテルは歓喜の鳴き声を出す。契約は履行され、アーテルは正式にノービスのテイムモンスターと世界から認められた。現在のノービスのステータスは次の通りだ。



◇――◇――◇――◇



PN:ノービス

LV:60

職業:星屑細剣士


HP:210/210

MP:210/210


STR:0

CON:0

DEX:0

AGI:0(+20+8)

INT:0

MIN:0

LUK:1040(+100+20+100)


スキル:所有数12

【投擲ⅡLV.16】

【幸運上昇LV.10】

【強運LV.10】

【危険感知LV.10】

【死神の接触LV.10】

【死霊術LV.10】

【鑑定LV.10】

【テイム:ファントムウルフLV.1】

【細剣術LV.10】

【健脚LV.10】

【韋駄天LV.4】

【ファルカトラ流細剣術LV.7】


EXスキル【死線デッドライン

【――――】


アビリティ:【白霧の導き】【流星の瞬き】


武器:穿孔鉄の細剣・ディアーホーンスリングショット

上半身:白鉄の鎖帷子・クロード鋼の部分鎧・砂塵核の籠手

下半身:白鉄糸のスカート・クロード鋼の脚甲

装飾:砂塵のスカーフ・迷彩トカゲの外套・刺突の指輪・流星雨のペンダント・黄金色のタリスマン


◇――◇――◇――◇



 ついに幸運の値が素の状態で1000の大台に乗った。強運を発動すれば(1040+100+20+100)×3で最終的に3780となる。もう慣れた。

 変化した点は大体のアクティブスキルが最大レベルとなり、【投擲Ⅱ】がレベル16に。【テイム】の欄が埋まりアーテルの種族名が“ファントムウルフ”と判明。そして最も気になるEXスキル【死線】が開放された事か。並び順的に【死線】の一つ下もEXスキルだろう。

 以前ミタマのステータスを見た時にもあったEXスキル、通常のスキルとは異なる事は分かるがどこがどう違うのかは分からないのでそれもシェイカーに聞けば答えてくれるだろうか。

 後“白昼夢”の経験値でまたもや総合レベルが成長限界に達していたのでいずれ神殿に赴かねばなるまい。


 それにしてもあの瞬間で天啓が降りてきて助かった。そう能天気に考えていたノービスは無意識に首筋へと手を這わす。


 そこには、決して小さくは無い黒狼のタトゥーが僅かに熱を持っていた。



◇◇◇◇◇



 新たにアーテルの名を受けた子狼を連れて平民街を歩くノービスは工房連合があるエリアに向かっていた。対“白昼夢”戦のリザルトで得た様々なアイテムを元に武器や防具を作って貰おうと思っていた。

 のだが。


「あ、もしかしてノービスさんですか?」


 クロガネの工房に先客が来ていた。自分の名前を呼んだその女性プレイヤーは純白の布をふんだんに使用したのだろう真白の修道服を纏い、銀色の長髪と瞳を輝かせこちらを見ていた。

 本人から細かい外見を予め聞いていたとはいえ思っていた以上のクオリティにしばし閉口。


「……もしかしなくても美――じゃなくてセフィラさんよね?」


「はい!」


 屈託のない笑みを浮かべるセフィラ、顔は違えどその姿は現実世界での美香の笑顔とよく似ていた。

 ともあれ渡す手間が省けたのは素直に助かった。もう既にセフィラがエリアボスの鹿を討伐済みと聞いたので記念に何らかの武器をクロガネに作って貰う約束をしていたのだ。

 随分と上から目線になってしまう気もするが自分もシェイカーに同じ事をして貰ったので今度は自分が、と思っていたのだが。


「随分と豪華な装備な気がするんだけど」


「あ、この服ですか? ギルドメンバーの方々が作ってくれたんですよ、素敵ですよねー」


「かなりレア物に見えるわね……これじゃあ私のプレゼントが霞んでしまいそうで心配だけども受け取ってくれると嬉しいわ」


 ノービスがしようとしていた事は既に別の人物の手で行われていた様だ。まぁ自分のプレゼントも相応に役に立つ筈だと思い直し、ノービスはクロガネに目を向ける。

 視線を受けたクロガネが頷き、工房の奥から先端に桜色の丸い石がはめ込まれた一振りの金属杖を持ってきた。約一メートル程の大きさで両手持ちを前提として作られてはいるが軽量化システムがあるのでその気になれば片手で振り回すことも可能ではある。そしてつぎ込んだ素材の中に「MPを通わす事で重量を調節出来る」機能を持つクロード鉱石を入れている為、その気になれば杖を振り下ろすタイミングでMPを消費すれば半端な殴打武器よりもよっぽど高い破壊力を出す事が出来る。

 最小限の装飾しか施されていない、ともすれば唯の殴打武器に見えるそれをセフィラは目を輝かせて見詰めていた。


「魔術師が使うような所謂ワンドからは程遠いが、代わりに接近戦に特化した作りにした。ノービスが持ってきた素材が素材だったから魔法杖なんかよりメイスとして作った方が強いと判断して作ったが、先端の宝玉は別だ。魔力の貯蔵が可能な桜玉のマジックオーブっつうアイテムを組み込んだんだが、魔力を溜め込んで自在に取り出す力を引き出して一時的な魔力タンクとして使えるようにしておいた。更にうちの【エンチャンター】が【魔法保存】の効果を付与したからどんな魔法でも一つだけ保存出来る、オーブに溜め込んだ魔力を使えば詠唱時間抜きで即座に使えるって言う寸法だ。金はノービス持ちだから気にしないでいい」


 かなりの力作に仕上がったのかこの杖の性能を事細かに喋りだすクロガネ。その言葉に耳を傾けていたセフィラは驚いたように言った。


「こんな凄い杖貰っていいんですか!?」


「えぇ、そのつもりでクロガネに作って貰った訳だし。構わないわよ、構わないのだけど……これ、幾ら?」


「まぁ20万は貰わないと割りに合わんな」


 ヒュー、今日からイベント当日まで金策しないときついぜ。

 取り敢えず今渡せるだけの金をクロガネに支払い、ノービスはセフィラと共にクロガネの工房を出た。

 背後からクロガネの「俺達の武器を使って王都を守ってくれよ」という声が聞こえたが金策の為に王都の周辺を駆け回るので自然にモンスターは数を減らすだろうからわざわざ言わなくても心配は要らない。些細な違和感はあったが特に気にせずセフィラと会話する。

 ノービスは一つ気になった事をセフィラに尋ねる。


「さっきギルドメンバーがそれをくれたって言ってたわよね、もうどこのギルドに入るか決めてたのね」


 出来れば彼女も《ヴァルハラ》に誘おうと思っていたのだが先にセフィラが他のギルドに加入していたのであれば話は別だ。物扱いの様な表現になるが、こういったグループへの勧誘は言ってしまえば早い者勝ちだ。彼女の意思や彼女が入ったギルドの意思を曲げてまで自分のギルドに入れるべきではない。

 などと考えていたノービスにセフィラが一つ間違いを正す。


「あ、既存のギルドに入ったんじゃなくて私がギルドを作りました」


「……何ですって?」


 こんな至近距離で言われたのだから聞き間違いなど起ころう筈も無い。だが、それでも反射的に何かの間違いではないのかと疑ってしまう程度にはセフィラの発言は衝撃的だった。


 既存ギルドへの加入はノービスが行ったようにゲーム開始時点で可能となるが、ギルドを自分の手で作るには幾つか条件があった筈だ。五人以上の仲間と一定値以上の信頼度の獲得、ついでに規模に関わらず一拠点の確保がスタンダードなギルドを作る場合の条件になるが、最初からギルドを作るつもりでいたのなら突破できて当たり前の条件ではある。

 だが、セフィラ――というか美香は友人と共にこのゲームをやるという様な事は言っていなかった。住人達からの信頼度の獲得もそうだが、セフィラはどうやってギルドメンバーを集めたというのか。


「セフィラー!」


 脳裏に幾つもの疑問が駆け巡る最中、通りの向こうからセフィラを呼ぶ男の声が聞こえた。誰かとセフィラを見ると、ノービスの思考を察したセフィラが応える。


「今私を呼んだのが私のギルド【死なずの黒猫アンデス・キャット】のサブギルドマスター、アイザックさんです。実はアイザックさん、以前大規模ギルドのギルドマスターだったらしいんですけどちょっとした諍いでバラバラに分裂しちゃいまして……」


「それは……何というか、よくある事なのかしら?」


「アイザックさんは『あんなこと良くあって堪るか』って言ってましたけど。で、そのアイザックさん達なんですけど高レベルのプレイヤーの筈なのに最初の森林フィールドで何故か倒れてたのでスキルで蘇生してあげたら凄い感謝してくれて、それで何か出来る事はあるかって言ってくれたんです。なので私がギルドを作りたいって言ったら直ぐに準備してくれて……」


 ……ん、今蘇生と言ったのか? いや、店で売っている蘇生ポーションがあれば誰でも蘇生は可能だ、事実ノービスもトリス相手に同じ事をしている。だが、それはそこそこ稼いでいたPK三人組から根こそぎ奪取した物資を売り払って出来た金でようやく一、二本購入出来た代物だ。生き返る事が可能と考えれば破格の値ではあるのだが、それでも始めたばかりの者にとっては手が届かない程には高額だ。


「なるほど、それで自分のギルドを作りたいって言ったのね。でもなんで自分でギルドを作ろうと思ったの?」


「いやぁノービスさんとこのギルドに入ろうかなとも思ったんですけどランカー帯のギルドってスケジュール管理が大変で……だったら自分達でゆるく運営していけば楽しいかなって」


 何故ギルドを作ったのかという問いにぼかした答えを返し、真相は己の心に秘したまま。セフィラは屈託のない笑みを浮かべ、ぶつぶつと独り言を零すノービスを見詰めていた。


「……そういえば、蘇生薬買えたって事は所持金かなり潤沢よね? あの辺りに金策向きの場所ってあったかしら……」


「え、いや、うちはずっと貧乏ですよ? 蘇生アイテムなんて買えませんよ」


「……え? いや、でもさっき蘇生って――」


 脳裏に翻る会話の記憶。『キャラメイキングの途中で何か変なスキルがあったんで取ってみたんですよ、楽しそうだし私のプレイスタイルと合ってそうな名前だったし』『【聖女の烙印】って書いてましたね』

 ……蘇生はそのスキルによる物か。確かに触れた相手を確率で即死させるスキルがあるのだから相手を蘇生させるスキルも無い訳では無いのだろう。


「蘇生は私のスキルですから。回数制限が無いのは大分助かりました、このスキルのお陰でギルドも大きく出来ましたし」


 予想は的中した。正直ノービスとしては蘇生手段持ちとは戦いたくは無いが、その内ギルド戦の様なイベントが行われるかもしれない。まぁその時はその時だろう。

 聞きたい事は粗方聞けたのでフレンド申請を交わしてギルドメンバーの所に行く様に言った。過程はどうあれ彼女も一つのギルドを作り上げたのだから今回のイベントに向けて話し合う事もあるだろう。と、そこまで考えてノービスの頭に些細な疑問が湧いた。


「ねぇ、セフィラのギルドってメンバー何人いるの?」


 ノービスの問いかけにやや答え辛い雰囲気を漂わせつつセフィラは答える。


「……800人」


「は」


 800と言ったのか。それは、少々異常な数ではなかろうか。

 ノービスの困惑を悟ったセフィラはやや慌てたように弁明する。


「800って言ってもプレイヤーは20人くらいですから、全然たいした事じゃないですよ?」


「……プレイヤーはって事は残りはNPC?」


「え、あぁーいや、まぁ、……そうですね」


 プレイヤー以外でその数となると考えられるのはNPC位だろうというノービスの考えは合っていた様だがそんな事がありえるのだろうか? いや、しかし冒険者ギルドの構成員も現在は7割方NPCを占めている。彼らが自発的に行動し、依頼をこなす事も可能ならばプレイヤーギルドに住人を入れる事も不可能ではないのかもしれない。

 実際のプレイヤーの数は少ないとは言え、たった数日でノービスが所属する【ヴァルハラ】に肉薄する規模のギルドを作り上げた彼女の手腕に薄ら寒いものを感じながらノービスはセフィラと別れた。イベントまでに近場で金策を行わねばならないし、新たなスキルの性能を確かめる為に。


 このゲームをしている以上、いずれは彼女と敵対する日が来るかもしれない。だが、一先ずは、セフィラが杖を喜んでくれて良かった。ただそれだけで今は良いと、ノービスは知れず微笑みを零すのだった。



◇◇◇◇◇



 所変わり王都近郊の森の中。通常ならばダイヤウルフが徒党を組んで奇襲を仕掛けてくるか、マーダーグリズリーが正面から強襲を仕掛けてくるかの二択でモンスターとエンカウントするが今回は近くに敵対エネミーがいなかったのか、はたまたノービスが騎乗していたアーテルの覇気に気圧されたのかは定かではないが、ともあれモンスターに邪魔される事無く森林の深部へと向かう事が出来た。


 検証すべき事柄は主に二つ。EXスキル【死線デッドライン】の性能調査、そしてとあるアイテムの詳細を調べる事だ。

 恐らく、白昼夢からの直接ドロップ。MVPではないだろうが説明を見る限りハズレ等とは到底言えない代物の筈だ。


◇――◇――◇


アイテム名:白昼夢の黒夜外套


備考:“白昼夢 デイドリーム”の遺骸から創られた毛皮の外套。調停の狼の魂を宿す外套は羽織る者に幻惑結界の源たる白昼と存在希釈の源たる黒夜の力を齎す。幻想とは終わり無き欲望の昇華。例えば白夜、対価を払う事が出来るなら、その幻想は現実へと昇華する。


◇――◇――◇


 この備考からノービスが全ての力を十全に扱えるかという問題はこの後調べるとして白昼夢の黒夜外套というアイテムには少なくとも二つの能力がある事が分かる。幻惑結界は白昼夢が使っていたあのドーム状の結界だろう、白昼夢程の自由度は無いにしても結界内部の敵に様々な幻影を見せる事が出来るのなら文字通り自由度が爆上がりしそうである。

 もう片方の存在希釈については大方予想がついている。気配遮断や隠密といった自らの姿を隠すスキルだろう。


 さて、まずは【死線】の検証をしよう。語感からして【死神の接触】の派生かと思われるのでスキル名を口にすればスキルが発動する筈。


「【死線】……お?」


 スキル名を口にしたノービスの目の前でステータスウィンドウに似た半透明のボードが展開される。


■――■――■――■


コスト:210


適用範囲:――


致命確率:――


発動間隔:――


除外対象:――


特殊能力:――


【パターン保存】

・α

・β

・γ


■――■――■――■


 ふ、む。なるほど?

 どうやら【死線】のスキルはある程度自由に弄れるタイプのスキルだったらしい。適用範囲とあるという事は球形、或いは円形の結界の様な物を展開できるのだろうか? 致命確率は【死神の接触】みたいなものかと思ったが幸運には依存しないようだ。

 発動間隔があるという事は範囲内に足を踏み入れた者に何度でも即死効果が掛けられたりするのだろうか。だとすれば致命確率が100%になる事は無いだろう、発動間隔の存在理由がなくなってしまう。

 除外対象は……設定しなければ敵味方関係なく範囲内の生物を即死させるのだろうか。一先ずアーテルを除外対象に設定しておく。本当に見境なしだった場合自分のうっかりでアーテルを殺してしまうなんて真似は絶対にしたくなかった。


 特殊能力は現状何も選べない様なのでパス。つまりこのスキルは有限のコストを適用範囲、致命確率、発動間隔の三つに割り振って発動させられる。勿論戦闘時にわざわざ設定するのは手間が掛かりすぎるので最高三つパターンを保存しておき、戦闘時はその保存先に応じたスキル名を発言すればショートカットになるだろう。【死線】が設定ウィンドウ付き、【死線α~γ】がショートカットになる。

 今回はコストを全て使用して適用範囲を100、致命確率を100、発動間隔を10、除外対象を自身のテイムモンスター、つまりアーテルに設定しチャレンジ。致命確率は100以上設定できそうな感じだったので1=1%という訳では無さそうだが、さて。


「まぁ、試してみない事には始まらないわね」


 クロガネに頼んで補充して貰った逆鱗弾を頭上に打ち上げ、待つ事しばし。

 二十体程度のダイヤウルフが刺激臭の原因に最も近いノービスに襲い掛かる。狡猾で緻密な連携を得意とする普段の姿は見る影も無く、ただ我武者羅に相手を殺す事しか考えられない様だ。相も変わらず恐ろしい効果ではあるが今回はそれで良い。むしろ中々襲ってこないよりも好都合だった。


「【死線α】!」


 果たして【死線デッドライン】は正しく発動した。使用者が支払える全てのコストを用いて二十の敵を殲滅せしめた。

 ……ノービスは210という数字にもっと目を向けるべきであった。自身のステータスを見れば【死線デッドライン】のコストと合致する数値を発見できた筈だ。


「――あ、ら?」


 ノービスの視界が歪む。アーテルが、地面に近い視界に写り込み喧しく吠え立てる。恐らく自分を心配しての事だろうなと薄れゆく意識の中でノービスは考えていた。


 この場におけるコストとは使用者の生命力、つまりノービスのHPである。不用意にHPを全損させたノービスの体が塵へと還る。その場には何も残されていなかった。


 

【蘇生方法】

・大聖堂にて活力と引き換えに命を取り戻す。

・店で売っている蘇生アイテム【朝露の杯】を購入し対象に飲ませるor振り掛ける。

・魔法や魔術による蘇生法は存在しない。仮に似たよう何かを見つけたとしてもそれは蘇生ではなく復元だろう。世界樹の恩恵に比べれば遥かに歪な筈だから。

・何が言いたいのかというとノービスの【死】やセフィラの【蘇】は魔力に依存しないスキル。だから何だという訳では無いが。

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