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虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第二章

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13.救出

 裕子と別れた後、エグゼクティブ1に戻ってきた。

「志穂」
「はい、何ですか風間さん」
「明日また新聞を買ってきてくれ」
「新聞ですか?」
「ああ、前のと同じ所のだ」
「もしかしてまた一面に載るんですか?」

 志穂はわくわく顔で聞いてきた。
 そんなに期待されるものなのか。

「そうだ」
「わかりました!」

 志穂ははっきりと頷き、家事に戻っていった。
 そういえば、一着二十万のメイド服もそろそろ見慣れてきたな。
 かなりのパターンを作ってもらったが、くり返し同じものを着てもらうのも何だし、そろそろまた新しいのを注文するか。

 今度はどんなのがいいかな、なんて思いながら、ある程度の方向性の発想を得るために、スマホを取り出してネットで検索した。
 現実世界はこの点においてはっきりと異世界に後れを取っている。

 メイド服のバリエーションが少なすぎるのだ。
 もっと普及して、バリエーションが増えればいいんだがな。

 近しいゴスロリ服とか、浴衣とか、そういうものからイメージや方向性レベルでメモをまとめつつ、ネットを巡った。

「お?」

 ふと、ニュースの見出し、的な物に目がいった。
 ニュース自体は取り立てて面白みのないもの、大臣が野党の政治家に突っ込まれて辞任したはいいが、「辞任ですむ話じゃない」とか言われてるやつだ。

 それはどうでもいい、俺が「お?」ってなったのは、それが裕子が強めている新聞社の記事だったからだ。

 クリックすると、その新聞社のサイトに飛んだ。
 今どき何処でもネットに進出している、「デジタル○○」なんて名前で一発で分かる。

 ちょっとした興味本位で、俺は「パンドラ」で記事検索をした。

「むっ?」

 でてきた結果に眉をひそめた。
 裕子の記事があった、一面に載せたものとまったく同じものが、ネットの上にも掲載されている。
 しかしそれ一つだけだった。

 パンドラに好意的な記事はそれ一つのみ、それの十倍――いや二十倍はあろうかという数の、パンドラ()バッシングの記事が山ほど出てくる。

 ……大丈夫なのか?

 こんなのを見たら誰だって会社としての方針がはっきり分かる、裕子がいる新聞社は間違いなくアンチ・パンドラだ。
 そんなところに俺の写真を持っていって、俺上げの記事を書いて大丈夫なのか?

 いやな予感がした。

「志穂、ちょっと出かけてくる」

 彼女にそう言ってエグゼクティブ1を飛び出し、車庫から車を出して、一直線に新聞社に向かっていった。

     ☆

 完全に部外者だが、スキル・自由訪問で新聞社の中に問題なく入れた。
 誰にもとめられる事なく、普通に廊下を歩いて裕子の部署に向かう。

 雑多な編集部の中、裕子の部署の所にやってくる――が。
 彼女の姿は何処にも見当たらなかった。

 戻ってきてないのか?
 俺は机の配置を見て、上司らしきに聞いた。

「関裕子はいないのか?」

 スキル・自由訪問は本人に会うまで効果を発揮する。
 そしてある意味某殺人ノートと同じ、会わせるために相手が協力出来るところは協力を得られる。

 とはいってもたいした物じゃない、相手が知る限りの情報をすんなり得られるってだけだ。

「関ならもう戻らないぞ」
「戻ってないのか――むっ?」

 今なんて言った?
 すんなりと納得しかけたけど、変な事をいってなかったこいつ。

「……今日は、もう戻らないのか?」
「いや、もう戻らない」

 男は何でも無い表情で言った。
 俺がわざと「今日は」って区切って聞き返したが、普通にもう戻らないって言われた。

 スキル・読心。
 自由訪問発動中に本来必要はないがあえて使った。

『馬鹿な娘だ、言うことを素直に聞いてればよかったものを』

 心の声、男が考えている事。

 俺は二重に驚いた。

 一つは、文面の物騒さ。
 そしてもう一つは、その声の言語。

 最近すっかり慣れてきた日本語じゃない言葉。

 ……この新聞社、いや。

 この間からずっとそう思ってたけど……。

 この国、一体どうなってるんだ?

     ☆

 男――裕子の上司の心から読み取った情報を元に人気のない運河沿いにやってきた。
 船のエンジンがやかましく鳴り響くが、それ以外の男はほとんどない。

 人気の無い場所だ。

 気絶しない程度にボコった男に猿ぐつわを噛ませて、読心で案内してもらった。

 裕子は、男が頼んだ大陸マフィアにつかまっていた。
 目的は裕子からパンドラの事を聞き出すこと。

 それを知った瞬間、押し問答の時間も惜しんで、ボコってしゃべれないようにして、嘘のつけない心の声で案内してもらった。

 やってきたのは人気のない倉庫、シャッターが下ろされている。
 車を降りて、男の首根っこを掴んで倉庫に向かって進んで行く。

 この中に裕子――。

「離して! 離してよ!」
「――っ!」

 中から裕子の声が聞こえてきた、かなり切羽詰まってる。
 まだ手遅れじゃない様だが、猶予はない。

 俺は男をひっつかんだまま猛ダッシュしていく。

 シャッターが下ろされている、横に扉がある。

 ――が、悠長に明けるのを待ってられない。

 スキル――ポイントは足りてる。
 俺はとっさにスキル・破壊王を取った。

 破壊王、非生物に大して300%の攻撃力をアップするスキル。
 それを取って、拳を握って、ダッシュと共に思いっきり振り抜いた。

 ドゴーン!

 効果は予想以下(、、)だった。
 衝撃波爆音と共に、倉庫の半分が吹っ飛ばされて廃墟と化した。
 300%だからもう少し威力高いと思ったが、今のスキル構成だとこんなもんか。

 とりあえずは足りた。

 半分吹っ飛ばした所から倉庫に飛び込む、そこに裕子と、人相の悪い男達がいた。
 男達は驚愕している。

 ぱっと見渡して判断する、リーダーっぽいのが一人いた。

「何もんだ!」
「彼女を帰してもらうぞ」
「ヒーローごっこか、おいお前ら!」


 リーダーの男が怒鳴りながらあごをしゃくる、部下のチンピラどもは一斉に武器を取り出した。

 刀だ、日本刀じゃない――青竜刀、というべき刀だ。

 大陸マフィアらしい武器がでてきた。

「切り刻んで魚のえさにしてやる」

 男達が怒鳴り声を上げて、一斉に飛びかかってきた。

 ざっと見回す、位置を把握する。

 ターン! と地面を思いっきり踏みつけた。

 遠距離攻撃の応用、踏みつけた震動で、地面に転がる小石――倉庫を崩して出来たコンクリートの塊が飛び上がった。

 それらが一斉にねらった所に飛び、男達の青竜刀をへし折った。

「なに!?」
「ば、馬鹿な!」
「うそだろ……」

 驚愕、絶句する男達。
 もちろん我に返る余裕を与えない。
 俺はそのまま突っ込んで、一人ずつ殴り倒していく。

 殴られた男たちはきりもみしながら吹っ飛ぶ。
 男とお札が飛びかう中、一気にまとめて倒してしまう。

 たいした連中じゃなかったから、10秒もかからなかった。

 残ったのは、リーダーの男だ。

「な、何者だお前は……」

 絶句するそいつに近づき、攻撃してきたのをかわして、両手両足をへし折った。

「ぎゃああああああ!? な、なに――」
「おっと、しゃべれるのなら舌もかめるな」

 それだとまずいから、男のあごもついでに叩き外してやった。

 動けなくなって、話せもしなくなった男。

「さて、色々聞かせてもらおうか。そいつと一緒にな」

 連れてきた裕子の上司を引っ張ってきて一緒に並べた。

『これがパンドラ……人間業じゃない』
『ば、化け物……』

 二人とも、心の声は日本語じゃないものだ。
 色々聞き出して、場合によってはどうにか(浄化とか)しないとな。
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