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虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第二章

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05.ぴったりカウンター

 バーで少し飲んでから、美海と外に出た。

「美海はどこにすんでるんだ? 遠いのか?」
「うん、ここから電車で一時間くらい」
「そんなにか。じゃあタクシーの所まで送る」
「タクシー?」

 美海がきょとんとする。

「車で来なかったの?」
「飲んでるからな俺も、車には乗らんさ」
「そうなんだ」
「あっちでだったら担いで俺が走ったり飛んだりするんだけどな。電車で一時間なら100キロもなかろう」

 スキル次第だけど、そういうのも出来る。
 まあ、どのみち今日はなしだ。
 タクシーを捕まえて、美海を安全に送り届けよう。

「あの……シンジさん」
「うん?」
「タクシーの所まで……腕組んでもいい?」
「……ああ、いいぞ」
「じゃあ……」

 酒のせいなのか、それとも別の理由か。
 美海は顔を赤らめて、俺と腕を組んできた。

 可愛い衣装を纏った可愛いアイドル、そんな美海が腕を組んできたのを、周りの人間は羨望の眼差しを向けてきた。

 バーをでてエレベータに乗り込んで、ビルの外に出てタクシーのロータリーに向かうまで。
 終始、羨ましい目で見つめられていた。

 みられているのはやっぱり美海だからだ。

 今の俺は見た目とか雰囲気とか、そっちにスキルを振っていない。
 何もしてないときはこんな目で見られない。

 みられるのは、美海が可愛いからだ。

 その美海はうっとりした様子で、俺の腕にしがみついてる。

 美海を連れて、タクシーのロータリーにやってきた。
 運転手と目があって合図を送ると、客席の自動ドアが開いた。

 美海を乗せて。

「それじゃ、またな」
「明日も遊びにいっていい?」
「もちろんだ、後でエグゼクティブ1の場所を送っとく」

 俺の家、エグゼクティブ1はキャンピングカーだ。
 住所などなく、居場所も一定じゃない。

「はは、よく考えたら俺、住所不定無職だな」
「世界一格好いい住所不定無職だと思う」
「それはそれでどうだろうな」

 笑い合う俺と美海。
 俺はサイフから五万円を抜いて運転手に渡す。

「場所は彼女に聞いて、おつりはいいから」

 といって身を引いた。
 自動ドアが閉じようとしたその時、周りから悲鳴が上がった。

 同時に、キュルルルル、とタイヤが地面を擦る音が聞こえた。

 パッと振り向く、一台の乗用車がこっちに向かって突っ込んでくる。
 進行方向がまっすぐじゃなくて揺れに揺れている、何かの原因で暴走してる。

「美海! ――っ」

 美海をタクシーから連れ出してよけようとしたが、周りの様子が目に入った。

 場所はロータリー、多くのタクシーがとっている。
 さらに美海に見とれて、半ば野次馬になっていた通行人も大勢いる。

 暴走車がこのまま突っ込んできたら、どう低く見積もっても10人以上は跳ねられる。

 考える暇もない、俺はタクシーを飛び越えて車道にでた。
 暴走車が突っ込んでくる線上に建った。

 スキルを取る、防御力アップ1、2、3――くっ、足りない。

 とっさに取ったはいいけど、スキルポイントをみてる暇が無かったから、取ってから足りないって気づいた。

 このままじゃ防御力が足りなくて俺も吹っ飛ばされる。

 ……。
 すぅ……。

 息を深く吸い込んだ、軽く前屈みになって手をつきだした。

 暴走車が突っ込んでくる、周りの悲鳴がますます大きくなる。

 ドン! と来た。
 車のボンネットとふれあった瞬間衝撃が来た。

 が。

 俺がぶっ飛ばされるでもなく、車が弾かれる事もなく。
 おれの前で車がピタッ! と止まった。

 シーン、と周りが静まりかえった。

 一瞬の出来事、空気が変わった。
 悲鳴が飛びかうパニックから、驚きと不可解が混じり合う空気に。

 その間俺は暴走車の運転席に向かって行った。
 パワーウインドウをおろし、運転手が、

「なんだあおめえは!」

 と、酒臭い息を飛ばしてきたから、とりあえず殴って気絶させた。
 そのままスマホで通報して、後は警察に任せる。

「すげえ……」
「何が起きたんだ……?」

 周りは半ば呆けた様子でざわざわしていた。

 一方で、何が起きたのかある程度分かる七海はタクシーから跳び降りて、再び俺に腕を組んできた。

「すごい! さすがシンジさん。今のどうやったの?」
「当たった瞬間三割くらいの力を防御アップで受け流して、流せなかった七割をカウンターと近接戦闘で押し返した」
「押し返した? ぴったり止まったのに?」
「吹っ飛ばすと後続車が事故るかもしれないからな、力加減を図ってピタッと止めた」
「ますますすごい!」

 そう言ってはしゃぐ美海だった。
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