妖精族の少女
冒険者ギルドをあとにしたグレンは、村の外にある森へと向かった。
ココ村の周りは柵でおおってあり、北と南の二カ所にしか門がなくそこからしか出入りできないようになっている。
「ソウガさんおはようございます!今日も通っていいですか?」
グレンは門番のソウガに尋ねた。
ソウガは子供好きなのだが見た目が、スキンヘッドで、額に切り傷、2メートル弱の身長で強面。
なのでよく子供に泣かれるため、普通に接してくれるグレンを我が子のように可愛がっているのであった。
「おぉ!グレン坊やないか! いいけど、深くまで行くなよ!それと早めに帰るようにな」
「わかってますよ!ソウガさんもお仕事頑張ってくださいね!」
グレンはソウガに頭をなでられながら答えた。
北にある森は冒険者の新人がよく来ることから『はじまりの森』とココ村の住人はよんでる。
はじまりの森にはゴブリンやスライムなど低ランクのモンスターがほとんどであり、ここで冒険者は技術を積んでいったりする。
逆に、南の森には高ランクの魔物がいるためそこには熟練の冒険者がむかっていたりする。
グレンはこの森で魔法の練習をよくするのだった。
門から歩いて10分くらいの場所に木々がなく広い場所があり、そこがグレンの練習場所である。
「スーハー、スーハー…」
グレンは父から教わった座禅を組み、母から教わったことを思い出しながら魔力を練り始める。
ちなみに、魔力量は産まれた時から生涯変わらないとされてる。
ニクナスの住人には『魔力器』と呼ばれる魔力がたまる場所が心臓にあるとされ、魔力器にたまる量は変わらないからだ。
グレンはまず、魔力の属性がなくても使える身体強化の魔法の練習を始めた。
(血液の流れに魔力を乗せる感じで全身に行き届かせる。僕は魔力量が多いわけじゃないから、余分な魔力をなくさなきゃ…。)
グレンはそこらの人よりは魔力量はある方だ。しかし勇者や聖女に比べられると足下にも及ばなかった。
そのことがグレンが蔑まわれる理由の1つでもある。
グレンは全身に魔力が行き届くよう必死に魔力をコントロールする。
いつもだったら、魔力コントロールが未熟なため身体から魔力が漏れて身体強化ができなかったりするが、この日はうまくいき、身体強化がちゃんと発動した。
(やった!できた!!…でも、まだ魔力が漏れてたりするな…もっと全体に、均等に魔力をとおさなきゃ)
グレンは身体強化の魔法が成功したことに喜び、そしてもっと自分の高みを目指す。
そして3時間がたち、魔力がそこを尽きようとしていた。
(お父さんは常に身体強化の魔法をかけっぱなしにしてたとお母さんが言っていたけど……やっぱりお父さんはすごいなぁ。。)
グレンの父、スザクは皮膚のすぐ下に魔力を流し、一定の魔力で身体を覆っていた。そのため魔力が外に漏れず、魔力が減ることはなかった。
グレンは母からそのことを聞き、ためしているのだが一向にできず、できても魔力量が一定に保てず外に漏れ出てしまう。
(ちょっと休憩でもするかな…)
グレンは汗だくになった額を袖でぬぐい、左の腕につけてる腕輪に魔力を流し、水筒とタオルをだした。
(やっぱりこのアイテムボックスがあると便利だな。たしか国宝級のものだったよな……)
グレンが腕につけてる腕輪は『アイテムボックス』という魔道具で、父の形見の1つである。
5歳になった日に母から渡されたもので、母はこのアイテムボックスを改造し、グレンにしか使えないようにしたのだ。
アイテムボックスの中には父が当時使ってた食料や飲み物、武器がそのまま入っているため、万が一遭難しても2週間は生きていられるほどだ。
アイテムボックスの中は時間が止まっているため、腐ったりはしない。しかし生きているものをいれることはできないのだった。
グレンは水筒の水を飲んだ。
ちなみにこの水筒も魔道具で、見た目は普通の水筒だが容量が100リットルもはいるのだった。
グレンは地面に横になり、風の音に耳をすませた。
グレンにはその音が子守唄のように居心地がいいものだ。
ウトウトしてたグレンは風の音にまじって、違う音が聞こえてきてるのに気がついた。
耳を澄まして聞いてみればその音は人の泣き声だった。
(こんな森の中で…どうして泣いているんだろう…?)
グレンは気になり、泣き声のする方へむかった。
(たしかこの辺りから聞こえたはずだけど。あ…、え?あれは妖精族…?なんでこんなとこに?)
グレンは驚きのあまり固まってしまった。
グレンが見たものは、『妖精族』であった。
『妖精族』とは姿は人と同じだが、身長が30センチくらいで背中にはトンボのような翼がはえているのが特徴であった。
妖精族は森の深くに住んでいるとされ、見たものには幸運が訪れると言われている一族なのだ。
その妖精族は腰までのぼした金髪に、七色に光る翼を生やしていた。グレンはその翼の美しさに目をとらわれ、足元にあった木を踏んでしまった。
「だれ!?」
妖精族の少女は泣き顔のまま、グレンがいるほうに目をむけ、にらみつけた。
「っつ……」
グレンは少女の顔をみて、いきをのんだ。
目の色が左右で違った。左目が赤色で右目は青色だ。
「…? あっ!」
妖精族の少女は勢いよく両手で目を隠した。
「君、すごい綺麗な目をしてるんだね!!僕はグレン。グレン・クホウイン!君はなんて名前なの?」
グレンは彼女の目の色の綺麗さに興奮し、一気にまくしたてた。
妖精族の少女は、一瞬なにを言われてるのか分からないのか、ポカンとしてたが
顔を真っ赤にし、グレンにつめよった。
「ふざけないで!あなただって本当はこの目が怖いんでしょ!不幸が訪れるっておもってるんでしょ!」
少女は怒りながら、そして悲しそうに言った。
グレンは首をかしげながら
「なんで?こわくないよ?? すごくすごく綺麗だよ! 左目は夕日のようにきれいだし、右目も空みたいに澄んだ色してて僕は好きだな」
それを聞いた少女は大きな声で泣き始めた。
「え?ちょ、ちょっとなんで泣くの?? なんかまずいこと言った??」
グレンはなんで泣いたのかわからず、オロオロし
グレン自身も泣きそうになったのであった。
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