帰り道にて
ちょっと少なめです。
「ちょっと! グレンまってよ!」
アイラがグレンの手を掴み、グレンの顔を覗き込んだ。
「おでこのとこ血が出てるじゃない。。ちゃんと見して」
「こんなのかすり傷だよ。ほっとけばいつか治る」
グレンは強がって、アイラの手を振りほどいた。
「シャーリーおばさんが心配するわよ」
「うぐっ…」
「ほら、おでこ見して、彼に癒しの光を『癒光』」
アイラがグレンのおでこに手をあて、治療の魔法をかけた。アイラは魔法の才能があり、赤、緑、白つまり火、風、光の適正がありおまけに剣の才能もある。
グレンは正直、アイラに嫉妬していてた。
(なんで僕にはこの才能がないんだ…。勇者と聖女の息子なのに… ううん弱気じゃダメだ!努力して僕だって父さんのように強くなるだ!)
グレンは弱気になる自分に叱咤して心を強くもとうとする。
「はい、終わったわよ。痛みはある??」
アイラは首をかしげながら、グレンに問いかけた。
「ありがとうアイラ!痛みがなくなったよ!」
グレンはアイラに笑顔でお礼を言う。
それに対してアイラは顔を真っ赤に染めながら、あたふたした。
「こ、こんなこといつだってしてあげるわよ!そんなことよりガランのやつ…今度、父様にいって懲らしめてやる!」
「いいよ、そんなことしなくて」
「グレンはあんなに言われて悔しくないの?!」
アイラは興奮したようで、グレンの肩を掴み激しくゆらした。
「ちょ、ちょっとアイラ苦しいって…」
「あ、ご、ごめんなさい。。」
アイラが手を離し謝ると、グレンは咳き込む。
「ゲホゲホ… ふぅ。。 アイラ、確かに悔しいよ。
でも、ガランの言ってることも間違ってないんだよ…。」
「でも…グレンはなにも悪くないんだよ?」
「そうだね…。でも、ガランの言ってることも間違ってはないんだよ… まあ、僕自身が強くなればいいだけなんだよ」
グレンは苦笑いしながら答えた。
「グレンだったらすぐ強くなれるわよ!なんたって勇者様と聖女様の息子なんだから!」
「うん、そうだね!絶対に強くなって父さんを越すんだ!」
「そう、その意気よ!」
グレンとアイラはお互いに笑いあいながら、家へと帰って行く。
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