前へ目次 次へ 9/27 第九夜 帰 額が強い日差しにチリチリ照射される。 私は雑巾でベランダの手摺を拭く。 ふと視界に動きを感じ、視線は違和感に導かれる。 眩しい光の中で小さな生き物が手摺を歩いていた。 小さいといっても空豆ほどの大きさをしている。 手ひさしでじっと見る。 柔らかそうな毛に覆われた丸々した生き物。 デフォルメされたマスコットのような、猫であった。 手を差し出すと、ゆるゆると乗った。 ああ、やっと。 やっと帰ってきてくれたのね。 涙零れる。