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世界を背に拳を放て ~UCA-異能犯罪対策隊~  作者: 寝倉 響
黒の英雄 ~血塗られた正義~
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襲撃

拳堂と火ヶ丸が篠瀬まりこについて調べると、篠瀬が異能許可証を偽造して稼いでいた金の多くは篠瀬の自宅に大量に置かれていたブランド物の財布やバッグ、ネックレスなどに使われていたが一部が写見と同じく架空の会社に送金されていた事がわかった。

そして羊谷 泳斗 土伊の3人が調べていた写見の件。写見の送金していたと思われる会社の金が先日捕まったアメリカのハンターが所持していた一万円札の一部と一致した。

そこから写見は篠瀬と共に金を不法に稼ぎ、その金を架空会社へ送る。その架空会社はREVOLuZのメンバーに繋がっており写見と篠瀬が稼いだ金がハンターを雇う金としてREVOLuZに悪用されていたと推理された。

火ヶ丸はそれを本部へと報告。本部は架空会社の僅かな情報からハンターを斡旋しているREVOLuZのメンバー特定へと捜査を開始した。


そして羽枦署異能犯罪対策課のメンバーは篠瀬まりこが不法に発行していた異能許可証の持ち主を全て調べることとなった。


「ずっとデスクワークっていうのも疲れますね」

土伊は机に突っ伏しながらそう言った。


「土伊さん。真面目にやってくださいよ」

拳堂は背筋を伸ばし、パソコンに向かいあっている。


「羊ちゃ~ん。ダン君がいじめてくる〜」

土伊はそう言うと泣きべそをかき、隣で真面目に仕事に取り組む羊谷に助けを求める。


「土伊先輩。終わらないんでお願いします」

羊谷はそんな土伊に塩対応し、4人で手分けしても人手が足りない程の量に絶望する。


「こんな時に火ヶ丸はなにしてるんだよ」

泳斗の方もこの膨大な量に、イラつき口が悪くなっている。


その火ヶ丸はというと署長会議で本部へと招集されていた。

部屋に残ってパソコンに向かい合う4人に嫌気が差していた時だった、下の1階から何か大きな爆発音が聞こえ、室内が一瞬で静まり変える。

そしてその爆発音が聞こえてすぐに、署内の警報サイレンが作動した。すぐに署員によるアナウンスが入る。


『緊急警報。緊急警報。署内に何者かが侵入。侵入者は2名の異能者。非戦闘隊員はすぐに非常口から避難してくだ…キャァー!!』


女性の署員のアナウンスが悲鳴とともに消えた。

異能犯罪対策室内にいた拳堂、泳斗、土伊、羊谷はすぐにパソコンから離れる。そして戦闘準備をし、階段を駆け下り1階へと行く。

4人が階段を降りると、1階には人の気配はなく、1階で働く生活課の署員は既に避難しているようだった。

4人は手分けをし、慎重に敵を捜索する。

拳堂は先程のアナウンスが気になり、受付の方へと向かう。

受付にあるセキュリティセンサーは破壊されており、その残骸が床に転がっている。

それを横目に警戒しながら受付室へと1歩足を踏み入れる。

その瞬間、何かが物凄い勢いで拳堂に向かい飛んできた。

拳堂は咄嗟に前転し、それを避け、飛んできた方向に視線を移した。


「久留米さん!!」


拳堂の視線に入ったのは、テンガロンハットを被った黒人。そしてその黒人の横に人質に取られている受付の久留米サエ。


「やっときたか。早く戦おう」


そう言うとその黒人は人質の久留米を拳堂の方へと渡した。

拳堂が久留米の体を支えようと駆け寄ったその時、黒人がこちらに向けていた手のひらから何かが噴射。物凄いスピードで襲ってくる。拳堂は久留米の体を抱き、地面に突っ伏しなんとかそれを躱す。そしてすぐに腰のホルダーから拳銃を取り、黒人向けて発射。その弾丸はカスリもせずに壁にぶつかる。その間に拳堂は久留米を受付室から逃がした。


「こいつは確か……ロックスター。ハンターランク571位」

拳堂はこの前火ヶ丸が見せたリストにこの黒人の顔があったことを思い出した。


ロックスターはその隙を突き、手の平から丸い岩を連続で発射する。

拳堂はその弾岩の雨を避けるため、一旦受付室のガラスを破り、壊れたセキュリティセンサーの方へと転がり落ちた。


「ロックスターの戦闘タイプは遠距離。距離を詰めれば…」

拳堂がそう考えているうちに大きな音が響き渡り、背中に衝撃が走る。先程までの拳台の弾岩よりも遥かに大きい岩が受付室の壁を破壊し、その岩が拳堂の背中へと衝突したのだ。

拳堂はその岩に押され、反対の壁へとめり込んだ。

意識が朦朧とするが、ロックスターはそんな暇を与えなかった。ロックスターは距離を詰め、岩のような皮膚の拳を拳堂の顔に向け放とうとしてきた。

拳堂は咄嗟に腕を交差させガードをしようと試みる。しかしそのガードは間に合わない。

その時、拳堂とロックスターの拳の前にわたあめ程の大きさの白い綿が現れロックスターの拳を吸収した。そのすぐ後、拳銃の発砲音と共に弾丸がロックスターの体にぶつかるがその弾丸はロックスターの体に傷をつけるだけで地面へと落ちる。


「羊谷か…」


「拳堂君大丈夫…?」


羊谷は拳銃を片手に拳堂の方へと駆け寄る。

ロックスターはそんなことに気にも止めず、左手で殴りにかかった。拳堂は羊谷の背中を襲う拳に拳をぶつけそれを相殺する。そしてそのまま拳を発火、爆発。拳堂の拳とロックスターの拳との間に黒い煙と焦げ臭い臭いがあがった。

その煙は両者の視界を隠した。拳堂と羊谷はお互い両脇へと避難。アイコンタクトをし、両端からロックスターへと向かった。

ロックスターは両手をそれぞれへと向け弾岩を発射する。

羊谷は自分の体を綿でコーティングし、その弾岩の威力を吸収。拳堂はその弾丸を撃ち落としていく。

羊谷の頭から生える両角が少し伸び先が鋭く尖った。そしてそれをロックスターに向けて突進。ロックスターは両手で羊谷の体を抑えそれを阻止。

しかし、ロックスターの空いた隙を拳堂は見逃さなかった。

拳堂は上へと飛び上がり、拳を後ろへ引く。その拳は黒煙を上げ温度が急激に上昇。そしてその拳をロックスターの背中へと放った。

岩が焼ける音が鳴り響き、黒い煙と焦げ臭い臭いが辺りに充満する。ロックスターの意識がその一瞬で飛び、その隙に羊谷がロックスターの体を巨大な綿で覆いロックスターを拘束した。


「羊谷。凄い成長したな」

拳堂は羊谷との咄嗟の連携プレーに驚きを隠せずにいた。


「私だってやる時はやりますよ!!」

羊谷はそう言うと小さな胸を大きく張った。


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