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世界を背に拳を放て ~UCA-異能犯罪対策隊~  作者: 寝倉 響
黒の英雄 ~血塗られた正義~
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ゼロ

「なに!!昨日ジャッジマンに遭遇した!?」

 

 羽枦署二階異能犯罪対策室内に、火ヶ丸の声が響いた。

拳堂はその声に一瞬とまどったが、すぐに昨晩の出来事を火ヶ丸を含めたメンバー全員に話した。

 泳斗はすぐにスマートフォンを手慣れた手つきで操作し始めた。やがてハッとした表情を見せる。

そして、ある画面を他のメンバーに見せた。


 その画面はSNSアプリのものだった。そのアプリにはつぶやき機能というものがついていて、数多くの会員がその日あった出来事などを呟いている。

 その画面にあるつぶやきには、ジャッジマンの目撃情報が多数寄せられていた。


 泳斗はまたスマートフォンの画面を自分の目元に戻すと、操作し始める。

しばらくして、画面を他のメンバーに向けた。


 その画面は、ニュースアプリのもので、その見出しには、〔米人気No.1超人(ヒーロー) ジャッジマン来日か!!?〕と大きく取り上げられていた。


 羊谷はすぐに室内のテレビをつけた。

大音量に設定されていたテレビから生放送のニュース番組の音が響く。


「今日の目玉ニュースは、こちらです!!」

 

 若い女のニュースキャスターがテロップを机の上に立てる。

〔米人気No.1ヒーロー ジャッジマン現る!!〕


「昨晩の多数の目撃情報から、アメリカで活躍する人気No.1のジャッジマンが来日したのでは、ということが明らかになりました」


 するとニュースキャスターは、自分の後ろにあるモニター画面を指差し棒で指す。そしてそのモニターに写る画面が一瞬で切り替わった。


「こちらが昨晩目撃されたジャッジマンを捉えた写真です」


 モニターに写る画面は、とある道路のもので、ジャッジマンの姿とUCA隊員と思われる人物の後ろ姿、それに大きな黒い上半身をした人物の姿が写っていた。


「あぁーーー!!!!」


 拳堂が突然叫んだこの声にニュース番組を真剣に見ていた、四人はびくりと震える。


「どうしたのよ拳堂くん?」


 土伊は目をまん丸くさせ、テレビ画面に張り付く拳堂にそう尋ねる。


「これ、自分です!!」


 拳堂は目をまん丸くさせ興奮した状態で振り返った。


「だろうな、お前さっき昨晩のこと話してたじゃないか、ついに拳堂もテレビデビューだな」


 泳斗はそういうと笑い出した。


「そういえば……さっき話しましたよね」


 拳堂はそういうと、少し頭を下げ、顔を赤らめる。

 泳斗の笑い声でテレビの音が聞こえづらくなると、土伊はすぐに泳斗の頭に拳を落とした。

 泳斗は一瞬何が起こったのか分からないようだったが、土伊の顔を見てすぐ理解して黙る。


「元UCAで海外の異能犯罪に精通している野々村さん、この事についてどう考えますか?」


 ニュースキャスターがそういうと、画面が切り替わり口元を緩ませ頬をほんのりと赤らめた白髪の老人がテレビ画面に写しだされる。


「そうですね……これは事実ではないと思うんですが、ある情報によりますと、海外で異能犯罪者を狩ることで生計を立てているハンターと呼ばれる者達が日本でUCA狩りをしているということだそうなんです、はい」


 野々村のその言葉を聞いた、火ヶ丸は舌打ちを一回する。


「あのじじぃ目立ちたがりなのは変わってないな……こりゃ不味いことになるかもだな」


 火ヶ丸の言葉と舌打ちは当然、テレビの向こう側にいる野々村に聞こえるはずもなく野々村はニヤニヤと自慢気な顔を見せる。


「ハンターというのはどういった職業なのですか?」

 

 ニュースキャスターは野々村にそう尋ねる。野々村はニュースキャスターの胸元を舐め回すようにジロリと見ると、また話はじめる。


「ハンター制度が日本でも施行されたのはご存知でしょ、海外では日本でハンター制度が施行される遥か前からハンターが存在していて、国民の安全を守るため異能犯罪者を狩ってるんです。ハンターの成功報酬は異能犯罪者の生死を問わないDead or Aliveであることが多く、海外では殺し屋と呼ばれることも多く、日本ではそういうのを嫌う風潮も多いためハンター制度の施行が先送りされていましたが、二年前初の異能者国会議員が就任してからハンター制度の話題が浮上したことと異能犯罪者の組織化や増加があったため、最近になってようやくハンター制度が正式に施行されました」


「そんなハンターが犯罪者でもないUCAの隊員を狩る。ということはですね、私の見解から申しますと……REVOLuZの」


 野々村がそこまで口に出すと、突然テレビ画面に二人のスーツを着た男が現れた。

ニュースキャスターと野々村、ゲストに来ていた他の教授や専門家などはその二人組の男に驚き戸惑う。

その二人組の男は野々村を見つけると、野々村の両腕を二人で抱える。


「ちょっとあなた達なんなんですか!?」

 

 ニュースキャスターはサングラスをかけた二人組の男達に怯え震えた口調でいう。

二人組の男は意にも介さず、野々村を抱えると、テレビ画面から突如として姿を消した。

 残されたニュースキャスターとゲストは慌てふためく。

 そこでテレビ中継が終わり画面には、〔しばらくお待ちください〕の文字が現れた。


「……あの二人組は誰なんでしょうか?」

 

 羊谷は火ヶ丸にそう尋ねた。


「UCAのやつだろうな、警察でいうゼロとかいうやつらだ。UCAでもそう呼んでる」

 

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