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刀馬&影裏 vs 無剣の剣豪 包帯男

 刀馬と影裏は、田んぼの田の字のように分かれた四つの工場のうち右上の部分へ向かった。

 工場に隣接する、かつて事務所だったと思われる、部屋から工場内へと入る。

何年も前に廃墟と化した工場内は勿論、発電施設が稼働していないため暗闇に覆われていた。

刀馬は粘着照明弾を天井に撃つ。するとほんの数秒で工場内に明かりが灯った。

 目の前には全身に薄汚れた包帯を巻いた人物が立っていた。

包帯の合間から見える、その人物の目は赤く充血している。


「はじめまして」 


その声の主は、前に立っている包帯男。


「誰だお前は」

 刀馬はその不審な人物にそう尋ねる。


「REVOLuZの者です……」

 包帯男はそういうといきなり刀馬と影裏の方へと前傾姿勢で走ってきた。


 その包帯男は手を前に出した。手の包帯がほどけてゆき、ほどけた包帯が宙に揺らりと浮かぶ。


 刀馬は上着を脱ぎ捨てYシャツ一枚になった。

腕から始まり体全体が日本刀のような銀色に輝いた。同時に腕は1.5倍ほどの長さに伸び鋭い刃へと変形した。


 影裏はホルダーから拳銃を取り出し迫ってくる包帯男目掛けて引き金を引く。

UCAの研究課によって開発された特殊合金で出来た銀の螺旋銃弾が高速回転しながら包帯男へ飛んでいった。


 しかし、包帯男は構わず走ってゆく。そして、ゆらゆらとはためかせていた包帯の先の部分が、包丁のように鈍い光を放ちながら固まった。それを使い、影裏が放った銀の銃弾を切り落とした。

そして走った勢いのまま、ほどけた包帯を硬化させ刀馬に襲いかかる。

身体中のいたるところからほどけた包帯が鋭い刃となり、それぞれの意思を持ち刀馬を襲う。


 刀馬はその包帯を両手を使い弾いてゆく。一方の影裏は影へと姿を移す。

影裏は包帯男の影に近付くとその影の両足を掴んだ。

すると、包帯男の足は動かなくなる。

刀馬はそれに気をとられている包帯男の隙を見逃さずに右腕を包帯男の肩から腰にかけて降り下ろす。


 しかし、刀馬の降り下ろした刃は包帯男の体を傷つけることは出来ず、刃と刃がぶつかり合う音しか聞こえなかった。


「なんだコイツ、体も硬化出来るのか」 

 

 包帯男は自分を掴む影裏の影に目掛けて硬化した包帯を降り下ろした。

すると、影裏の悲鳴が上がり影裏の影が包帯男の影から遠ざかり実体となって現れた。手から血がポタポタと流れ落ちている。

包帯男はそれを見逃さずに包帯を棒高跳びのように器用に使い影裏の方へと飛んでいく。そして影裏の腹目掛けて強烈な蹴りを放つ。

影裏はゴボッと息とともに血を吐き出し壁へと飛んでぶつかる。


「影裏!!」

 刀馬の視線は自然と影裏へと移る。


「刀馬隊員、油断は禁物ですよ。それでSS隊員とはUCAは生ぬるいですね」


 包帯男は刀馬目掛けて硬化した包帯を四方八方様々な方向から放つ。

刀馬はそれを予見していたかのように地面を強く蹴り空中に飛びかわす、そしてその勢いで体を丸め回転し包帯男向けて回転斬りを放つ。

しかし先ほどと同じように刃は確かな手応えを得ることなく跳ね返される。


「くそ、こりゃあ勝負つかんな」


 そういうと刀馬の腕がさらに相手を斬れるようノコギリのような刃へと変化した。


 包帯男は包帯を下へと垂らしそれを足にして宙へと浮かんだ。

そして体の隅々から包帯を垂らし、それを硬化した。


 刀馬は前傾姿勢で包帯男に向かい走ってゆく。

そして宙に浮かぶ包帯男の体目掛けて地面を強く蹴り飛んだ。

そして右腕の刃を大きく引いた。


 しかし、包帯男は浮かぶ無数の硬化した包帯を操りその大剣を凌いだ。

そして左足を上げ刀馬の頭を目掛けて降り下ろす。

硬化された包帯が巻かれた踵で下ろされた力は凄まじく、大きな音を立てて刀馬を地面へと叩きつけた。


 砂ぼこりが舞い上がるなか、刀馬はよろめきながらも立ち上がりすぐに反撃に出る。

しかし、大振りを武器とするパワー型の刀馬と包帯を器用に操るテクニック型の包帯男とでは分が悪く刀馬の攻撃は交わされていった。

 

 その時、包帯男の動きが完全に止まった。

刀馬は何事かと思い見てみると、包帯男の影を巨大な腕となった影が掴んでいる。

影を掴まれた包帯男も自身も影と同じように体を拘束された。


「ナイスだ、影裏」


 刀馬はそう呟くと右腕を高く上げ背中にまでのけ反らした。


「砕け散れぇぇ!!」




 ザバァァッッ!!!!




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