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泳斗&羊谷 vs 白銀の機械兵士シロム

 工場跡は田んぼの田の字のように四つの工場が集まって出来ており、泳斗と羊谷が担当するのはその内の右下の部分。

 泳斗と羊谷は背後に警戒しながら進んでいった。

刀馬が一時間の捜索範囲では捜索出来なかった範囲を中心に捜索を開始した。

目の前に現れたのは巨大な建物。

二人はその建物を閉ざす鉄の扉を引き中へと入った。

中は真っ暗で周囲の様子がまったく分からなかった。

しかし、泳斗の着ける猫がプリントされたアイマスクは猫の目の部分が黄色く発光していた。


「こいつの出番だな」

 泳斗はそういうとポケットから拳銃を取り出した。


「拳銃で何するんですか?」

 羊谷は不思議に思いそう尋ねる。


「お前養成学校で習わなかったか? この拳銃はUCA特注の物で用途に応じていろんなモードがあるんだよ」

 泳斗はそういうとリボルバー拳銃のシリンダーの部分を回した。



 すると泳斗の拳銃から機械のアナウンスがなされた。

『ネンチャクショウメイダン』


 そして泳斗はその拳銃の銃口を建物の天井に向けた。

青いレーザー・サイトが天井を照らす。

泳斗はその引き金を強く引いた。

すると静かな音と共に銃口から黄色く光る弾丸が発射される。

 その弾丸は天井にぶつかる直前で弾丸の先から粘着ジェルが噴出。

そのジェルが天井に着くとその場で弾丸が固定。

そしてジェルが天井にくっついたことがスイッチとなり弾丸を中心としてその建物内に明かりが灯った。

その明かりでその建物内の照らされた。

 その建物はどうやら車の部品などが作られていたらしい工場で、それを作る器具や工具、止まったままのベルトコンベア、隣にある倉庫に運ばれることなく段ボールに詰め込まれた完成済みの部品などがそこにはあった。

コンクリートの床は黒い汚れが見られ何故か血の痕跡までもが残っていた。

 

「ハジメマシテ、シロムトイイマス」


 泳斗と羊谷は突然聞こえたその機械音の方向に顔を向ける。

 そこにいたのはなんとも不思議なモノ。

人間の頭部の1.5倍ほどの長さの頭部、それもただの頭部ではなく白のメタリックカラーに塗装された機械の頭。

顔とは別に上の部分にグレーのメタリックカラーでストライプが入っているのが特徴だった。

 体ももちろん頭部と同じように白のメタリックカラー塗装された機械。

同身長の男性と同じような体つきで、何百枚もの塗装がなされたパネルが体を覆うようにはめられていた。


「ギアソルジャーか……」

 泳斗はその様子を見てそう呟いた。


「ヤタガラスカラハイジョメイレイガデテイル……オマエラヲハイジョスル」 

 シロムはそういうと泳斗と羊谷に向かって走ってきた。


 その走りは通常の人型ロボットのようなぎこちない感じはまったくなく、普通の人間が走ってくるようにスムーズだった。



「どうします泳斗さん」

 羊谷は緊張のあまり額に汗をかきながらそう尋ねる。


「まかせろ、機械の弱点は俺だ」

 泳斗はそういうと両腕を前に出し掌をシロムに向けた。


「ウォーター・スピアー!!」


 そして掌の中心から水の槍が発射される。

 その水の槍は機械であるシロムの体に直撃。

しかし、機械であるハズのシロムの動きは止まることなく、泳斗と羊谷の頭をそれぞれ両手で鷲掴みにするとそれを持ったまま走り、床に叩きつけようとした。


 しかしその直前、羊谷は体から羊毛の大きな毛玉を出現させ自分の体と泳斗の体に隙間に入れた。

なんなく二人の頭部は羊谷の出現させた羊毛で床に叩きつけられることなかった。

 

 二人はすぐに立ち上がり戦闘体勢を整える。

シロムも同様で、すぐに走りかかってきた。


「羊谷!! 二手に分かれるぞ!!」

 泳斗が羊谷にそういうと二人は左右に走って分かれた。


 シロムがターゲットにしたのは羊谷の方だった。

シロムは驚異的な身体能力を発揮しひとっ跳びで羊谷の目の前に現れた。

羊谷はあまりに突然のことにすぐ動けなかった。

 泳斗はそれに気づき、両方の掌を自分の後ろに回し、水を噴射した。

するとロケットのようなスピードで羊谷の方へと向かっていった。


 しかし、シロムはそんなことお構い無しに両方の手を組みそれを羊谷の中腹部にかざし空気の弾を放出した。

羊谷は内蔵が飛び出るかのような感覚を感じた。

しかし出てきたのは大量の血。

それと同時に宙を舞う気持ちの悪い感覚に陥った。

羊谷はそのまま工場内前方斜め上へと飛ばされ壁に当たった。

そしてその壁から落ちその真下にあった完成済みの部品が入った段ボールの山に落ちていった。

 

 泳斗は一足遅かったことを後悔しつつもそのスピードを落とすことなくシロム目掛けて突っ込んだ。

シロムはかわしきれずに直撃を受け工場内の壁へと飛んでいった。


 しかし、羊谷がさっき壁にぶつかった時のような衝突音はまったくしなかった。シロムは壁に足のひらをつけ見事に着地していたのだ。

 

 シロムはそのまま壁伝いに天井へと走っていった。

泳斗が先ほど放った粘着照明弾を掴むとそれを握り潰した。

当然のごとく、工場内はまた真っ暗になった。

真っ暗になった工場内に鉄がガシャガシャと鳴る音が鳴り響く。


「暗視マスクつけといてよかったぜ」

 泳斗はそういうとアイマスクの横にピょっと出た黒いスイッチを押した。すると、泳斗が見えていた真っ暗な視界が晴れた。


 シロムは天井をしっかりと踏み込み蹴り出した。

そして足の裏の噴射口から火を噴射。

大きな音とともに泳斗の方へと飛んでいった。

 泳斗は咄嗟にそれを前回りで交わす。

しかし、シロムは右足裏の噴射口を直角に曲げ火を噴射し、すぐさま方向転換。

交わしたはずの泳斗目掛けて突っ込んだ。

泳斗は咄嗟に液体化する。シロムは確かな感触を得ることなくずぶ濡れになり液体化(リキッド・チェンジ)した泳斗の背後へと移動した。


「ジョウジ、ソノチカラヲツカワナイトイウコトハ、ナニカセイゲンガアルヨウダナ」

 シロムはそういうと目を光らせた。


 シロムの目が光った瞬間。目から二本の細いレーザーが放出した。

光の速さで突き進むレーザーに泳斗の液体化が追い付くハズもなく、二本のレーザーが泳斗の右肩と左脇腹を突き抜けた。


「ぐはぁっ」

 泳斗は血を吐きその場に倒れ込んだ、が、すぐに起き上がり液体化。

そのまま工場内の床を流れシロムの視線に入らない場所に身を隠した。


「こりゃあまずいな……」



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