刀馬班side day 2&3 ~ワンアイズゴースト~
翌日、烏間は眼帯の高校生 蟲山滋郎の情報を得るために栃技県へと飛び立った。
その他のメンバーの刀馬と一角と影裏はそれぞれ別行動になり、月曜で学校に大勢の生徒がいるなかで情報を集めることになった。
その中の何人かから重要な情報を得ることが出来た。
その内容は羽枦区の学生の間で話題になっている都市伝説の一つ。
ワンアイズゴースト(一つ目の幽霊)。
多数の学生からの情報をまとめると……。
数年前から金曜日の深夜に羽枦区内の住宅街を徘徊していると噂になっている幽霊。
片方の目が隠れており暗闇で右目だけがキラリと光って見えたという目撃情報からワンアイズゴーストと名付けられた。
しかしながらそれぞれの学校や生徒によって情報は様々で所々食い違う情報も多々あった。
しかし全ての証言者が唯一口を揃えて言うのは片方の目が隠れていたということだった。
その情報に加えて、更なる情報を得ることも出来た。
それはそこワンアイズゴーストが羽枦区郊外にある工場跡地から出てくるのを目撃したという情報だった。
その工場跡地は昔から幽霊が出ると噂されている羽枦区随一の幽霊スポットだった。
一説ではその工場跡地に足を踏み入れた者は生きて帰ってこれないという話もあるほど恐れられていた。
工場跡地が解体されるという案が上がると決まって工事責任者が亡くなったり解体を請け負った会社の業績が転落したりと不吉なことが多々起こっていた。
刀馬と一角は具体的な情報が得られないためその工場跡地について調べてみることになった。
工場跡地について所有している会社について調べると驚くべきことが分かった。
それは工場跡地の所有する会社が殺された立花が経営する株式会社タチバナだということだった。
株式会社タチバナがこの工場跡地を所有したのはおよそ5年ほど前、株式会社タチバナと幽霊スポットである工場跡地の関係に不審感を覚えた刀馬は株式会社タチバナについての情報を得ることにした。
株式会社タチバナは創業10年の若い建設兼不動産会社。
創業5年の年に業績がグンと上がり国内の建設会社でトップ5に入るほどの大企業へと成長していた。
その頃になると立花自身も区議会議員として活躍するようになっていった。
刀馬は株式会社タチバナの急成長の時期と工場跡地の所有権を得た時期と立花が区議会議員となった時期が一致していること、そしてそこに現れるというワンアイズゴースト、それに加えて立花が殺されたということに何かしらの関係性があると踏み、慎重に捜査をすることにした。
捜査三日目。
刀馬と一角は立花の友人関係に捜査範囲を広めて立花がどんな人物だったのか調べることにした。
何人かの証言をまとめると、立花はある日を境にして急に羽振りが良くなったという。
飲みや何か集まりがあれば決まって立花がお金を出すようになった。
そのことを友人の一人が尋ねてみたという。
すると返ってきた言葉はこうだった。
「ここだけの話、俺にはパトロンがいるからな」
その後、刀馬と一角は会社の業績の記録を調べるため株式会社タチバナを訪れた。
成果はかなりあり、創業1年目から4年目までは建設業界の中でも下層にいたのだが5年目を迎えると急激に増加し一気に上層へと上がり7年目にはついに業界トップ5にまで入るようになった。
「こりゃあキナ臭いぞ」
刀馬は経理部の女性から貰った資料を眺めながらそういった。
「ですね」
隣で同じ資料を見ていた一角もそういった。
「この資料ありがとうございました」
刀馬はそういうと資料を渡してくれた経理部の女性社員に深く頭を下げた。
刀馬と一角は経理部をあとにし、株式会社タチバナのオフィスを出ていった。
そして明日の火ヶ丸班との報告会に備えて資料をまとめることとなった。