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刀馬班side day 1 ~肉の焼ける匂い~

 本部組の刀馬、烏間、一角、影裏の刀馬班は現場付近で目撃が確認された眼帯をした怪しい高校生について調べるために二手に分かれて周辺の高校に訪れていた。

 刀馬と一角は羽枦区立西高校と北高校を担当し、残りの村守と影裏は東高校と南高校を担当した。

しかしこの日が日曜日で休日だったため、教師や部活動に来ていた少数の生徒にしか話を聞くことが出来なかった。

それに加えてそれぞれの高校の教師からクラス名簿を見せてもらい確認したが、どの高校にも眼帯をつけた男子高校生はいなかった。


 しかし、刀馬と一角が訪れた北高校のある教員から興味深い話を聞くことができた。


「ほんとうですか!?」


 刀馬は先ほど訪れた西高校での成果が全くなかったため諦めかけていたがついに情報を手にいれることが出来ると思い声を大きくした。


「詳しく聞かせてください。中川先生」


 その中川という眼鏡をかけた若い男性教諭によると。

一年前に勤めていた学校でいつも眼帯をつけた一人の男子生徒の担任を持ったことがあるという。

二年前、中川は栃技県にある公立高校で働いていた。

教師生活一年目を終え二年目を迎える中川は、新一年生の担任を任されることとなった。

そのクラスにいたのが眼帯をつけた男子生徒だった。


 最初その生徒はごく普通の男子高校生だったのだが、ある日を境にして眼帯をつけるようになり性格も暗くなっていた。

そして中川がその眼帯の生徒に視線をやると必ずその生徒は右目で中川のほうを睨むような鋭い視線で見ていたという。


 眼帯の生徒の名前は蟲山滋郎といい、クラス内で目立たない生徒で学校行事のある日は必ず休んだ。そのため学校に来て他人とは関係を持つことを嫌がるように、一人で机に座っていた。


 入学時の資料によると、眼帯の生徒の親は健在ということになっていたのだが、三者面談も断り連絡網で家に電話しても出るのはその生徒だけ。

気になり家へと訪ねたが、古いボロいアパートで中からは異臭がしており、近付きがたい雰囲気を醸し出していた。


 そして一学期が終わり、夏休みが終わるとその生徒は突然転校した。



「栃技でのことなんであまり関係ないとは思いますが、僕が知ってる眼帯の高校生というのはあの子だけです」


「ありがとうございます。とても参考になりました」


 その後、刀馬と一角は高校を後にし、夕飯を兼ねて焼肉屋で烏間と影子と合流することになった。

焼肉屋は炭火焼肉 牛べぇという名前の店で、席は全部個室となっているため警察官やUCA隊員など情報の漏洩を嫌う職種の人間にはうってつけの店だった。

烏間と影裏が来るのを待ち訪れたところで店内に入ると中は熱気でとても熱かった。

若い店員に個室の座敷席に案内されて四人は席についた。



「お疲れさま。烏間と影裏のほうは何か参考になる情報は上がったか?」

 刀馬は座敷に座るなり、一息つく暇もなくそう尋ねた。

その時、店員が水とおしぼりを持ってきた。


「いや自分達のほうは有力な情報はなかつたですね。班長はどうでしたか?」

 烏間は刀馬にそう尋ねると刀馬は眼帯の高校生について得た情報を話始めた。


「じゃあとりあえずその栃枝県の高校生の情報を集めましょうか。よかったら自分が調べますよ」

 烏間は刀馬の話を聞き終えるとそういった。


「じゃあ影裏も連れてい」


「いや、一人のほうが動きやすいですし警察にコネもあるので一人で十分ですよ」

 刀馬の言葉を遮るように烏間はそういった。


「そうか、じゃあ影裏は俺と一角と合流して明日からは改めて高校を訪ねて生徒達に目撃情報がないか聞いてみよう」

 刀馬はそういうと、焼肉屋のメニュー表を開いた。

 

 そして店員呼び出しボタンを押し店員が来るのを待ち、注文をした。

少々の雑談をしていると店員が生肉を丸皿に乗せてやって来た。そのすぐあとに別の店員が七輪を二つ持ち机にはめた。

頼んだメニューが届くと刀馬と一角が率先して肉をとり、網に置いた。

すると肉の焼けるいい匂いが個室となっている室内に充満した。


「というか影裏、肉嫌いじゃなかったっけ?」

 一角はにやにやと笑いながらそう尋ねた。


「まあ……私はホタテ焼き食べますので」

 影裏はうつ向きながらそういった。


「そっか、なんか悪いな。じゃあホタテ焼き20個頼むか!!」

 刀馬はそういうと勢いよく店員呼び出しボタンを押した。


「そんなに食べれないですよ……」

 影裏は頬を赤らめ顔を上げて慌てたように首と両手を左右に振った。


 しかし刀馬はお構い無しに、訪れた店員にホタテ焼きを30個も注文した。


「班長、そんなに頼んで財布大丈夫なんですか? 自分は今金持ってないですよ」

 烏間は刀馬にそう尋ねた。


 そういわれると刀馬は自分の財布を取り出し中を確認した。

そして財布の中身とメニューを照らし合わせた。

すると刀馬の顔はほんの少し青ざめた。


「ヤバい。小銭入れしか持ってきてなかった……烏間、悪いけどこれで金卸してきてくれないか?」

 刀馬はそういうと烏間にキャッシュカードを渡した。

 

「じゃあちょっと行ってきます」

 烏間はキャッシュカード受け取ると個室を出ていった。

 

 一角と影裏はその光景に驚きの表情を見せていた。


「キャッシュカード渡すのはいろいろ不味いんじゃないですか」

 一角は刀馬にそう尋ねた。


「まあこれでも、あいつのことは信用してるからな」

 刀馬はそういうと手元にあるビールのジョッキを手に取り一気に飲んだ。


 10分足らずで烏間が戻ってくるまで三人は雑談をした。

そして烏間が戻ってくると食事を続け約二時間ほどで焼肉屋を出た。


「今日はお疲れ様。それじゃあ明日からは頼んだぞ烏間」

 刀馬はそういうと片手を上に上げて後ろを振り返り去っていった。

 

 他の三人も刀馬を見送ってからそれぞれの帰路へとついた。

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