3 旅立ち
「ほんとに大丈夫?東京なんて人が多くて、
ものも高いし、変な人いっぱい居るんやで?」
「さびしいよ…着いたら電話してね…。」
施設の2人の同期は私をとっても心配してくれる。
気が強くてちょっとギャルな澪と、
大阪弁に憧れ似非方言を話すつり目の悠里。
10歳の時にこの施設に移ってから出会った。
この児童養護施設には18歳までしかいられない。
誕生日が4/2の私は新年度に合わせて、18歳の3月上旬に思い出の詰まった、我が家同然の施設を出ていくことにした。
皆あと1年と待たずにこの施設から出ていきばらばらになるのに、もう8年間の付き合いだからか、
昨日の夜からずっと私を引き止めてきた。
「だいじょぶだよ〜、小さい頃住んでた事あるって言ったじゃん!仕事だって決まってるし!!」
別に嘘じゃない。母と過ごしていたとき、外に出ることはほとんどなかったけど、あの家は確かに東京にあった。
「そうだけど〜〜〜〜、悠里はちゃんと言いたいこと
伝えなくていいの!?もう会えないかもだよ!?」
澪が焦りながら悠里の方にこそっと顔を向ける。
「まぁ、負担になりたかないしなぁ…
最後なら尚更。気持ちよく送り出したいやん」
両手を腰に当てたまま悠里は下を向いていた。
「もう!!ほんっと情けない!いくじなし!!!」
「まぁまぁ…2人とも元気でいてね、喧嘩しないでよ?」
最後にと思った私は2人を引っ張り、力の限り抱きしめた
「いただだだぁぁぁっ!!!」
「ぎゃぁ!」
2人が悲鳴を上げてしまった。
「ごめん、つい気持ちが入って…大丈夫?」
「まじでつい数週間前までJKだった女子が出しちゃいけないレベルの力だわ〜、昔からそーよね笑」
「俺もっと筋トレしようかな…澪一緒にやらね?」
「やだよ」
幼いころから私は力が強くて、自分でも驚かされた。
けど、この引っ越し荷物のリュックとキャリーを移動させるのには便利だ。素敵。
施設長への挨拶も済ませ、親友への別れも告げ、
事前に予約していた新幹線に乗って、東京へ旅立った。




