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怪物のおはなし  作者: NoN
3/6

3 旅立ち

「ほんとに大丈夫?東京なんて人が多くて、

ものも高いし、変な人いっぱい居るんやで?」

「さびしいよ…着いたら電話してね…。」


施設の2人の同期は私をとっても心配してくれる。

気が強くてちょっとギャルな澪と、

大阪弁に憧れ似非方言を話すつり目の悠里。

10歳の時にこの施設に移ってから出会った。


この児童養護施設には18歳までしかいられない。

誕生日が4/2の私は新年度に合わせて、18歳の3月上旬に思い出の詰まった、我が家同然の施設を出ていくことにした。


皆あと1年と待たずにこの施設から出ていきばらばらになるのに、もう8年間の付き合いだからか、

昨日の夜からずっと私を引き止めてきた。


「だいじょぶだよ〜、小さい頃住んでた事あるって言ったじゃん!仕事だって決まってるし!!」


別に嘘じゃない。母と過ごしていたとき、外に出ることはほとんどなかったけど、あの家は確かに東京にあった。


「そうだけど〜〜〜〜、悠里はちゃんと言いたいこと

伝えなくていいの!?もう会えないかもだよ!?」

澪が焦りながら悠里の方にこそっと顔を向ける。


「まぁ、負担になりたかないしなぁ…

最後なら尚更。気持ちよく送り出したいやん」

両手を腰に当てたまま悠里は下を向いていた。


「もう!!ほんっと情けない!いくじなし!!!」

「まぁまぁ…2人とも元気でいてね、喧嘩しないでよ?」


最後にと思った私は2人を引っ張り、力の限り抱きしめた

「いただだだぁぁぁっ!!!」

「ぎゃぁ!」

2人が悲鳴を上げてしまった。


「ごめん、つい気持ちが入って…大丈夫?」


「まじでつい数週間前までJKだった女子が出しちゃいけないレベルの力だわ〜、昔からそーよね笑」

「俺もっと筋トレしようかな…澪一緒にやらね?」

「やだよ」

幼いころから私は力が強くて、自分でも驚かされた。

けど、この引っ越し荷物のリュックとキャリーを移動させるのには便利だ。素敵。


施設長への挨拶も済ませ、親友への別れも告げ、

事前に予約していた新幹線に乗って、東京へ旅立った。

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