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90話 一点集中

 ギリギリのところで振り下ろされた鎌が弾き飛ばされ、俺の目の前に立ちふさがる白い骸骨。その姿に一瞬、信じられない思いがこみ上げた。


 しかし、そんなことを考えている暇はなかった。その骸骨は迷うことなく自身の目の前にいる『圧倒的存在』――白銀に輝く骸骨に向けて、巨大な大剣を振り上げた。


 その一撃は、周囲の風を巻き起こしながら白銀の骸骨の身体を直撃する。耳をつんざくような轟音とともに、白銀の骸骨は地面に叩きつけられ、遠くへ吹き飛ばされた。


 俺はその光景に呆然と立ち尽くしていたが、目の前の白い骸骨が俺に向き直り、不気味に骨を歪ませた。


「カイル君、大丈夫だったかい!?」


 その声を聞いて、俺は目を見開いた。王宮の地下で出会った、ふざけた性格の『あのガイコツ』だった。


「あなたは……!どうしてここに!?」


 俺は、いつの間にか消えていた心臓の痛みに気づきながら立ち上がった。


「まぁ、細かいことは後だよ。それより無事だったかどうかが大事だろ?」


 ガイコツは軽い調子で言いながら、大剣を肩に担いだ。


「そうですね……ギリギリでしたけど、助かりました。ありがとうございます。」


 俺が答えると、ガイコツは骨の顎をカクカクと動かして笑うような仕草を見せた。


「そうか、ならよかった。」


「それより、国王や王女はどうなったんですか!?この街にいた人たちは?」


 俺が聞くと、ガイコツは少し声を低くして答えた。


「街にいた人たちは、兵士たちを除いて街はずれにある避難所に全員避難させたよ。心配しないで!ちゃんと無事だから。」


「そうですか……よかった。」


 俺は胸をなで下ろしながら、心の中で思った。


(ということは、フェンリとノアもきっとそこにいるはずだ。ひとまず安心だ……。)


 しかし、安心するのも束の間、周囲に禍々しい魔力が再び押し寄せてきた。


「やれやれ、あの程度じゃさすがに倒せないか……。」


 ガイコツが大剣を軽く振りながら呟いた。俺もそちらに目を向けると、遠くの空間がゆがみ、宙に浮かぶ白銀の骸骨の姿が現れた。


 その身体は以前よりもさらに強い光を放ち、俺たちに向かってゆっくりと近づいてくる。


「……やっぱり化け物だ。」


 俺は拳を握りしめながら、再び杖を構えた。足元が震えているのがわかるが、それでもここで逃げるわけにはいかない。


「カイル君、戦えるかい?」


 ガイコツがこちらに振り返りながら問いかけてきた。その声は冗談めいているようで、どこか真剣さを感じさせる。


「戦えます。俺も、やれることをやりたい……!」


「よし、それでいい。二人で力を合わせて、あいつを倒そう!」


 ガイコツがそう言うと、俺の横に並び、大剣を構えた。その姿はまるで、絶望に抗う光のようだった。


 再び迫り来る白銀の骸骨。その圧倒的な存在感に飲み込まれそうになるが、俺とガイコツは並び立ち、力を合わせて立ち向かう覚悟を決めた。


「俺たちの力で、あの怪物を倒す!」


「その意気だ、カイル君!」


 二人の覚悟が重なった瞬間、戦いの幕が再び上がった。


 俺とガイコツが白銀の骸骨に向き直ると、奴はその場に立ち尽くし、深紅の眼光を俺たちに向けた。


「我と同じ存在……この街のどこかにいることは感じていたが……まさか、我に立ちはだかるというのか。」


 低く、不気味に響く声があたりに広がり、その威圧感が空気を重たくする。


 白銀の骸骨の言葉に、俺の横で剣を構えたガイコツが青い眼光をきらめかせ、軽く肩をすくめて答えた。


「悪いけど、僕は君のことなんか知らないし、知るつもりもないよ!僕は、僕の友達になってくれたカイル君を守るだけさ!それに……この街を壊したことだって、絶対に許せない!」


 挑発するような口調のガイコツに対し、白銀の骸骨の赤い眼光が一瞬揺れる。


「貴様が大志を抱き、蘇った英雄とは到底思えんな……。」


 白銀の骸骨は意味深な言葉を呟くと、ゆっくりと両手を掲げた。


「よかろう……その腐りきった大志、我が打ち砕いて見せよう。」


 奴の言葉と同時に、無数の黒い魔力の塊が奴の周囲に次々と現れた。魔力の塊は蠢くたびに不気味な音を立てながら膨張し、俺たちに向かって一斉に放たれる。


「僕が弾く!カイル君、攻撃を頼むよ!」


 ガイコツが俺を守るように前に出て、大剣を振り回し、次々と迫る魔力の塊を弾き飛ばしていく。そのたびに剣が黒い閃光を散らし、空気が震えた。


「わかりました!」


 俺は必死にガイコツの背中に隠れながら、杖を握り締め、魔力を高めていく。全身の血が逆流するような感覚に耐えながら、イメージを構築する。


雷刃(サンダー・スラッシュ)!!」


 稲妻をまとった刃が空間を切り裂き、白銀の骸骨の胸元を正確に捉える。その瞬間、爆発音とともに閃光が走り、奴のローブが焦げる臭いが漂った。


 だが――。


「くっ……!やっぱり駄目です!俺の魔法じゃ、奴に効かない!」


 俺の絶望の声が響く中、白銀の骸骨は一切動じることなく、赤い眼光をこちらに向けたまま立ち尽くしている。


「落ち着いて、カイル君!」


 ガイコツが大剣で迫りくる魔力の塊を次々と弾きながら声を荒げる。


「アイツにも、絶対に弱点があるはずだ!僕だって、あいつと同じ『生き返った』存在だからわかる!魔法が効かないのも、剣で切ってもダメージがないのも……絶対に何かカラクリがあるんだ!」


 ガイコツの言葉に、俺は一瞬の迷いを振り払うように頷いた。


「……探します!!」


 奴の弱点――それを見つけ出さなければ、この戦いには勝てない。そう確信した俺は、杖を握り直し、奴の動きを注意深く観察し始める。


 白銀の骸骨は再びゆっくりと宙に浮き、俺たちを見下ろすような態度を見せた。その威圧感は依然として凄まじく、全身の毛穴が開くような恐怖が襲ってくる。


 奴のローブが僅かに揺れるたび、その下から見える骨のような身体には、かすかに光る紋様のようなものが刻まれていることに気づく。


「……あれは?」


 俺は、奴の骨の身体に描かれたその模様に目を凝らした。複雑に絡み合った紋様が時折、かすかに青白く輝いている。


「あの模様……!」


 ガイコツも気づいたのか、低い声で呟いた。


「カイル君、あの紋様だ!あそこが奴の本体の核に違いない!」


「わかりました……!でも、どうやって狙えば……!」


「僕が奴の注意を引きつける!君はその隙に、魔法であの模様に攻撃するんだ!」


 ガイコツの言葉に俺は大きく頷いた。


「……わかりました!援護を頼みます!!」


 戦いは更に勢いを増す――。

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