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565話 決意と和解と再出発

 翌朝――っと言っても、赤月のせいで今が夜か朝かなんて分からないが……俺たちは再び謁見の間に集められた。

 昨夜の会議の余韻を残したまま、緊張と静寂がホールを満たしている。


 赤い絨毯の先、玉座に腰掛けるディレオス王は、目覚めの疲労を押し隠すように背筋を伸ばしていた。

 その前で、アルマが静かに膝をつき、深く頭を下げる。


「陛下。昨夜決定した作戦について、改めてご説明いたします」


 声は抑えていたが、張りつめた気配が滲んでいた。


「予想より負傷者が多く、未だ意識を取り戻さぬ者も多数おります。……ですが、猶予はありません。

 よって――二日後、回復を終えた少数の者のみでルーナ討伐に向かうことを確定としました」


 謁見の間に微かなざわめきが走る。


 アルマは続けた。


「現時点で討伐に参加することが決まっているのは、私、アルベリオ、カリーナ、ルミエラ、そしてカイル。

 ……この五名です」


 王の護衛たちが思わず顔を見合わせる。

 五名――あまりにも少ない。それを痛感しているのは俺たち自身だった。


 アルマはさらに続ける。


「その他、意識が戻った者がいれば作戦に加えます。

 しかし……現状は厳しいと言わざるを得ません」


 ディレオス王は顔を伏せ、苦しい表情で俺たちを見渡した。


「……ロガン殿たちも、か?」


「はい。治癒魔法を施し目を覚ましたのですが、王都に到着すると同時に意識を失うように倒れ、そこから一度も目覚めておりません」


「そんな……あの強そうな御仁が……」


 王の側近の誰かが小さく呻く。


 アルベリオが肩を落としながら口を開く。


「ライナス――彼に関しては、負傷の蓄積があまりにも多い。

 ……さらに、あの柔軟すぎる身体が枷となり、治癒魔法の効果が定着しにくい状態です。

 通常の医療行為も施しづらく……正直、治療は難航しています。

 実力があるだけに惜しい人材でしたが……仕方ないでしょう」


「兄さん……」


 言いながら、胸の奥がきゅっと締め付けられる。


 アルマが言葉を引き継ぐ。


「その他の勇者たちで意識を取り戻している者もおりますが……戦闘が可能な状態には到底ありません」


 ディレオス王は深いため息を落とした。


 ふと、ルミエラが呟く。


「……シオウは?  結局見つかったの?」


「不明よ」


 アルマは唇を噛む。


「王都へ向かう前、戦場を探したけど……跡形も何もなかったわ」


 その言葉は、そのまま全員の不安を代弁していた。


 王はしばし沈黙した後、静かに言う。


「……そうか。現状は理解した。だが、少数での討伐は危険を伴う。

 覚悟は……できているのだな?」


 アルマ、アルベリオ、カリーナ、ルミエラ――そして俺は、自然と頷いていた。

 迷いは残っている。しかし立ち止まる選択肢はもうない。


「……はい。必ずルーナを止め、ノアを――世界を救ってみせます」


 謁見の間の空気が、ゆっくりと、しかし確実に戦の気配を帯びていった。



 ―――。



 謁見を終えた俺たちは、一旦王城を離れ、それぞれが準備と休息に取りかかることになった。

 アルベリオたちと別れ、街路を歩いていたところで、遠くから切羽詰まった声が俺を呼んだ。


「カイル……! 本当に行っちまうのかよ!?」


 振り向くと、息を切らしながらライガたちが走ってくる。

 俺はゆっくりと頷いた。


「はい……。二日後に転移石を使って、直接ポッポードに飛ぶみたいです」


 その言葉を聞いた瞬間、ジャンガが叫んだ。


「俺たちも……俺たちも連れてってくれよ!」


 叫び声とは裏腹に、ジャンガの足は震えていた。

 恐怖を知っている身体が、前へ出ようとする心に追いついていない。


 今回の戦いに、彼らは連れて行けない――それを決めたのはアルマだ。


 “勇者でもないただの子供に、これ以上の負担はかけられない”


 もっともだと俺も思った。

 フェンリは未だ意識が戻らず、ライガたちも心身ともに限界が近い。


 俺は静かに首を横に振った。


「すみません……それはできないんです」


 俺の言葉は、火に油を注ぐようなものだった。


「それは、俺たちが弱ェからか!? 

 俺たちが何もできず、簡単に死ぬって思ってるからか!?」


 ライガの怒号が、通りに響いた。

 胸の奥を殴られたようで、痛いほど言葉が出なかった。


 彼らは“置いていかれる理由”を、分かっている。

 分かっているからこそ、納得しない。悔しいのだ。


 沈黙した俺たちの間に、フィーニャの震える声が落ちた。


「ノアちゃんと……レアちゃんは、無事……だよね?」


 その問いは刺すように痛かった。

 俺は言葉を選ぶこともできず、唇を噛みしめたまま吐き出す。


「……分からないんです。何も。俺たちは一度戦場を退いた。

 これ以上何も出来ることはないと……逃げたんです」


 言葉にした途端、胸の奥がねじれるように痛む。

 怒りを燃やしていたライガたちの目からも、その炎は消えた。


 彼らも理解している。

 ルーナの強さを。

 奴の狂気を。

 そして、ノアとレアが今どんな危険に晒されているかを。


 だからこそ、言い返すことができなかったのだろう。


「でも……俺は助けに行かなくちゃならないんです」


 自分でも驚くほど、声が震えていた。


「約束したんです、ノアと……。

 この戦いが終わったら、大切な話をするって」


 そう告げた瞬間、フィーニャが俺の手をそっと握ってきた。

 小さくて、温かい、けれど折れそうな手だった。


「絶対に二人を助けてきて……お願い。

 私たちに出来ることは少ないけど……ここで、待ってるから」


 涙を堪えて絞り出した声に、俺は深く頷いた。


「えぇ。必ず二人を助けて戻ります」


 それだけ告げ、その場を離れた。


 ――俺は一度王城へ戻り、城内の医務室に足を運んだ。


 薄暗い室内には治癒魔法使いたちの光がちらつき、重い空気が漂っている。

 何人もの負傷者が安静を保ち、浅い呼吸を繰り返している中――。


 兄ライナスは、まるで眠るように横たわっていた。


 全身に巻かれた幾重もの包帯。

 右腕は紫色に腫れ上がり、治癒魔法の痕跡すら追いついていない。

 残された痛々しい傷跡が、兄の戦いの激しさを物語っていた。


「兄さん……絶対に目を覚ましてくださいよ。

 あなたは父さんたちに……会わないといけないんですから」


 ぽつりと呟き、ベッドの横に立てかけられた大剣に目を向ける。


 ボロボロだった。


 刃こぼれだらけのその剣で、兄は最前線を戦い抜いたという。

 俺がポッポードへ飛ばされていたあの間、兄は何度倒れても立ち上がり、仲間を救い続けていた――。


 “誇らしい兄だ”。


 胸の奥で、自然とそう思えた。


 精神の強さは誰にも負けない。

 俺はまだまだ兄に追いつけていない。


「……俺も、兄さんみたいに強くならなきゃ」


 新たな決意が胸に灯るのを感じ、俺は立ち上がった。


 次に向かった先は――再び、王城の謁見の間だった。


 ディレオス王はまだ玉座に残っていた。

 疲労が見えるはずの時間帯だというのに、その姿勢は正しく、王の威厳を崩さない。


 突然の訪問に驚きを見せながらも、穏やかに声を掛けた。


「カイル殿。まだ何か話が?」


 俺は片膝をつき、深く頭を下げた。


「殿下……お願いがあって来ました」


「願い、とな? 一体なんだ」


 静寂を切り裂くように、俺は言った。


「新しい杖を新調してほしいのです。

 それも……”黒魔法”の、威力を引き上げる杖を」


 その瞬間――王の顔から笑みが消えた。


 ノワラでは黒魔法は“忌むべきもの”だ。

 触れることすら禁じられ、語られることも避けられる禁忌。


 玉座の上に重い沈黙が降りた。

 兵も側近も動かない。

 空気が凍ったように静まり返る中、俺は王の返答を待ち続ける。


 やがて、ディレオス王がゆっくりと口を開いた。


「……そなたが私を恨む理由の一つは、その黒魔法であったな」


 王の声は低く、どこか遠い記憶を探るようだった。


「あれは……もう二年も前のことか……? 懐かしいな」


 王の目はまっすぐ俺を見据えていた。


 しかし、王は目を細め、静かに伏せる。

 しばしの沈黙のあと、ディレオス王はぽつりと呟いた。


「――あの時の私は、どうかしていたのだ」


 重い吐息に混じって落とされたその言葉は、玉座の間の静寂を震わせた。


 王はゆっくりと視線を外し、まるで遠い過去を見るように天井を仰ぐ。


「怒りに呑まれ、民を守るという言葉に逃げ……その実、自らの恐怖に縋った。

 その結果、私は一人の優秀な魔法使いを――其方を――理不尽に危機へさらした」


 その声は、王が人であることを痛いほど思い出させる、弱さを含んでいた。


「私はまだ、あの時の贖罪を果たせていない。

 いくら時が経とうと、心のどこかで引っかかったままなのだ……」


 玉座の影に落ちる王の顔は、悔恨の色を隠そうとしなかった。


 その目が再び、俺をまっすぐに射抜く。


「カイル殿。其方がなぜ――この場で黒魔法の名を明かしたのか。

 私には分かる」


 深く、重く、確信をもって王は言った。


「其方も覚悟しているのだな。

 次の戦いでは――すべての力をぶつけねば勝ち目はない、と」


 俺は言葉を返せなかった。

 ただ、拳を握り、僅かに頷いた。


 ルーナを止めるために、ノアを救うために。

 禁忌だろうが、忌まわしかろうが、使える力はすべて使う――その覚悟を、俺は抱いている。


 王は静寂の中、ゆっくりと立ち上がった。

 玉座の影が長く伸び、王の威厳が再び場に満ちていく。


「……よかろう」


 その一言に、玉座の間の空気が変わった。


「杖の新調、許可する。

 ノワラの法は黒魔法を禁じているが――時に、国の法を破ってでも守らねばならんものがある」


 王の目は揺らがない。

 そこには迷いはなく、ただ“国の王”としての決意があった。


「其方が守るべきものを守るために必要な力ならば……私はそれを妨げはせぬ。

 職人たちに伝えよう。

 カイル殿のために、全力で杖を仕上げるようにな」


 俺の胸に張り付いていた重苦しいものが、静かに溶けていく。


「……ありがとうございます、殿下」


 声が震えた。

 けれど王はそれを咎めず、ただ静かに頷いた。


「礼は不要だ。

 其方が――ノア殿を、そしてこの世界を救う力となるのならば、それでよい」


 王の言葉は、重く、確かな希望だった。


 そして俺は、深く頭を垂れた。

 黒魔法の杖――禁忌の力を携え、すべてを賭けた戦いへと向かう覚悟は、もう揺らがない。



 ―――。



 二日間の休息。

 それは本来、戦いの前に与えられた束の間の安堵であるはずだった。

 だが俺にとっての二日は、胸の奥をゆっくりと締めつけ続ける長い長い拷問のように感じられた。


 アルマは言ってくれた。


 ”両親のもとで過ごすといいわ。あなたには、心も休息が必要よ”と。


 その言葉に従って家に戻ったものの、夜になればあの戦場の光景が脳裏に差し込み、昼になればノアの安否を考えてしまう。


 ――二日なんて、ただの一瞬でよかったのに。


 そんな感覚すら、今の俺には贅沢だった。



 ―――。



 そして、ついにその日が訪れた。

 ポッポードへと向かう日。

 転移石の前に立つ――その前に、両親に挨拶をしておきたかった。


 玄関でブーツを履きながら、母が震える声で背中に呼びかける。


「カイル……気をつけてね。

 あなたなら、大丈夫だって……信じてるから」


 父も続けて言う。


「何があっても……生きて帰れ。それだけでいいんだ」


 俺は静かに頷き、扉に手をかけた。

 深呼吸をして、外の冷たい光を吸い込むように扉を引く。


 ――その瞬間だった。


 ガラリ、と軋む扉の音。

 そして、扉の向こうに“ありえない姿”が立っていた。


 包帯だらけ。

 骨が折れきって治りかけたような、異様に歪んだ姿勢。

 それでも、確かに知っている輪郭で――。


「――兄さん!?」


 思わず声が裏返る。

 俺よりも後ろにいた両親は、もっと激しく取り乱した。


「ま、待て……カイル。その男は……」


 父の声が震える。


「ライナス……なのか?」


 ぼろ布のように垂れた腕が、ゆっくりと上がる。

 包帯の隙間から覗く皮膚は痛々しいほど青白かった。


「……久しぶりだなァ、親父」


 しゃがれた声。

 だが確かに、俺の知るライナスの声だった。


 両親は泣きそうな顔をしながら近寄ろうとしたが――。

 ライナスは、ズタズタの腕を突き出して制した。


「来んなよ。

 俺ァ別に……あんたらに会いたいなんて、これっぽっちも思ってなかった」


 その声音には、鋭い棘があった。


「ラ、ライナス……そんな……」


 母が一歩踏み出そうとするのを父が静かに支える。


 ライナスは、ぼさっとした髪をかき上げ、小さく鼻で笑った。


「あんたらは、俺をすぐに諦めた。

 すぐに“代わり”を見つけて……俺のことなんか、どうでもよかった」


 重く、湿った空気が玄関に満ちる。

 母の顔が歪み、父の拳が震える。


「違う……!」


 父は奥歯を噛んだ。


「俺たちだって……お前を失ったと思って、どうすればいいか分からなかったんだ」


「それで諦めたってワケか? 笑えねぇな」


 ライナスは乾いた声で言うと、肩をすくめた。


「まあ、いいけどよ。過去がどうとか、俺ァ興味ねぇ。

 辛気臭ぇ話すんのも嫌いなんだよ」


 そう言って、こちらに視線を向けてくる。


「カイルとも――まあそこそこ仲良くなれたしな。

 カイルが“親父たちに会え”ってうるせぇから、少し顔を出してやっただけだ」


 兄さんのその言葉に、父は息を呑んだ。


「ライナス……俺たちがしたことは、到底許されるものじゃない。

 でも……今ここから――家族として、また歩き出すことだって……」


「戻んねぇよ」


 ライナスの返答は短く鋭かった。


 母がまた泣きそうになった、その時俺は言った。


「でも、”新しく”始めることは……できるんじゃないですか?」


 ライナスは、俺の方を見て驚いた顔をした。でも、すぐに口角を上げ笑った。

 その笑顔は、包帯だらけの顔でも確かに“兄”だった。


 空気が柔らかく揺れる。

 玄関に満ちていた重みが、少しだけ溶けた気がした。


「――兄さん、もしかして戦うつもりなんですか?」


 俺が問うと、ライナスは笑った。


「当たり前だろ。弟だけに格好つけさせてたまるかよ。俺も行くぜ」


「でも、その身体で……」


「へっ、大丈夫だっての。

 死なねぇよ俺は。しぶとさだけは天下一だ」


 そう豪快に笑ったライナスの背後で、父がふと家の奥へ消えた。


 戻ってきたとき、父の腕には大きな布包みが抱えられていた。


 包みをほどくと、そこには白と黒――光と影を思わせる大剣が姿を現す。

 鍔の形、刃の反り、どれも“父の手”を感じさせる丁寧な仕事。


「……これを持って行け」


 父はそっと兄さんに差し出した。


「お前を失ったと思っていたとき……忘れないように打った剣だ」


 ライナスはしばらく大剣を見つめ――ふっと鼻を鳴らした。


「……やっぱ、俺ァ嫌いだァ、親父」


「そうか」


 父は笑い、母も涙を拭いながら笑った。


 家族の空気が、少しだけ戻ってくる。


 ――そして、俺たちは戦いの地へ向かう。


 その日まで失われていた家族の形が、ほんの少しだけ、確かに戻った気がした。



 ―――。



 家を出て、まだ身体を引きずるように歩くライナスと並びながら、俺は王都の石畳を踏みしめて進んだ。向かう先は――王都を囲む巨大な城壁の南門。


 ここは、俺が旅に出るとき、いつも最初にくぐった門だった。

 初めてこの街に来たときも、ノアやフェンリたちと冒険を始めた日も。

 どんな始まりも、必ずこの南門だった。


 だからこそ今日も、ここから再び歩みを始めるべきだと思った。

 俺にとって、ここは“出発”そのものだから。


 南門前には、すでに仲間の姿があった。


 風に揺れる白い外套を羽織ったアルベリオ。

 杖を突き立てて静かに瞳を閉じているカリーナ。

 赤黒い髪をふわりと揺らし、誰よりも余裕そうに笑うルミエラ。


 けれど、その笑みの奥には張りつめた鋭さが宿っている。

 ここにいる誰もが、覚悟を決めていた。


 俺とライナスが姿を見せると、ルミエラが指先で軽く髪を巻きながら言った。


「なぁんだ? ライナスも結局ついてくるんだ?」


 からかい混じりの声。

 しかしその奥にあるのは、仲間を数えるような安心感だった。


 ライナス兄さんは、肩に担いだ父の大剣を軽く叩きながら、にやっと笑う。


「ハッ……当たり前だろ。

 俺以外に誰が“大将”を強めるってんだァ?」


「大将ぉ?」


 ルミエラはわざとらしく眉を上げ、口角を吊り上げる。


「ボロボロのくせして、よく言うよ。

 立ってるだけで精一杯じゃない?」


「へっ、そりゃあ褒め言葉だな」


 二人の軽口を聞いて、緊張で固まっていた胸の奥が少しだけ軽くなる。

 こんな状況でも、仲間は――仲間だった。


「……全員、集まったようね」


 アルマさんが静かに言った。

 その声には決意の重みが宿り、場の空気が引き締まる。


 アルベリオが懐から青白く脈打つ転移石を取り出し、指先で慎重に持ち上げた。


「この二日間で、この石の“記憶”は解析済だよ」


 転移石の表面に、淡い光の渦がゆっくりと広がっていく。

 石が見てきた景色、記憶に焼きついた映像……そのすべてが、アルベリオの魔法によって引き出されたのだ。


「掘り起こした記憶の渦から見えた小さな小屋……。

 そこにノアさんとレアさんが居るのは間違いないね?」


 その問いに、俺は力強く頷いた。

 胸の奥で張りつめていたものが、形を成す。


「はい……! あの場所に、ノアたちはいるはずです!」


 ――まだ、間に合う。

 ルーナが見つけていない可能性は、確かに残っている。


 その一縷の望みに全てを賭ける覚悟で、俺たちは転移石を見つめた。


 淡い光の渦が一層広がり、風が巻き起こる。

 迷いも、恐れも、全部飲み込むほどの強い光。


「……行きましょう。ノアを……レアを助けに!」

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