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31話 ガムシルの秘密

 ガムシルを無力化しようと、俺とフェンリは再び共闘の構えを取った。


「次はしっかり動きを封じますよ、カイル!」


「はい、今度こそ逃がしません!」


 俺は土元素魔法を発動し、ガムシルの足元を揺らす。


大地振動(グランド)!」


 同時にフェンリが風元素魔法でガムシルの体を巻き上げる。


旋風弾ホワール・ウィンド・ブラスト!」


 風が交差し、ガムシルを完璧に拘束したはずだった。だが――


「それじゃダメだよ!ダメだって!」


 ガムシルは軽々と動き、魔法の拘束を解き放ってしまった。彼は揺れる足元をものともせず走りながら、笑い声を上げている。


「オレを甘く見ちゃ困るね!困るよ!」


「なっ……!?」


 フェンリが驚愕の表情を見せる。俺も信じられない気持ちだった。この短時間で何度も拘束系の魔法を試みてきたが、ガムシルはどれも苦もなく突破してきたのだ。


「カイル、これは……何かおかしいですね。」

「えぇ、どう考えても普通じゃない。まるで拘束系の魔法”だけ”が効いていないみたいです……。」


 俺たちが不審に思っていると、ガムシルが楽しげに声を上げた。


「なんでオレがすぐ拘束から逃げれるか、教えてやるよ!教えちゃうね!」


 俺とフェンリが睨む中、ガムシルは得意げに胸を張った。


「オレには産まれつきの“脱出の加護”があるんだ!だから拘束の類は全部無効さ!」


「加護……?」


 俺が疑問を口にすると、隣のフェンリも眉をひそめた。


「聞いたことがありませんね……。カイルは?」


「いや、俺も初耳です。加護なんて、本当にそんなものがあるのか……?」


 ガムシルは俺たちの戸惑いを楽しむように笑い声を上げた。


「本当にあるんだよ!加護!これがオレの力さ!」


 彼の言葉が嘘とも思えないが、信じがたい話だった。

 生まれつき、魔法を無効化する能力があるなんて聞いたこともない。いや、ただ俺たちが知らないだけかもしれない……だが、確かに彼があれほど簡単に拘束を破れる理由としては辻褄が合う。


「……カイル、どうしますか?」


 フェンリが問いかけてきた。


 俺は短く息を吐き、観客席をちらりと見上げた。ざわめきが続いている。


(どうやら俺たちだけじゃなく、観客もこの“加護”に驚いているらしい。もしかして、こいつが持っているのはとんでもない希少能力なのかもしれない……。)


「フェンリ、直接攻撃に切り替えましょう。拘束に頼るのは時間の無駄かもしれません。」


 俺の提案に、フェンリは静かに頷く。


「分かりました。なら……!」


 次の瞬間、俺たちは同時に動き出した。二人の連携攻撃で、ガムシルの“脱出の加護”を突破する策を練りながら――。


 拘束が効かないと分かった俺たちは、ガムシルを直接戦闘不能にするべく動き出した。


「カイル、拘束は諦めて攻撃に切り替えましょう。」


「了解です。俺がサポートに回ります!」


 作戦は単純だ。俺が前に出てガムシルの気を引き、その隙にフェンリが後方から奇襲を仕掛ける。


 俺はまず土元素魔法でガムシルの足元を揺るがせる。


大地振動(グランド・シェイク)!……と土槍(アース・ランス)!」


 揺れる地面から尖った石柱がガムシルの足元を突き上げる。しかし、彼は驚異的な反応速度でそれを回避した。


「そんな攻撃じゃオレには当たらないよ!当たらないね!」


 ガムシルが跳躍した瞬間、フェンリの魔法が炸裂する。


風刃(ウィンド・カッター)!」


 鋭い風の刃がガムシルを襲うが、彼は空中で体をひねり、それすらもかわして地面に着地した。


「ちょっと!二人で集中攻撃なんて卑怯だよ!卑怯だね!」


 ガムシルは文句を言いながらも笑みを浮かべている。俺たちの攻撃を完全に遊び感覚で避けているようにも見える。


「カイル、攻撃を続けますよ!」


「えぇ、こいつを戦闘不能にするまでやめる気はないですよ!」


 俺はさらに火元素魔法を使って前進を妨害する。


火壁(ファイア・ウォール)!」


 火の壁をガムシルの進行方向に展開し、逃げ場を封じる。だが、彼はその隙間を軽やかにすり抜けていく。


 一方で、フェンリはガムシルの背後を完全に取った。手には圧縮した水弾が形作られている。


水弾(ウォーター・ショット)!」


 鋭い弾丸のような水がガムシルに向かって放たれる。が、ガムシルはその一瞬でさらに加速し、水弾を紙一重でかわした。


 観客席では驚きの声が上がっている。


「すごい……!あの二人の連携攻撃を避け続けている!」


 ノアが目を見開いているのが遠くからも分かる。


 その横でジャンガが呆れたように息を吐いた。


「いや、あれは普通じゃないな……。何かおかしいぞ。」


 一方でライガは真剣な表情でフィールドを見つめていた。


「……あのカイルとフェンリの攻撃をかわし続ける体力と反応速度……。あいつ、まだ何か隠してやがるな?」


 ライガの鋭い勘は正しかった。俺たちも攻撃をかわし続けるガムシルの動きには、何か特別な力があるように思えていた。


 攻撃を続けながら、俺とフェンリは互いに目配せをする。


「カイル、これは普通じゃありません。あの動きは、一体……。」


「えぇ、ただの俊敏さじゃないですね。何かまだ秘密があるはずです。」


 だが、推測している暇はない。ガムシルはこちらを見て、さらに挑発するような笑みを浮かべている。


「ほらほら!もっと来いよ!オレが全部避けてやるよ!やるさ!」


 俺たちは攻撃の手を緩めないまま、ガムシルの謎を見極めるべくさらなる連携攻撃を仕掛けた――。

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