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異世界戦記 ~ここで俺は最強に至る~  作者: かげ2500
第4章 冒険者編 

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115話 魔女と始める冒険者稼業

 翌朝、疲れが取れた俺は再び鉱山へと向かっていた。

 昨日の稼ぎはなかなかのものだったし、まだ山には大量の鉱石が眠っているはずだ。俺は簡単に金を稼げるこの仕事に少し調子に乗っていたのかもしれない。


 だが、鉱山前にたどり着いた俺を待っていたのは、予想だにしない事態だった。


 鉱山の入口付近には、昨日と同じように警備の冒険者たちが立っていた。

 しかし、俺が進もうとすると彼らが俺を制止した。


「待て。お前はここに入れない。」


 その一言に、俺は思わず足を止めた。


「え、どういうことですか?昨日は普通に入れましたよ。それに、ちゃんと採掘依頼も受けてます。」


 俺は少し混乱しながら、昨日受け取った依頼書を取り出して見せた。だが、警備員の冒険者は険しい顔をして首を横に振った。


「なんだ?知らないのか?この鉱山は、一生に一度しか入れないんだぞ。」


「……へ?」


 予想外の言葉に、俺は目を丸くした。昨日と同じように稼げる気満々だった俺の頭には、すぐには意味が理解できなかった。


「ちょっと待ってください。どういうことですか?一生に一度って……」


 警備の冒険者はため息をつきながら、俺に事の真相を説明してくれた。


「この鉱山内には即死性の毒が充満している。ただし、初めて入った時は毒の効果は発動しないようになっている。だが、一度外に出て新鮮な空気を吸ったあと、もう一度あの毒を吸い込んだら……即死するんだよ。」


 その言葉に、俺は目の前が暗くなるような感覚を覚えた。昨日の疲れた体を早く休めたくて帰ってしまった自分を思い出し、背中に嫌な汗が流れる。


「お前、俺たちがいなかったら死んでたぞ。鉱山に戻れるのは、一生に一度だけ。それを知らずに戻ろうとしてたら、今頃あの世行きだったな。」


 警備員は肩をすくめてそう言ったが、俺は頭の中で混乱が収まらなかった。


「えっ、ちょっと待って……。昨日ギルドでそんな説明は受けてませんけど!?どうしてそんな重要なことを誰も教えてくれなかったんですか!?」


 俺の抗議にも、警備員はあっさりと答える。


「お前のような新入りには教えない決まりになってるんだよ。理由は簡単だ。この鉱山は貴重な鉱石が眠っている場所だからな。新入りが大勢押しかけて命を無駄にするのを防ぐためだ。昨日のお前のように他人が稼いだ分を見て、次の日も来たがる奴が多いんだ。でも、このルールを知ったら、誰も無理はしないだろ?」


「……そんな……」


 俺は思わずその場に立ち尽くしてしまった。確かに昨日、山の中で鉱石を掘っている時に妙な鼻を刺す匂いを感じたことを思い出した。あれが毒だったのか?何も知らずに掘りまくっていた俺が、今さらながら命を落とさずに済んだことが奇跡のように思えた。


「ま、せいぜい昨日稼いだ分を大事にするんだな。山の毒のルールを知らなかった新人が戻ろうとして、命を落とすことだって少なくないんだ。」


 警備員のその言葉に、俺はただうなずくことしかできなかった。



 俺は鉱山の前をあとにし、昨日の自分の行動を悔やんでいた。あの時、あの女性が「もっと稼げる」と言っていた言葉の真意が、ようやく理解できた。あの言葉には「一日で掘れるだけ掘ってこい」という意味が込められていたのだろう。


「……そんな重要なことを知らずに、無駄に帰ってきちまったのか……」


 金貨19枚と銀貨少々。それでも一日で稼いだ額としては十分すぎる。だが、この鉱山に戻ることができない以上、二度とこの方法で稼ぐことはできない。


(昨日あんなに掘れたのに……)


 後悔の念が頭をぐるぐる回り続ける。しかし、こうして命がある以上、これから新しい仕事を見つけるしかない。ギルドには他にも依頼が山ほどあるはずだ。ここで立ち止まるわけにはいかない。


「……仕方ない。次の仕事を探そう。」


 俺は気持ちを切り替え、街へ戻ることにした。


 これからは普段通りの冒険者稼業を続けるしかない。金を稼ぎながら生活を維持しつつ、何とか大金を手に入れる方法を模索しなければならない。


「……金貨100枚以上か……半年はかかりそうだな。」


 軽く計算してみたが、俺のような駆け出しの冒険者にはそれだけ稼ぐのに膨大な時間がかかる。時間がないわけじゃないが、そんなにここに長居していれば何が起きるかわからない。

 ノワラ国の使者や、またレグナのような危険な存在が現れるかもしれない。この街はノワラに近い。明日にでも奴らが来てもおかしくはない状況だ。


「とにかく大金を稼ぐ方法を探さないと……」


 そう考えながらギルドの扉を開けた。ギルド内はいつものように賑やかで、冒険者たちが掲示板を見上げたり、仲間と談笑していたりしている。

 俺も早速掲示板に目を向ける。だが、残っている依頼のほとんどは報酬に見合わないものばかりだ。中には良い報酬のものもあったが、どれも「パーティー推奨」と明記されている。


「……ソロじゃ無理か……」


 ため息をつきながら、それでも一応ダメ元でパーティー推奨の討伐依頼を受けに行った。カウンターにいたのはいつもの受付の女性だ。俺は依頼書を渡し、受けたいと伝えた。


「あの……この依頼、受けたいんですけど。」


 女性は依頼書に目を通した後、すぐに苦い顔をして俺に言った。


「すみません、この依頼はパーティー推奨のものとなっていますので……」


「ああ、そうですよね……」


 落胆する俺を見かねたのか、彼女は少し考え込んだ後、提案してきた。


「そうだ!臨時パーティーを組むのはどうでしょうか?」


「臨時パーティー?」


「はい。同じようにソロで活動している冒険者と一時的にチームを組んで依頼を受ける方法です。または、すでにあるパーティーに飛び入りで参加することもできますよ!」


 その提案に少しだけ希望を感じた。なるほど、一時的にでもパーティーを組むことができるのなら、報酬の良い依頼にも挑戦できるかもしれない。


「なるほど……それなら試してみます。ありがとうございました。」


 受付の女性に礼を言い、俺は早速ギルド内で臨時パーティーを組める冒険者を探すことにした。しかし、それは想像以上に厳しい道のりだった。


 ギルド内を見渡し、まずは近くにいた中年の冒険者グループに声をかけてみた。


「あの、俺もこの依頼に参加したいんですが、一緒にどうですか?」


 しかし、返ってきたのは厳しい言葉だった。


「ガキはちょっとなぁ……戦力になるか怪しいし。」


 次に声をかけた若い男女のペアは顔を見合わせ、冷ややかに笑った。


「子供は無理だね~、危なっかしくて一緒にいられないよ。」


「ね~!それに私はあなたと二人っきりがいいわ…」


 さらに別の冒険者に話しかけたが、今度は言葉もキツかった。


「分け前はなしなら考えてやるぜ?」


 こうした断りの言葉に加えて、最後にはこんな言葉まで浴びせられる始末だった。


「貴方、魔女様と喧嘩してたから私嫌い!」


 思わず頭を抱えた。どうやら例の『魔女』とのトラブルの噂が広まっているらしい。思わずため息をつき、ギルドを後にした。


 ギルドの外で地面に座り込み、俺は深い溜息をついていた。


「やっぱり、時間かけて地道に稼ぐしかないか……」


 そんなことを考えていると、突然目の前に影が立ち止まった。


「ん?」


 顔を上げると、そこに立っていたのはあの『魔女』だった。先日俺に攻撃を仕掛けてきた、例のトラブルメーカーの女。謹慎を言い渡されたはずの彼女が、堂々と目の前に立っている。


「……なんですか。謹慎中のはずでは?」


 俺は彼女に警戒しながら問いかけた。彼女はふっと鼻で笑い、俺を見下ろすようにして言った。


「アンタがギルドで声かけて回ってたのを聞いたよ。パーティーに入れてくれる奴、見つからなかったんだろ?」


 俺はぐっと言葉を飲み込む。どうやら、ギルド内での俺の行動を見られていたらしい。


「……それがどうしたんですか。」


「どうもしないさ。ただ……ちょっと暇だから、手伝ってやろうかと思ってね。」


 その言葉に、俺は目を丸くした。


「……は?」


 思わぬ提案に、思わず聞き返してしまう。彼女は不敵な笑みを浮かべたまま言葉を続ける。


「アンタ、金が必要なんだろ?だったら、私と組むのが一番手っ取り早い。実力は保証してやるよ。」


「……俺を襲ってきた人が、何を言ってるんですか。」


「襲ったのは悪かったって言っただろ。だから、償いも兼ねて手伝うって言ってんのさ。」


 彼女の目には、少しも悪びれた様子はない。だが、俺は悩んだ。この女と組むことには当然リスクがある。しかし、それでも報酬の良い依頼を受けられるチャンスになるかもしれない。


「どうする?断るならそれでもいいけど、アンタみたいなガキを拾ってくれる物好きは、そういないと思うけどね。」


 俺はしばらく迷った後、決意を固めた。


「……わかりました。貴女の力、借りさせてもらいます。」


「ふふっ、そうこなくっちゃね。」


 こうして、俺は魔女とパーティーを組んでしまった。――俺の冒険は、ますます波乱に満ちたものになりそうだ。

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