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第二章: 序章

第二章、開始です。

裏の住人もなって数ヶ月後から始まります。

どつやら、今回は普通の生活を巻き込んだ事態になる、、

悪寒が止まらない、夏の話です。

あれから数ヶ月。私が裏の住人となってもうそんな月日がたった。裏の住人、という日常と全く異なる価値観で生きる生活は意外にも心地が良い。

裏の住人は、『なんでもやる』職業だ。本当になんでもやる。それが犯罪だったとしても。。なんでもだ。


最初は理解できなかった。そもそも、趣味のBAR回りをしていた、ただの主婦が誤解されて拉致されて、そして強制的に裏の住人の証のタトゥを入れられ。、そこから、はい!お仕事!という普通の人間なら狂うような状況。しかし、私はそれをなんだかんだと飲み込んでそのまま裏の住人になってしまったわけだ。同じ裏の住人曰く、かなりレアケースだというし、かく言う自分で自分の説明もかなり難しい。

だが一つ分かってることは、今の所、普通の主婦と裏の住人の二足の草鞋をしっかり履きこなせているということだ。


「りーこ、ねぇ聞いてる?」

ふと私を呼ぶ声。普通の生活での知り合いからは当たり前だが本名に近いあだ名がある。私の本当の名前は、神藤りいんという、一見すると芸名のような、ひらがなで書く名前なのだ。なので、さらにそれを崩して呼ばないといけないわけで、色々お世話になっている大切な友人。

「最近、なんか反応鈍くない?寝不足?」

友人は少し心配そうに私の顔を伺ってきた。

「マイちゃん、大丈夫。でも寝不足は当たってるけど。」

それを聞いたマイちゃんは、豪快に私の背中をたたく。

「寝ないと!美容の大敵だって毎度言ってるのに〜。」

マイちゃんは、とても綺麗でスタイルもいい。この友人にも裏の住人の話はしていない。もし話そうものなら、、、。

「りーこはさ、不眠症気味でしょ?眠れなくてつらいかもしれないけど、なるべく寝ようね。美容のためにも!」

いつでも人をちゃんと元気づけてくれる、この友人が大好きだ。だった、、近い将来にそう表現しなくてはいけなくなるとは知る由もなかったのである。


友人のマイと別れ、夕飯の準備をしに家に戻る私のスマホがけたゝましく鳴り響いた。

その電話の相手は、数ヶ月前から裏の住人仲間となった、ウシザキという三十代半ばといったスタイル良さめの男。

なんだかんだと新人の私世話役となっていた。

「ルカ、仕事だ。」

裏の住人となると、たまにお仕事を頼まれる。それをしっかりこなしていけば、お金も貰えるし色々な場所で美味しい想いができるとかなんとか。。

「これはお前の分野だと思ってな。臓器売買の話だ。」

「は…、臓器売買が私?」

全くもって関わったことのないことを私が適任だと言うのだ。あり得ないでしょうと会話を遮ろうとするのを、ウシザキは捲し立てるように私の発言を阻止する。

「まぁ聞けよ。その臓器売買の窓口やってんのがお前ら主婦らしいぞ。て、ことで宜しくな!詳細はまたメールする。」

ガチャッ、ツーツーツー。

電話はそこでバツっと切れた。最近ウシザキの私に対する扱いが雑になりすぎてる気がする。信頼してくれてるのか、もうすぐ半人前を抜けそうだと言うことなのだろうか?

一人前と認められれば、組織内部やそれのTOPに会えたり、報酬も倍増するそうだ。どうせなら報酬倍増がいいので言われた仕事はしっかりやることにしている。

そもそもからして、私は少しこういうドラマのようなスリルが大好きなのだ。まさか本当にそこに足を突っ込むとは思ってもみなかったが、呼び寄せの法則か運命かどちらにしろ今はこの生活もだいぶ落ち着いている。

というのに、今回の内容がかなり生々しい犯罪系なのだ。

武器を持ってるわけでもない私に何かあったらどうするんだ。。家族のことも気になるし。今回はパスするか。。

仕事は、一年に3回までパスすることができるらしい。

「あ、メールがもうきてるよ。。ウシザキめ。。」

こういうことはウシザキの方が上だ。人を操る能力に長けてる彼にはなぜか従ってしまう自分がいる。


最初は意味不明な挨拶文が続き、500字を超えたあたりから本題が載っていた。

《人身売買の入り口は、この地域の一般社会の主婦(お前みたいな裏主婦じゃないぞ(^^))や、昼の仕事をやってるパートタイマーとみられる。人身売買の新規ルートと思われるのでそこの大まかな調査よろ⭐︎ できれば、接触してうまく拉致…いや、いつもの店まで誘導で。それ以外はルカちゃんの器量でやっちゃって〜》

……。いつもこうだ。大まかに、適当に。その文言が多いせいで毎度色々やばい状況が起きるんだが。。 

漫画なら、額に怒りマークが浮かんでいるだろう。

「ふ、上等じゃないの。主婦は清廉潔白だとこの主婦の鏡と称される私が証明してやろうじゃないの。」

喉の奥に何かを押し込んだような、そんな不適な笑いを押し殺し、メールを消去する。これは数少ないルールだ。

そして、常に持ち歩いてた黒と銀の2連に見える一つの指輪を右手の中指につける。

この黒と銀の指輪は、わかる人ならすぐ気づくオグマという組織の人間の証だそうだ。それとは別に、本当の証のタトゥが私の足にも入っている。勝手に掘られたそれは目立たず、まだ誰にも気づかれてはいない、はずだ。。

妙な不安を覚え、ふっと悪寒を感じる、なんだろう、とても大切なこと.また忘れている気がするのだ。

「風邪、かなあ。なんか寒い。」


季節は、夏。なのに謎の悪寒。これから起きる一大事が、私の二足の草鞋生活を脅かすとは梅雨知らず。

ひとまずウシザキが指定してきたエリアへと車で移動するのであった。


つづく

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