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…道の信者です。悪しからず



 本日2回目の3話同時投稿の最終話です。

 この話は3/3です。



「司教…ですか」

「ええ、大変名誉なことですので、しっかりとアンドゥーブル様と教皇様に感謝の念を込めて信心に励んでください」


 ほうほう。翻訳すると、『いきなり序列4位の位階を授けてやるんだから、狂信しろ』って言ってるんだね。

 それにしても、信仰する神と同列に教皇を並べるなんてお馬鹿さんなのかな?

 それじゃあまるで、神と教皇が信仰対象みたいに聞こえるけど?寧ろ、実在する教皇の方が分かりやすく信仰しやすいだろうね。


 あと、何で僕が受ける前提なのかな?

 やだよ。


「すぴー…すぴー…」


 ん?んんん?んんんんん?

 なぁあんで、このお姫様は夢の世界にlet's go!してんのさ!

 今まで気がつかなかった僕も僕だけど!


 ま、まあいいや。起きてても話しが余計に拗れそうな予感がするし、このまま寝ててもらお。


「大変に名誉な事であろうとは存じますが、このお話はお引き受け致しません」

「んなぁ!?な、何故です!?下民(減点6)では守門(教会の門番)になることすら泣いて喜ぶのですぞ!」

「嬉しくないとは一言も申してません。僕は既に他の宗教に属しておりますから、大司教《《さん》》のお話をお受けできないのです」


 はぁ。

 宗教とは、人々の心の拠り所として存在するはずなのに、下民ってなんでしょうかねぇ…。

 貴族位を持つ、所謂上級国民なぞよりも圧倒的に平民(一般市民)の方が多いのに、その人々を蔑ろにするような大司教さんが属する宗教なんてたかが知れてるね。


「他の宗教に属するなど神罰ものですぞ!死した後は輪廻転生せずに、未来永劫苦しみながら彷徨う事になりますぞ!」

「神罰…ですか?」

「そうです!アンドゥーブル様以外に神は居らず、他の宗教が神と崇めるものは悪魔だと仰せになられております!」


 おお、正しく唯一神教だね。


「どこの宗教か教えていただければ、我らが神のご意志を汲んで滅ぼしてご覧に入れましょう!」


 と言う事は、正なんちゃら教には軍事力があるって事かな?で、他の宗教を滅ぼすと?

 やってる事は中世の地球と変わらないなぁ。


 キリスト教であれば、宣教師を送って内部偵察と布教活動を行い、進行するための足場作りをしていたって言うし、仏教であっても『仏罰だ』とか『一揆ぞ!』とか言って武力に物を言わせてた事もあるし。


 しかも、僧兵は僧侶の格好を真似ただけだから僧侶ではない…なんて言う始末。

 宗教が武力を持つと碌でもない事になるのは、歴史を見れば明らかなんだよなぁ。


 何処ぞの過激派の人たちなんて、聖戦だ!殉教者だ!とか言って自爆テロとか起こさせてるし。

 現代でだよ?

 日本でも、戦国時代はそう言う動きがよくあったけど、数100年は昔の話。

 一向一揆と変わらないじゃん、やってること。


 話しがそれちゃったな。


「なるほど、その理論で言うなれば、僕が信仰する宗教があなた方を滅ぼしても文句は無いと言うことですね?」

「はい?」

「僕が信仰する宗教の信仰者は、凡そ8000万人くらい居るのですが…滅ぼせると?」


 もちろん、この世界には存在しないから信者は僕1人だけど。


「大体、あなた方の言う神を信じれば救われるのであれば、国内に向けてその手を広げるのではなく、国外に手を向けるべきでしょう。一つの宗教に統一されれば戦争なんて起こり用もないのでは?」


 そんなはずはないと思うし、出来るわけもないけど。

 仮に一時的には出来たとしても、世界規模の共産社会なんて長続きするはずもないと思う。


 人間には、自然の災害をどうこうする力なんて無いんだから、そこから軋轢が生まれるのは火を見るよりも明らかだね。


「この世界の僕以外が信仰すれば、僕は自ら伏してお願いに参るでしょう」

「そんな事!」

「出来ないと?神様は一神しか存在しないのならば、自ずと皆が、その神のみを崇める事になるはずですが?」

「ぐぐ!」


 宗教なんてのは絶対に他と交わることなんてないんだよ。水と油みたいに。

 それぞれの主義主張があって、受け入れられるものもあればそうじゃないのもある。人間と同じようにね?

 人間が主導してるからそれもそうか。


「いずれ貴様には神罰が落ちることとなろう!それを恐れて今後を過ごすが良い!」


 はぁい減点7でぇーす。

 これは言うまでもないよね?アホすぎる。


「んみゃ?…すぴー」


 このお姫様もアホすぎる。別の意味で。


 ドスドスと足音を立てて立ち去っていく後ろ姿を眺めながら、正なんちゃら教に減点8を付ける。


 こんな話の通じない癇癪持ちの尊大な人間を布教役に回すなんて、どうぞ敵対して下さいって言ってるような物じゃないかな?


 トータルで見て減点9を付けて、アメリカの司法制度にある三振法…スリーストライク法に準えて言うならば、三振3つでスリーアウト、ゲームセットです。




「あの、宜しかったのですか?」

「ん?」

「正救世神唯一神信奉教と仲が悪くなった事ですよ」

「ああ。別にそこと仲が悪くなったわけじゃないんだよ?それはまぁ、確かに、あの人が持ち帰った話を全て鵜呑みにされたら神敵とか言われてもおかしくないと思うけど、それならそれで構わないかな」


 そんな宗教ならたかが知れてるからさ。


「大体、僕は宗教を変えるつもりなんて微塵もないのさ」

「神道…でしたっけ?」

「うん。面白い考え方じゃない?」

「確かに…」


 別に一神信仰が悪いと言うわけじゃ無いんだけど、その考えを他者に押し付けるのが嫌いなだけなんだよ。

 その点、日本はある意味節操なしかな。

 他の宗教のお祝いとかも組み込んじゃってるしさ。


 うぅーん!疲れた!ここ最近で1番疲れたような気がするや!良く寝れそう。


「うまうま」

「君はずっと寝てたもんね」

「話つまらない。神話は好きだけど、信心の話とかは別に」

「うん、それ分かるよ」


 多分、生まれた時からなんちゃら教に入ってたのかな?だから一応席は置いてるけど、大して興味ないみたいな感じなのかも。


 ワクワクしてたのは、神話が聞けると思ったからなのかも知れないね。



 改めて考えてみると、今日の会話の議事録とか付けられてたらちょっと大変な事になってたかも知れない。

 そうなったら、原本を盗みに忍ぶけど。


 取り敢えず、今日はもうお休みかなぁ。

 バイバイ、ルー。お休み、ウィー。



 はい。と言うわけで前話の後書きの続きです。

 お詣りや神頼みをしないからと言って、無神論と言うのも少し違ってきます。

 例えば、お正月に門松や鏡餅を飾ったり、お盆に祖先のお墓参りをしたりしますよね?

 ご先祖が彼岸から帰ってくる為にきゅうりに四つ足をつけて足の早い馬に見立て、なるべく早くお迎えできるよう準備をし、帰りはゆっくりと歩く牛に見立ててナスに四つ足をつけるなどの意味もあります。


 また、お盆というのは『地獄の釜の蓋が開く時』とも言われており、そこからご先祖様の祖霊がいらすようなのですが…霊魂は山や川に居るという信仰の元、山川から村や里などに続く道の草刈りをして通りやすくするそうです。

 前述したように、地獄の釜の蓋が開いているから、この時期には海や池、川に無暗に近づいては行けないとも言われるそうです。

 水の近くでは心霊現象が起きやすいと言われる所以ですかね?


 さらに、近年はクリスマスもお祝いしますが、コレはキリスト教の祝祭日ですよね。

 日本のハロウィンはコスプレ大会の様な形になっていますが、誤解覚悟で言えばお盆です。


 ジャック・オー・ランタンも、元はと言えばかぼちゃではなくカブです。

 パンプキンハロウィンが定着している今としましては、顔に似せて作られたカボチャも何処となく愛嬌がある様に思えますが、本来は悪霊を怖がらせて家に入れないようにする為のものなんです。

 写真でカブのジャック・オー・ランタンを見ましたが、あれは確かに不気味ですねw


 長くなりましたが、いやはや、宗教と言うのは奥が深いだけに、稚拙な言葉で説明しても浅く見えてしまうのが申し訳ないところです。


 ハイファンタジーに部類してる本作の後書きなのに、何故か歴史系のお話になってしまいました。


 うぅーん…なんでかこう言う説明系は筆が乗るんですよねぇ。


 と言うで(どう言うこと?)次回は、1時間後の17時に3話同時投稿となります。

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