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他者から見れば、異常だよなぁ



 本日2回目の3話同時投稿です。

 この話は1/3です。



 隣国、ギルバラからの正式な使者が到着したのは、一昨日に非公式な使者さんから聞いていた通りの翌日の夕方…つまり、昨日の午後5時ごろには現着していたらしい。

 だからと言って直ぐに僕と会うわけにもいかないし、まずは正式な使者として国王陛下を始めとした国の重臣たちとの謁見、協力要請、対価等の話し合い、受諾という流れになると思う。


 その後、立食か座食かは分からないけど、使者団一行をお持て成す宴会が行われ、道中の疲れと汚れを落とす為に一晩空けてから本題となるだろうね。僕との対面に。


 ってな訳だから、今日のお昼に来るってお知らせがありました。あと1時間ちょっとだね。


 同席するのは、メイド長と副長、執事長と副長、宰相さんの5人と僕。

 気配は感じないけど、多分ドゥ'sも近くに居ると思うし、件のお客さんも居ると思う。


 相手方は、使者だと思う人が僕の正面に座ってて、その副官みたいな人と秘書みたいな人が左右に位置してる。

 その背後には護衛の武官が3人控えてる。

 全員、半端じゃない力量を持ってるように感じるなぁ。


「本日はお会いしていただきありがとうございます。ギルバラ王国が第一外交官のベゼーロ・ビル・ファクマと申します」

「ご丁寧なご挨拶、痛み入ります。()はシヴィ・ダンシャクと申します」


 僕は、その第一外交官って言う役職がどのぐらいのお偉いさんなのか知らないけど、国家の一大事に交渉というか外交と言うかを任されるって事は、かなりの要職なんだろうね。役職名からなんとなく察しはつくけど。


「本来なら友好を深める為、談笑の一つ二つでもして一食を共にしたい所ではありますが、何分(なにぶん)、現在の我が国は今後の国家を揺るがしかねない一大事の最中でありますので、単刀直入をお許しください」


 おおぅ。すごい下手(したて)に出てくるじゃん。

 というか、言葉が丁寧過ぎて普通の子供なら分からないんじゃないのかな?


「エリクサーの量産…ですね」

「はい。可能であるものとお聞きしていますが、改めて可能かどうかをシヴィ殿の口から直接お聞きしたいです」

「可能です。とは言っても、私自身がエリクサーを直接見た事は無いので可能と断言するのはおかしな話ですが。このお屋敷を、内装ごと複製する事が可能です」

「…なるほど」


 多分、魔力量だけで考えれば可能だと判断したけど、エリクサーという特殊な薬にもスキルが通じるのかが疑問に思ったんだろうね。

 僕としても、実物を見たわけじゃ無いからなんとも言えないんだよ。仮に実物を見ていたとしても、この国のエリクサーと他国のエリクサーじゃ効果以外は全く異なるみたいだし、あまり参考にはならなかったと思う。


 まああとは、神様から貰ったスキルを信じるしか無いんだけど…そのことを知ってるのは僕と神様くらいしか居ないんだけどね?


 だからって、この世界に生まれてくる前は地球という世界の日本って場所に住んでて、アサシンと似たような仕事の家に生まれてた…って言っても信じる人なんてそうそういないでしょ。

 しかも、僕の持つ『量産』のスキルは神様に貰いましたー…とか下手(へた)に言えば、教会が黙ってはいないと思うし。


 幸か不幸か、僕の前身は忍びだし、口を閉ざしているのは得意なんだ。えっへん!…なんて。


「お話はわかりました。取り敢えず先ずは、エリクサーの実物を見て頂かないことには話が進みませんね……。こちらがそのエリクサーです」

「これが…」


 懐に何か入れてるとは思ってたけど、まさかそれがエリクサーだとは思いもしなかったよ。

 確かに、護衛対象が一箇所に纏まってれば、その分守りを分散させないで厚く出来るけれども。


 あと、エリクサーの入った小瓶を裸で持ち歩いてるの?何かに包んだりするものじゃ無い?


 さてさて、これを量産できるかだけど…特に問題は無さそうだね。


「どうでしょうか?出来ますか?」

「はい。一見させて頂いたところ、特に問題は無さそうです」

「おぉ!それはよかった!で、あれば、早速で申し訳ないのですが…お願い出来ますか?」

「はい。ここで良いですか?」

「いえ。立ち合いは、私とファクマ殿のみとさせて頂きます」


 そりゃそうか…。

 エリクサーが国外持ち出し厳禁なのと同じように、僕の情報も秘密にする必要があるものね。

 それが叶わないなら、せめて、スキルを使用するところを目撃する人を減らす事が最良だし。


 宰相の言葉に同意したファクマさんが、ギルバラ王国の御付きの方々に退室するよう指示を出した。もちろん、隠れてるお客さんも。

 この屋敷で働いてる人たちは、僕がスキルを使うところを誰しも一度は見ているから退室しなくても良いんだけど、そこはまあ相手の心情的にも同数の方がいいし、お付きの人たちの案内とか持て成しをお願いした。ドゥたちも含めてね?


 さて、これで場は整った。あとはスキルを発動させるだけ。


「では、スキルを発動します…『量産』」


 一瞬、カメラのフラッシュのような眩い光が部屋を支配した後、卓上には一つしかなかったエリクサーが二つに増えてた。僕がやった事だけど。


 yes(やった)success(成功)


「お、おぉ!おおぉ!!なんという奇跡!ありがとうございます!」

「いえ、出来ることをしたまでですので」

「神技に値しますな」


 まあ確かに、このスキルは神様から頂きましたので強ち間違いでもない気もしますが…。

 それよりも、思ってた1.5倍は魔力を消費したから少し疲れたなぁ。


 昨日使ったスキルの影響もあってか、今の僕の魔力は…三分の一くらいかな。

 ここ一年くらいは3割も使う事がなかったから少し疲れた…。


「このご恩は私を始め、ギルバラ王国の者が終生忘れる事なく感謝の念を抱き、何かあれば微力ながらお力添えする所存です!!」

「あ、はい」


 最近、『あ、はい』っていう機会が多くなったなぁ…なんて現実逃避をしながら、頭頂部が薄くなってる外交官さんの頭部を眺めてた。

 良いから、早く帰って治療してあげてくださいよ。その為に来たんでしょ?


「ここでの用事は済みましたので、あとは王城の方で…」

「わかりました」


 改めて考えてみると、僕のこのスキルって…他者から見たら少し異常な気がするよね。

 神薬をも量産出来たんだから、神技って言われても否定しようがないし…。




「お疲れ様でした」

「ありがとう…ふぅ、おいしい」


 普段ならコーヒーとか紅茶をティータイムに飲むんだけど、今日はホットミルクを飲んでます。


「何事もなく終わってホッとしてます」

「うん、僕も」

「私も」

『うわぁあああ!!』

「うわあああ」

「連日のご登場ですね」


 いつものように唐突に現れたお姫様に、ウィーとメイさんが驚いたけど…ルーも棒読みの悲鳴をあげてる。

 なんかデジャヴを感じるなぁ。


「私、親父上(おやじうえ)にはシヴィは隠居って聞いてたんだけど、違うの?」

「おやっ……ねぇ?国王陛下のことを親父って呼んでるの?」


 今まで僕は、ルーのことをじゃじゃ馬娘とかお転婆姫って思ってたけど(実際に口に出したこともあったかも…)、そうじゃなかったんだね。彼女は不良娘だったんだね。

 女の子の口から、親父って言葉を聞いたのは初めてだよ。前世も含めて。


 ドラマとかのキャラクターとしてじゃなくて、実の父親に対して『親父』っていう女性、本当にいるのかな?

 目の前のお姫様を除いて。


「ん?呼び方は統一してない。パパ、パピー、ダディ、お父さん、おとん、父上、おい、ママの結婚相手、国王などなど」

「うん、女の子が使って良い言葉じゃないのも混ざってるし、お姫様が使う言葉じゃないのもあるじゃん。あと、なに?ママの結婚相手って…親子の仲ギクシャクしてるの?」

「冗談。父上って呼んでる」


 よかった。本当に良かった。

 ルーならやりかねない…もとい、言いかねないと思ってたからホッとしたよ。


「僕が隠居っていうのは本当だよ。とは言っても、実家に関わる事ができないってだけだと思うけどね?」

「ふぅーん」


 実家の家業に関係しなければ、面談もできるし城下に遊びにも行ける。

 自分の事にならスキルも使って良いから、縛りはほとんど無いのと一緒なんだよね。というか自由度の方が高いよ。


 僕より自由度が高い人が隣でホットミルク飲んでますが、彼女は自由度って言うよりも自由奔放度って言った方がいいのかな?

 ほぼアサシンだし。


「さぁーて、取り敢えずのビッグイベントは終わったし、次は何をしようかなぁ」

「わくわく」


 あの、ルーさんはもうこの際良いとしまして、何故貴女方も期待感満載の眼差しで、キラキラとした目をこちらに向けていらっしゃるのでしょうか?ウイルンさん、メイジュさん。


 あと、貴方方は何故物足りない感を醸し出しているのでしょうか?サーモン(執事長)さん、ルーク(執事副長)さん。

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