綺麗なのは…。
運命と言うものは。
ただ単に、俺を陥れるためのものだと思っていた。
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1つの惑星があった。
それは、もう人の数より多く、人が瞬きをする数より多いなか、たったひとつ。
水があり、緑があり、生命がある惑星があった。
俺はその生命の中でも、たった1人。
彼女もたった1人。
そのたった1人同士が出会うなんて、極々僅かな確率だ。
その確率をも超えてしまった。
極僅かな蓋然率をも超越した。
それはもう運命としか言い表せない。
この一瞬で、どれだけの時間が経ったのか
それはわからない。
「 あの… 」
その一言で、現実へと引き戻されてしまった。
そうだ、俺は今、盗みに入っているのだ。
逃げるか…彼女を殺すか…
本来なら直ぐに決断できるはずのことが、
動揺し、頭が回らない。
身体だけじゃなく頭まで硬直してしまったか。
何に動揺しているのかすら、説明し難いものがある。
「 星空、綺麗ですよね!」
考えてすらない一言だった。
普通は、見ず知らずの人間が自宅の屋上にいたら気持ち悪くてパニックになったり、追い出そうとしたりするものじゃないのか…?
それが普通だと思う。
しかし、そんな考えは彼女には全くなかった。
「 貴方の名前は何て言うの? 」
そう聞かれた。
俺に名前はない。
最後に名前を呼ばれたのはいつだったか覚えていない。
名前で呼ばれるというか、名前という単語を聞くのが久しぶりなくらいだ。
考えるのに集中していて、彼女が目の前まで来ていることに気がつかなかった。
「 名前は? 」
夜空のように深い青色で星々の輝きを宿した大きな瞳があった。
彼女の息がかかるくらいまで、顔がすぐそこにあった。
驚いた。
俺は自分の世界に入ると周りが見えなくなってしまう。
今までは1人だったからよく気付かなかったけど、周りが見えないって、こうも困るんだと痛感した。
「 俺に、名前はない…。 」
そう言うと、彼女は大きな瞳をさらに大きく丸くした。
「 貴方、名前がないの!? 」
静かな夜に彼女の大きな声が鳴った。
「 名前がない人って本当にいるのね! 」
彼女は笑顔になった。
そして、俺の右手を強引に引っ張り、屋上の中央まで走った。
俺の手を離し、彼女はポンッと胸の前で手を叩いた。
「 なら、私が名前をつけていいかしら! 」
彼女はわくわくした表情で俺に問いかけた。
特にダメなことや困る事も無かったから、いいよ。と返事をした。
「 んー、でも、名前を考えるのって結構難しいわね…。 」
そう言い、彼女は眉間にしわを寄せている。
そんな彼女のくるくる変わる表情がなんとも面白かった。
彼女の視線は、俺が今まで向けられてきた視線と全然違う。
だから、尚更、彼女が不思議だった。
すると、彼女の表情がまた笑顔になった。
「 良い名前を思いついたわ!
貴方の名前は ── 。 」
名前なんて、呼ばれたことがなかった。
強いて言えば、“おい”とか“お前”とかそんな感じで決まった呼び名ではなかった。
そしてこれが、まだ名前の知らない彼女と俺の出会い。
会話文がとても苦手です。
そして、もう少しでクリスマスですね。
この2人も星空の綺麗な時に出会いました。
2人にとっては聖なる夜になったのではないかと思います。
読んでくださってありがとうございました。




