クズの生き方。
「 私、空を飛んでみたい 」
そういった彼女は、満天の星空の輝きより眩しく美しい笑顔だった。
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俺は、正直言ってクズだ。
ゴミにすらならないんだと思う。
そんなことはわかっている。
だけど、周りのやつはもっとクズでゴミだ。
生きるのに手段は問わない。
それは全員そうだろ。
食べ物を買って、家でそれを食べて暖かい布団で寝る。
気持ちのいい朝を迎え、朝日を浴びる。
そこから、学校に行ったり仕事をしに行ったりと、それぞれやることがある。
休日には友達やら家族やらと出かけたり、1日テレビを見て過ごす。
そんな日常がもう一度来て欲しいと願ったのは、いつだっただろう。
はっきりとは覚えていないが、
まだダンボールに包まれば暖かいという事を知らなかった時だろう。
俺の1番最初の記憶は、黒い髪の短い女性に手を引っ張られ、真っ黒い場所に連れていかれ「ここでおとなしく待っているのよ。」と、頭を撫でられ笑顔を向けられた。
その場所がどこだったのか、その後、自分がどうしたのかは覚えていない。
自分の生まれた日付も年齢も、名前すら知らない。
ただ、''お母さん''と言う存在がとても心地よく、向けられたどんな視線でさえ、自分を見てくれる事が嬉しかったのだけは未だに忘れられない。
ただ、今は街の住民が寝静まった夜に食べ物を盗みに入り、喧嘩で負けた奴の服や金品を奪う。
そのせいで、俺はこの街で少しばかり有名人だ。
俺を見つけると、空き瓶や石を投げつけてくる。
当然していいことではないのはわかっているが、俺だって死にたくない。
たまに、ちょっと奪うだけ。
昼間は街に行くと警備隊やら何やらに追いかけられるため、街から少し外れた森で休んでいる。
折れて倒れた木に座り、今日の出来事を振り返る。
今日奪えたのはリンゴ2つ。
そのリンゴを口にする。
腹に食べ物が入ったのは何日ぶりだろうか。
そんな事を考えながら街の方を眺める。
1ページがとても短いです。
申し訳ございません。
雰囲気を想像しながら読んでくださると嬉しいです。