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お前なんて、  作者: なすび
3/3

ー3ー

「はぁはぁはぁ、おい、関口ー。おま、お前、ちょ、ちょっ、ねーはえーよ、待てって。」


「早かねーよ、お前が体力無さすぎなんだよ、さっさとしろ、ほら走れ走れ。」


本日はマラソン大会当日です。俺達が通うY高校は、創立当初から伝統的にマラソン大会をしている。この由緒正しいマラソン大会から、さぞやきつい大会と他校から思われがちだが、実はそうでもなかったりする。道のりこそ少し長くきついが、朝9時に出発し、午後4時までに学校にゴールすればオーケー、それすらクリアすれば、なんでもありな大会なのだ。だから、生徒達は町内の商店街に寄り道をして買い食いしたり、これは俺も驚いたが、カラオケにまで行ったやつもいるらしい。マラソンがマジで嫌いな俺は1年の時、マラソン大会と聞いて身構えていた俺だったが、案外楽だったので安心してサボった。だから、今年も去年みたいにテキトーにサボろうかなーなんて、思っていたのに。そうはいかなくなるなんて。


一週間前の俺と関口のプロレス事件。寺センは俺らにある罰を下した。あの日の放課後、俺と関口は寺センに呼び出しくらった。


「お前らには、みんなの朝の会を荒らした罰を与えねばならん!!」


「寺セっ、寺田先生、それなら朝受けましたよー、頭にこぶができちゃったんですから、どんだけ痛かったか。」

あのプロレス中、事態を終息させる為に、寺センは拳を俺の頭の脳天に振り下ろした。おかげで俺は大きなこぶができた。俺はまだヒリヒリと痛むこぶをさすった。

「先生、俺もです。俺も頭腫れてます。」

関口も同様にゲンコツをくらっていた。関口は坊主が原則の野球部に所属している。その丸い頭の上にもう1個小さい丸いものが出来ていたので、実に滑稽だった。

「お前、だっせーよなー、頭に雪だるまがいるじゃんかー。♪雪だるまつくっろー、ドアを開けてー♪」

雪だるまを作るように、関口の頭で雪だるまを作る真似をした。

「っおい、やめろ。いてーんだからな」


「なんでだよー、だって雪だるま作り楽しいじゃんかー。」


「あー、お前らやめろ、ったく…。すぐはじまっちまってめんどくせーなー。お前らは本当に仲良いいんだか、悪いんだか。」

寺センは頭をポリポリとかじり、それからジョリジョリと音を立てて髭を触った。

「悪いです」と、俺と関口は即答した。

「はぁ、わかった!仲が良いお前らには丁度いい罰を与える!」

そう言って、寺センはマラソン大会のルートの地図を取り出した。

「一週間後のマラソン大会で、お前ら2人だけには特別ルートを走ってもらう!」


「え、、、」と絶望する俺。

「それで先生、ルートは?」となぜか余裕の関口。


「まぁ、一般生徒の皆は学校スタートで、T公園と商店街をぐるっと一周して、学校へゴールだ。そんで、お前らだがー、学校スタートで、学校から少し離れた裏山を通って、T公園の近くの展望台を通って学校へ戻ってくるというルートで走ってこい!いいな?」


「うら、、、やま。。。」と絶望する俺。

「あー、ちょっと逸れたルートですけど、トレーニングには良いルートっすね。」とやっぱり余裕の関口。


「先生〜〜、お願いしますよ〜。もうちょっと楽にしてくださいよ〜、ね?ねー?」

俺は寺センの膝にすがり、物乞いをするように頼み込んだ。

「あー、なんだよ気持ちわりーなー。だーめだ!関口に助けてもらってでも、なんとかゴールしろ!!いいな?」


「そ、そんなぁ。」

「まあ、せいぜい頑張れよ運動音痴。」


これが地獄のマラソン大会の始まりだったのだ。


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