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※良かったら、読んでみて下さい!
「おい、関口!せーきーぐーちー」
耳元で名前を呼んでみても返事がない。
「よほど疲れてんでしょー、寝かせてあげればー?今日もまた朝っぱらから練習してたみたいだよー」
「あー、そういや上田さんって、家高校から近いんだっけ?」
「うん、そ。歩いて3分。」
「近っ!!やっぱ声とか聴こえんの?」
「家、割と野球場に近いとこあるんだー。だから、お陰様で毎日野球部の掛け声が目覚まし代りになっちゃってんのよねー」
「へー、なんかやだね」
「慣れると快適よー、健康的な生活送れるし」
そんな会話を上田さんとしながらも、まだ起きない関口に無性に腹が立ったので、俺は思い切り足を踏んだ。
「いっっっっっっでぇ」
関口は、まだ眠そうな目を少し開いて、うなり声をあげた。
「おい、なにすんだよ、俺が気持ちよく寝てる時に」
「やっと起きたか、ハゲ。俺がせっかく手紙を回してあげてる時に呑気に寝てて、しかもー?、何度名前を呼んでも起きないので、起こしてやったんだよ、感謝しろ」
俺は鼻をふんっと鳴らし、関口を見下してやった。
「ハゲじゃねーし、坊主だし。それに、手紙なんて起こしてくれなくたって置いときゃいいだろ、『関口君、疲れてるだろーから起こさないであげよー』とか、優しさとか、ねーのかよお前には」
「無いね、なんでお前みたいなやつに優しくしないといけないんだよ、ハーゲ」
「そうやって、日常生活でもそんな態度だからすぐフラれんだよ」
「そ、それは」
「マドンナと1ヶ月付き合ったけど誕生日にフラれたかっわいそーーーな水嶋くん。」
「この、バカにしやがってー!!!」
両者、互いに見つめ合う。席を立ち上がり、四股を踏み、向かい合う。
東〜、水嶋やま〜〜。
西〜、関口ほう〜〜。
はっけよーい、のこ――――――。
「おい、お前ら!!!まだ朝のホームルームやってんだぞ………。なのに、遊んでいいとでも思ってんのかー!!??」
いざ勝負、という時に寺センに止められ、ちょっとムカついて、反論したのがいけなかった…。あの時辞めておけば。
「先生!俺らはこれから人生をかけた男の戦いをするんです!邪魔しないでください。」
「まあ、勝負したとこで、写真部のお前に負ける気しねーけどな」
「んだとー!!」
そこからは、相撲、ではなく、取っ組み合いが始まった。クラス中は何故か盛りあがり、観客となったクラスメートが教室中を熱くした。
この時、寺センこと寺田先生は子の様子を暖かい目で見ているわけもなく。頭に角を生やし、火を吹く魔物のように、沸騰していたのだった。
※不定期です!