目覚め、そして発見
私達は一度死んだんだ。
教室で授業を受けていたら、いきなり激痛がその身を貫いて、私達は、死んだ。
そして、何故かもう一度人生を歩んだ。
誰もが一度は憧れる、剣と魔法のファンタジー世界で。
その世界には、かつてのクラスメイト達がいた。
何故か私達には互いが分かった。
横暴で言うことを聞かないクラスメイト。
優しくて優しすぎたクラスメイト。
愚かなまでに真っ直ぐなクラスメイト。
残虐な殺戮をしたクラスメイト。
そして、いつまでも教師であり続けた先生。
沢山の人と再会した。
その世界は地球のような医療設備は整っていなかった。
病気で亡くなったクラスメイトもいたらしい。
攫われて奴隷として一生を終えたクラスメイトもいたらしい。
私が全てを知ったのは、その人生も終わった後の話だ。
***
何もないところで目が覚めた。
最後の記憶は、授業を受けていた記憶。
受けていたと言ってもほぼ居眠りしていたけど。
そしたら、いきなり激痛が走って、その後の記憶がない。
そもそもここはどこだ?
現状把握をしなければ。
目の前には、ただただひたすらに白い空間が広がっている。
記憶にある限りではこんな空間は知らない。
もしかして誘拐か?
こんな何も取り柄のない女を?
うん、ないな。
誘拐とかだったら誰かが見ているはずだし。
今ここに誰もいないし。
そもそも人質を自由にさせておくはずがない。
授業中に堂々と進入してくる誘拐犯とか、聞いたことないよ。
じゃあここは病院かな。白いのも病院だと思うことにしよう。
ベッドもなかったけど、きっと病院。うんきっと。
ん……?
ふと気がついた。私の髪の色が白くなっていることに。
え!?
人って、とんでもないストレスに晒されると、白髪になるって聞いたけど……。
うわー。この歳で白髪とか。
ないわー。
でも、ラノベとかで見る白い髪は綺麗なんだよねー。なんでだろう。
絵だからか、若いからか。
そんなことを考えながらウロウロしていると、ドアノブを見つけた。どうやら周りと同化していたせいで気がつかなかったみたい。
ドアノブまで真っ白とか設定者白好きだねぇ。
そのドアノブに手をかけた。
押す。
開かない。
間違えた。
引く。
扉が開く。
その先には、部屋があった。
世間一般的に見れば、研究室っぽい。
でもどこか殺伐とした雰囲気があった。
そこにあったのは、沢山の骨と、書物の山だった。
骨……? 大きさ的にも、形的にも、これ多分人間のだね。白衣着てるし。
書物はずっと放置されているようで、黄ばんでいた。あちらこちらに散らかっている。
本のタイトルは読めなかったけれど、内容は理解できた。
字は日本では見たことがない。だけど理解はできる。
なんでだ。自動翻訳機能でも備わってるのか。
現実ではありえない事が起きている。
私はその現実を否定したくて、本に目を向けた。
誤字脱字指摘大歓迎です。