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プロローグ

ー2023年3月10日12時30分ー

俺はパソコンの前で茫然自失となっていた…

ない…ない……ない!何度見ても見つからない。

俺の受験番号が!!目の前に並ぶ数字がぼやけ、“どうして⁉︎なんで受かってないの⁉︎”と感情を置き去りにして思考だけが堂々巡りしていた。


最善を尽くした。できることはしたはずだ!でもっ…それでも……落ちたんだ


今年が最後だった。浪人するごとに親からの温かい視線はプレッシャーへと変わり、共に勉強した友はどんまいと言って消えて行く…自分自身も辛かったし、何よりこれ以上親に負担をかけれない、いや、かけてはならないと決意していた。だからっだから必死の覚悟で挑んだ。でも落ちた…ここまでやってだめならもう仕方がない、そう頭ではわかっているのにどうして…どうしてこんなに辛いのだろう。


ぁぁ…惨めだ。これで私立をのうのうと通うのなら俺の2年間はなんだったのだろう。卑屈な感情がふつふつとこころを占めていく。


努力は必ず報われるなんて嘘だ。嘘に決まっている!

3年も勉強したんだ!努力の方向が間違っているとか、そんなこと問題のうちに入ってたまるか!苛立ちが、怒りが脳をぐわんぐわんと揺らしている。


そんな様々な思いが心をかき乱し熱くなった心が涙に変わっていく。


気づけば俺は家の近くの川沿いを歩いていた。

顔がカピカピだ。どれだけ泣いていたのだろう。もう全て出し切ったように感じる。


もう、夕方なのか…真っ赤に染まった風景を、ただいたずらに進む。おぼつかない足取りで、進む。進む。


止まっているのが怖かった。長き目標が跡絶え、ここで止まってしまうと死んでしまいそうだった。生存本能がただ足を進ませる。


パァーッとクラクションが鳴っている。トラックがフラフラ進む俺の横を空気を裂いて通り過ぎる。トラックの風圧にあてられ俺の体はゆっくりと川へ落ちていく。落ちて…いく…







そうして、俺の3度目の受験は失敗に終わった。








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