第0話 始まり
「ねぇ孝二」
「ん、なんだ」
俺を呼ぶ声がするので返事を返す。ただしそっけなく、
アイツの言葉に真面目に受け答えすると疲れるからだ。
「暇だわ」
「そりゃー残念だ」
心底どーでもよさそうに返事を返す。暇な理由が俺の店に客がアイツ以外
誰もいないからだと分かっていても
「こんなときは何処かに遊びに行くのがいいわ、そう思わない?」
「そーかもな」
そう返事を返しながら、アイツがいま飲んでいるコーヒーの代金をどうやって
払わせようかと、どうせ無理なんだろうが考える。
「それなら」
そういってアイツはいま座っているカウンター席から身を乗り出し
妖艶な仕草で俺の耳元に囁いた。
「私とデートするって言うのはどう?」
一瞬の沈黙
そして静かに振り返りアイツの顔を見る。あいかわらず整った顔をしていた、
さらっと流れるきれいな長い黒髪から始まり、意思の強そうな眉や、月並みだが陶磁のような
白い肌、そしてそのスタイルは直接的な表現は避けるがすごい、まぁつまりはいろいろと
大きいのだ。そんな人からの誘いだ。まともな神経の持ち主だったら誘惑には抗えないだろう。
だ が
「フン 断る」
鼻を鳴らして断った。
「なっなんでよ!!」
案の定アイツは怒り出したが、そこで俺はいつも通りの反応を返す。
「だから、おまえとはそういうのはしないんだよ。」
「だけど4月からは今までとは違うわ」
今日はやけにしつこい、だが俺の返事は決まってる。
「4月になろうとそんな大きな変化はないだろう?だから無理だ」
「いーえ、私にとっては大きな変化よ。今日こそは逃がさないわ!!」
そう言って俺の腰にしがみつく、うっとおしいのでかわいそうだが振りほどく。
「きゃん」
見た目に反してかわいい悲鳴だった。
「むー、なんでよデートぐらいいいじゃない」
確かに買い物に行ったり映画を見るのはかまわない。しかし『デート』という名称をつけると話は変わる。
なので俺は根本的な問題点を指摘した。
「舞。俺はなー、つい最近までランドセルしょってた女とデートする男だと思われたくないんだ。
そうアイツこと佐藤 舞はつい最近まで小学生をやっていた。どれだけ背が大きくても
どれだけ俺の好みの女であろうとそんな女の子とデートしたとしれたら・・・終わりだ。
ここで普通の小学生の子とデートなら周りの人も
「あらあら」
「ほほえましいわね」
「うふふ」
とかで済むが、舞とデートをしようものなら
「ひそひそ」
「子供が純真なのをいいことに」
「まぁ怖い」
といったことが起こるのが明白である。そういった事情のため俺は舞とは
普通の(舞の存在がまず普通じゃない)近所の仲のいいお兄さんと女の子といったスタンスが取りたいのだ。
「でっでも孝二、私四月から中学生だよ。大人だよ」
舞がこういった好意を俺に向けてくれるのはうれしいしその思いも子供だからといって否定したくない、だけど俺は今のこの距離が心地いいし崩したくない。だからこの言葉への返事も幼い心を尊重して返してやる。
「うん、大人の意味を辞書引いて調べて意味を十回書いて来い♪」
「はうぁ!!」
・・・こんな感じで。
そういった感じに俺たちの関係は続いてく。素直に俺の家から辞書を持ってきて調べる舞が
おかしくて、かわいくて。だから褒美に見栄っぱりで苦いのが嫌いな舞のために、あまーい
コーヒーのおかわりを作って持っていくことにする。そしてそのまま中学校に向けての勉強を店の中で始めてしまった舞を見ながら、ガラガラの店内の状況を真面目にどうしようかと考えた。
それが
俺 竹 孝二25歳の
私 佐藤 舞12歳の
大人の事情ってやつだ
子供の事情なの
初投稿になります 花屋敷 蓬です
ミスとかいろいろと至らない部分も出てくると思いますが 長い目で見てやってください