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砂漠の会話

お久しぶりです。

日常生活がドタバタしており更新できず申し訳ありません。

短いですが少し更新します。

来週は、本来の長さで投稿する予定です。

 アラブ首長国連邦。

 アラビア湾に面する七つの首長国からなる連邦国家だ。

 で、ここは、世界有数の都市であるドバイのすぐ傍の砂漠とのことだ。

 通りで熱い訳だ。前世、今世を合わせて初めての砂漠。


 ゆっくりと巴の後を追って、砂漠を歩く。

 一歩一歩足を進める。歩くごとに足が沈む。その上、靴と足の隙間から砂が入り込んでくる。

 

 歩くごとに体力を奪われていく感覚。

 汗をかくたびに、それが蒸発していくのが解る。燦燦と輝く太陽に心の中で悪態をつくがお構いなしに俺の中から水分を奪っていく。

 人が住むことを拒むこの環境。

 今まで住んでいた環境がいかに恵まれていたかを実感できる。

 大体、前世では恵まれた日本という環境に住み、今は、田舎とはいえ、貴族階級育ちだ。

 あの沼地の移動に関してもサーシャのおかげでだいぶ楽が出来た。

 だから、自然の厳しさというものを実感したのはこれが初めてだ。


 そう、初めてだ。


 初めてのはずなのに、何故、この暑さと光景を懐かしい、と感じているのだろうか?


「おーい、どうしたのかな?」

 巴と名乗った魔女は、面白そうに俺達を見ている。

 猫のようなその瞳が細くなる。笑っているようにも、こちらを観察しているとも、どちらにも取れるその瞳。

 いや、実際観察をしていたのだろう。

 リラックスしているようではあるが、しかし何かあればすぐに動けるその態勢。

 その姿は、熟練の戦士のよう。年の割に、かなりの修羅場をくぐっているのが見て取れる。


「あの、そこまで警戒しなくても大丈夫ですよ」

「あー、やっぱばれてたかぁ。ごめんねー、君達がいかにも訳ありっぽかったんでつい、ね?」

「そういう巴さんこそ、なんでこんな砂漠のど真ん中に?」

 勉学のない不良の身ではあるが、どこにでも現れる日本人でも、さすがに中東の砂漠のど真ん中で遭遇するのはかなりのレアケースなのは違いない。

「ああ、近くにダンジョンがあってねー。出稼ぎがしらに来てみた訳だよー。そろそろ旅費も切れてきたしさー」

「ダンジョン? この世界にダンジョンがあるのですか?」

 少なくとも、俺の認識ではこの世界にはダンジョンなんて存在しないはずだ。

「あー、異世界から来た君達に説明しないといけないけど、この世界には、魔術、ダンジョン、亜人、魔物。そういったファンタジーな要素が一切存在しないことになっているんだ。『表向き』はね」

「表向き?」

「そ、この世界は表向き魔術師はいない。変わりに科学という力が発達した世界さ。神秘や魔術はおとぎ話の話。だけどね、あるんだよねー。魔術も、ダンジョンも亜人も、魔物も、ただ人の目を避けて、近くにあり続けている」

 砂丘を超える。すると、目に入るのは、砂漠を横切る道路。

「あ、あのクリス様。これは一体?」

 サーシャは目をまん丸にして目の前の光景を見入っている。

 あちらの馬車では出すことの出来ない速度で横切っていく車達。その車の向かう先には、ドバイ――天を衝く巨大な建造物が目に入る。

「なんですか?今の馬車……それにあの建物は?クリス様、本当にここは天の国ではないのですか?」

「あっはっはっは、あれは車って乗り物だよー」

「あの、馬が引いている様子はなかったのですが……」

「馬は必要ないよー。科学の力で動いているからねー」

「す、すごいですね。科学」

「そう、すごいのだよ」

 と、意味もなく胸を張る巴。別にあんたの力じゃないだろうに……

 そんなことを考えていると、巴がこっちを見ているのが解る。

「……どうしました?」

 いやー、と笑う巴。そして……

「なんかあまり驚かないんだなーって」

「あはは、驚いていますよ。ただ、驚きのあまり言葉が出ないだけで」

 背中に冷や汗が伝うのが解る。

 そうなんだ、と笑みを浮かべているが、目の奥は笑っていない。

「クリス様」

 ああ、解っているよ、サーシャ。

「気を付ける」

 そうして、再び歩き出す。

 目指すは、天にそびえるビルが立ち並ぶドバイの街だ。


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