表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/51

そして、物語は幕を開ける

※前日に投稿してます。

また、今回はかなり短いです。

「………だ? これ」

 遠くで声が聞こえた。

「おーおー、なーんか怪しい気配がして来てみりゃ、めっずらしいお客さんじゃないの~」

 ……うるさい。もう少し寝かしてくれ。あと5分で起きるから

「おっきろー!おきてー。こんなところで寝てたら死んじゃうぞーっと」

 ……遠くから聞こえてくる声。

 その言葉の意味を理解する間もなく、何かが口に突っ込まれる。

 口に流れ込む謎の液体。

 苦いようで、辛いようで、甘いようで、酸っぱいようで。ありとあらゆる味を突っ込んだようなその味に、俺の意識は一気に覚醒する。


「がはっ!!!!」

 体が跳ね起きる。

 視界に広がるのは灼熱の太陽がジリジリと肌を焦がす。

 体を起こすと、そこは太陽の光を浴びて黄色く輝く砂漠だ。

 ここはどこだ? 確かあの大穴に俺達は落ちて……

 俺達?そうだ。

「サーシャ!!」

 慌てて、サーシャの名前を呼ぶ。

「げほ、げほ、く、クリス様」

 その声に反応してか隣から、むせ返りながらも俺を呼ぶ声がする。

 振り返ると、泥で汚れた燕尾服を来たサーシャの姿。

「サーシャ、よかった」

 彼女に近づき、そして抱擁する。

 暖かく、そしてやわらかい彼女の感触。トクトク、と高鳴る鼓動が俺の胸を通して伝わってくる。

「え?あのク、クリス様?その、クリス様、抱きしめてくれるのはありがたいのですが、ああ、その、匂いが、感触がっ。あ、鼻血……」

 ……うん、彼女の変態っぷりは変わりないな。

「あっはっは、おもろいねぇ。君達」

 そして、耳に入る笑い声。その笑い声に振り向く。

 そこには、一人の魔女がいた。

 黒の三角帽に、黒いロープ、そして長く艶やかな黒髪。

 ご丁寧に手には、竹箒。

 彼女の特徴を表すような大きく、そして少し吊り上がった黒い瞳はまるで猫のよう。

 二十歳くらいだろうか?美人ではあるが、近寄りがたいタイプではなく、明るく付き合いやすそうな雰囲気を纏っている。

 しかし、その顔だちは、懐かしく、それとともにどこか違和感を感じさせる。

 その顔は、俺たちハイロード王国の人から見れば、凹凸の少ない顔だち。

 肌は少し黄色がかった黄色人種のもの。白い肌のハイロード王国では見ることのない特徴の女性だ。


 そして、俺達の使うラポーネ語での話す女性。しかし、その言葉もどこか変だ。

 イントネーションの違いだろうか? しかし、そのイントネーションの違いが、どこか懐かしい。

「初めまして、私は、雨谷(あまがい) (ともえ)。君達の名前は?」

 その名前に、俺は、大きく動揺する。

 明らかな日本の名前を聞いたってせいではない。ああいや、確かにそれも大きいが、それもあるが、この光景、俺は見たことが……




 ――脳裏に浮かぶのは、暗い洞窟。

 岩だらけのそこには、血を流して倒れるゴブリン達。

「あっはっは、助かったよー。数が多くて困ってたんだー」

 返り血を浴びながらケタケタと笑う魔女の恰好をした少女。

 手には刃がむき出しになった刀。魔女の恰好とのギャップが凄まじい。

「え? 私一人でも何とかなっただろう? いや、そうだけどこういうのは気持ちの問題だよ。うん」

 猫目の瞳が笑みの形に細くなる。そして……

「初めまして、私は雨谷(あまがい) (ともえ)。君達の名前は?」



 なんだ?今の光景。前世でも今世でもあのような光景を見た覚えがない。

 しかし、あの時の土とゴブリンの血の匂い。彼女の笑みはしっかりと思い出すことが出来る。なのに、思い出せるのはその一瞬の記憶のみ。

 何故洞窟に行くようになったのかなどの前後の記憶が一切残っていないのだ。

「あれは、一体」

「おーい、おーい。聞こえているかーい」

 ひとり呟く俺に目の前で手をひらひらとさせる巴と名乗った女性。


「あ、申し訳ございません。私の名前は、クリス=H=ウェストロード。こちらは執事のサーシャです。あの、ここは一体どこなんでしょう?」

「クリス様。もしかして天国ってところではないでしょうか?」

 ああ、確かにあの状況で助かるとは到底思えない。

「しかし、この暑さ。天国というより地獄だな」

「何を馬鹿なことを、クリス様が地獄に落ちるなんてありえません」

 うん、信頼してくれるはいいけど、根拠ねぇぞ。それ

「あっはっは、大丈夫。ここは天国でも地獄でもない。ここは、ちゃんと生きた人間が暮す世界だよ」

 魔女がとびっきりの笑みを浮かべ、そして――

「ようこそ! あちら側の人。ここは地球、君達からすると異世界って奴さ!!」

 ようこそ、と体中で表現するように彼女は大きく、その両手を振り上げる。

「な、地球だと」

 彼女の手の先。そこにある真っ青な空を見上げる。

 そこにあるのは、魔石の橋はなく、代わりに音を立てて飛ぶ飛行機の陰が写っていた。


ラボーネ語は、『ほぼ』日本語と同じ言語です。


ようやく、ここまで来た。

本来なら、もっと前にここまで来る予定でしたが、13万字までかかってしまった(汗


……この展開、後で怒られそうです。

見捨てないでいただけると助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ