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そして、決断

今回も少なめです。申し訳ございません

 ……


 ………


 …………


 ……………はい?


 OK、状況を整理しよう。


 村が難民たちに襲われ、帝国の貴族と決闘。

 ヘンテコな肉の塊に追い回され、逃げ出したはいいけどダンガガが豹変。

 んで、更に逃げ出して、根の森にたどり着いたら、巨体な男にお姉さまと呼ばれる。

 それが今までの経緯。で、現在の状況を確認しよう。


 目の前の男を見上げる。

 身長2M近くの巨大な甲冑。そう、甲冑だ。

 より専門的な用語でいえば、プレートアーマー。全身をくまなく覆う重装の鎧。

 しかも、通常のプレートアーマーよりさらに装甲が分厚くなっており、少々ずんぐりむっくりな印象を与えるその姿。

 見方によっては丸みのある愛嬌がある、といえる格好かもしれない。

 しかし、こんな巨大な鎧を着て平気で動いているのを見ると中にいるのはどう考えても筋骨隆々で脳みそまで筋肉に使った熊男にしか思えない。

 そんな彼が、おねーさまと呼ぶ。

 誰を、一見少女にしか見えない私を、だ。


 オッケーオッケー。状況は理解できた。

「あの……一言よろしいでしょうか?」

 相手はどこの国所属か不明だが、その兵装、立ち振る舞いからして、かなりの地位のある人間だとわかる。

 今の俺は小国の田舎町に住むしがない男爵令嬢にしか過ぎない。下手なことをすれば、どうなるか分かったものではない。


「頭、湧いてんのか、てめぇ……」


 だけど、口から出たのはそんな言葉。


「レディー。我らがリーダーの無礼は詫びます。だからその銃を下して貰いませんか?」


 俺は、目の前の白い甲冑に銃を突き付けていた。

 ああ、今は下手に出るべきだ。立ち振る舞いからしても紳士的な一行。しかし、それだけではない。

 

 隙がない。


 明らかに精鋭だ。一度俺を敵と認識すれば一瞬にして切れ伏すであろうその武力、ここは逆らうべきではない。


「てめぇには用はないんだ。オリビア・H・ウェストロードとアルド・H・ウェストロードはいないのかよ!」

「お二方は、半日ほど前に、自分達の領土に戻るとこの地を出発しました」


 そうか、そうかよ。

 ああ、もう本当に嫌になる。


「なんで! いないんだよ!」


 気が付けば、俺は叫んでいた。

 どうしようもない。この状況。あの二人がいれば、何とかなるかもしれないと思ってしまった。

 で、期待して根の森に来てみりゃ、二人はいりゃしねぇ。


「どうりゃいいんだよ。この状況!! 背後からはなんか訳の分からないのに憑りつかれたダンガガが迫ってくる!

おかんと親父がいれば何とかなると思ってここに来てみりゃ、いきなりおねーさまだ? ふざけるな! 人のことをいきなりおねーさまと呼ぶならこの状況なんとかしやがれ!!」


 視界に靄がかかる。

 涙があふれ出そうになるがこらえることができない。

 本当、めちゃくちゃだ。少し前までみんなで幸せに暮らしてたってーのに、あいつらが来てからの急激な変化。

 ああ、解っているおねーさまといわれたことが気に食わないとかそんな話ではない。

 あれは切っ掛けにしか過ぎない。ただ、突然の変化についていけず、最後の最後に意味不明なことを言われて今までの鬱憤が爆発しただけのこと。

 ああ、本当に格好わりぃたらありゃしねぇ。


「……クリス様」

 後ろか感じる暖かな感触。

「申し訳ございません。私に、私に力があれば……」

 僅かに震えるその感触。ああ、そうだ。俺には守るべきものがある。

 ずっと、俺を守ってくれていた彼女。正直、戦闘能力の観点でいえば、一般人に毛が生えた程度の彼女が、強敵を前に一緒に立ち向かってくれた。


「事情は解らないが、おねーさまが苦悩しているのは解る。私に出来ることは?」

 巨体の騎士が、落ち着いた声で問いかける。

「おい、姉貴いいのか?」

 騎士の中に混じったエルフの少年……どこかで見覚えのあるそいつが巨体の騎士に向かって問いかける。

 ああ、そうだろう。彼らはどこぞに所属している騎士様だ。国のゴタゴタに手を突っ込めば、その組織に迷惑がかかることは間違いない。

「……放って置くわけにはいかない」

 それを理解した上でだろう。巨体の騎士はそう返す。


 その甘い程の優しさに俺は、落ち着きを取り戻す。

(おい、じじい)

『なんだ?若造』

 心の中で、じじいに呼びかける。

 こっちがテンパっている時にだんまりとは、どこまでもクソッタレのじじいだ。

『ふん、言っていろ。お前が聞きたいことは解っている。ダンガガを救うことは出来るか?だろう。答えは否だ。あれはすでにお前の知るダンガガではない』

 こっちの心境も考えずきっぱりと告げて来るじじい。

 むかつく。どーしようもなくムカつくが、こいつの言っていることは間違いない。

 

 俺は、すうっと息を吸い込み、そして言う。

「騎士様、突然の無礼申し訳ございません。そして、度重なる無礼は承知で、我侭を言わせて貰ってよろしいでしょうか?」

 そういって、俺は頭を下げる。言いたくない。しかし、これしか、ダンガガを救う方法が無いとしたら、俺は……

「ダンガガを、私の師匠を討つのを手伝って貰えないでしょうか?」





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