逃走2
リアルで時間取れず、今回も短めです。
そして、俺達は駆けていた。
目の前に広がるのは一寸先さえ見えない暗闇。
「はぁ、はぁ」
足元に出来ているのは光の道。
ホウライで出来た橋だ。ホウライ達が発する僅かな光源を頼りに俺達は前へと駆ける。
「はぁ、はぁ」
聞こえるのは互いの荒い呼吸音とバクバクと音をたてる自身の心音。
疲労がピークに達している。
何しろ、戦闘に次ぐ戦闘に、最後は、信頼していたダンガガの豹変だ。
堪えないはずがない。このまますべてを投げ出してしまいたい衝動。しかし、そうする訳にはいかない。
自身の手と繋がっているサーシャの手。
腕から伝わる守るべき者の熱が、俺を前へと足を進める。
一体自分はどこにいるのだろう。
この暗闇の中、方向感覚を失いつつある。
しかし、この足を止めることは出来ない。何故なら、感じるのだ。
遠く、僅かに感じるダンガガの気配。まだ、距離があるが、しかし次第にその気配は近づいて来ている。
普段の俺なら、こうやって無様に逃げ回るくらいなら迎え撃つという選択をしたのかもしれない。
だけど、相手はダンガガだ。
幼い頃から俺に戦う術を教えてくれた師匠のような存在。
剣を交えるということは、何らかの結果を伴うということだ。
「クリス様」
……今の俺には結論を出す勇気がなかった。
先延ばしにしたいという思いがこの逃走。全くもって男らしくない。
だけど、どうすりゃいいんだ?
ダンガガを巣食うあの黒い物体。あれが何か解らない。
しかし、あれだけ深く根付いているものを除去することなど出来やしない。
体の半分も根付いているやつだ。それを取り除いたとしてダンガガが生きていられるとは限らない。
では、殺すか?
無理だ。まずダンガガに勝つというビジョンが浮かばないし、それ以前に、師匠であり、兄貴のような存在だった彼を殺すことなど考えたくもない。
「クリス様!」
その声に、俺ははっとする。
「なんだ?サーシャ」
「あの、あちらを見てください」
サーシャの刺した指の先。あそこにわずかながらの光源が目に入る。
鬼火か?いや、あの光は動いていない。
誰かが野営をしているのだ。ここらへんで野営が出来る場所は少ない。
根の木が生えている場所か、根の木が密集する場所、根の森しかありえない。
「このままだと亡者に襲われるのも時間の問題です。あちらに向かうのはどうでしょう?」
「だが……」
そうなると、あそこにいる人たちをまきぞいにする可能性がある。
「クリス様。私達の目的はなんですか?オリビア様と合流することです。そして、この沼地は火を炊ける場所は少ない、ということは……」
「あそこにおかん達がいる可能性が高い、ということか」
一瞬の躊躇。しかし、サーシャの姿を見る。
泥だらけの燕尾服。普段の切れ目の瞳にもあまり力がない。
恐らく、自分も大差無いだろう。限界は近い、このままでは亡者の仲間入りも待ったなしだ。
「……行くぞ」
すでに選択する余地もない。
俺達は、光源目掛けて走り出す。
近づくにつれ、深い闇の中に僅かな陰影が浮かび上がってくる。
天に伸びる黒い影。一つではない。三つ四つ、と近づくにつれてその数は増していく。
あらゆるものを飲み込んだこの底なし沼。
この平坦な沼地が続くこの地で、このような影がある場所など一箇所しかない。
根の森。
「はっ!」
口元が緩む。
あそこにたどり着いたからといって事態が解決するとは限らない。
しかし、あそこにいるのは勇者と言われるおかんと、王国でトップクラスの戦闘能力をもつオヤジがいる。
あの二人がいれば、何とかなる。
そう信じて、火の元に向かい、そして……
「……誰だ!」
火の元にいた奴らに警戒心あらわに剣を向けられる。
そこにいるのは巨大な甲冑と筋肉ムキムキの戦士の一行。
誰もが疲れきった様子で、しかし目はギンギンに殺気を放っている。
白い鎧を除けば統一された服装をしていることから、何らかの組織に属する者たちだろう。
しかし、その服装は王国騎士のものでも帝国騎士のものでもない。
「あなた方は、一体?」
俺の言葉に、白い騎士が一歩私に近づく。
「それはこっちの台詞でもあるのだけど、うん、その前に……」
近くに見ると大きい。180は越している。もしかしたら2mあるかもしれないその巨体。
その体格のいい大男は私の前に跪き、そして……
「おねーさま、とお呼びしてよろしいでしょうか?」
意味不明な言葉を吐き出した。
社員旅行や同人ゲーム作成やらで時間が取れない状況です。
できる限り更新していきたいと思います。




