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呪いの魔剣と空飛ぶ騎士(オリビア視点)



 戦いは終わりへと近づいていた。

 根が天へと延びる奇怪な森。

 動きを阻害する泥濘と、不規則に地面を這う根。

 しかし、それはわらわ達には関係ない。


 ずん……ずん、と隊列を作り前へ前へと進む巨大な泥の人形達。

 先までやかましく響いていた銃とかいう武器の乾いた爆発音も減りつつある。どうやら、泥の人形相手には効果は薄かったようだ。


 成程、確かに強力な武器のようだ。

 しかし、破壊しても次から次へと投入される泥のゴーレム達相手には荷が重かったようじゃの。

 

 勇者が作るゴーレムにしては、なんの仕掛けのないシンプルなゴーレム。

 まぁ、言い訳をするならば、基本ゴーレムは工房で長い時間をかけてつくるのが基本。

 所詮は即席のゴーレム。少々、図体のでかいでくの坊の数をそろえるのが精一杯だ。


「い、いやー、これでも十分だと思うよ?」


 横で旦那が苦笑している。

 ふむ?精々、3mくらいの泥人形。銃とかいうのが貫通力あるのが解ったので表面を少々加工したのを、ざっと100体。

 この程度の雑魚を倒せぬとは、帝国の精鋭とは聞いて呆れる。


 無論、暗殺だのを得意とする影の部隊のようじゃから、直接戦闘能力は低い。低いのは解るが、これはないじゃろう?


「まぁ、暗殺とか誘拐をメインで行っている部隊みたいだからねぇ~」

 そう言って、旦那は宝剣に手を添える。

 たらり、と指先からこぼれる血液が、宝剣に吸われ、そして……


 木々(?)の影から、ぎゃあ、と悲鳴が上がる。

 ばたり、と黒服の男が倒れる。

 ああ、旦那様の魔術の射程距離内に隠れていたようだ。

 残念じゃの。旦那様の能力は、『見え無き悪霊のインビジブルエッジ

 詠唱を必要とせず、ただ流した血の量に応じて、相手を傷つけるというもの。

 何かを飛ばして傷をつけるとかとは違う。血を流した段階で相手は傷を負うというチートとしか言いようのない能力。

 正直、旦那様と一対一で戦うとなれば、接近戦に持ち込まれた段階でアウトじゃ。

 もしわらわがこれと対抗するとしたら遠距離からゴーレムを大量に作り出して物量で押しつぶす。

 これくらいしか攻略法が思いつかん。


 しかし、味方であれば、これほど頼もしい能力はない。

 ゴーレムで周囲を一掃。ゴーレム使いにとって弱点ともいえる接近戦に持ち込まれても旦那様の接近戦殺しともいえる能力で切り裂いて貰う。

 このコンボで、銃で武装した影達を次々へと殲滅していった訳じゃが……


「ええい、まだ倒しきれないのか」

 影達の動きが変わった。果敢に攻撃してきた影達が後退を開始したのだ。

 牽制に銃を放つ以外は逃げ回るのみ。数が揃っていてもうすのろのゴーレムでは殲滅速度はがくんと落ちる。

 

 それは、影達にとって勝ちを捨てる行為。確かに消耗は減るが、攻めを無くせばジリジリと追い詰められることが解っているじゃろうに……

「時間稼ぎだろうね」

 何故?そんなの解り切っておる。

 今回の難民の一件、そのものが罠なのじゃろう。

 おそらく目的はクリスの確保。難民共を使ってクリスを捕らえ、わらわ達に対する人質にするつもりなのじゃろう。


 ゆえに、魔力の限りゴーレムを作り、一気に押す潰すという戦法に出たのじゃがこう動かれては効率が悪い。

 数で圧倒する戦術は相手が果敢に攻めてくる相手ならば有効じゃが、こうも分散されると効率が悪い。

 ならば……

「旦那様」

「うん、リスクを負うかたちになるけど……」

「仕方あるまい。ここで時間を稼がれるよりマシじゃ」

 ダンナ様を前線に出じ殲滅する。


 手持ちの札はこの泥のゴーレムのみ。普段であれば護衛用のゴーレムを用意するが、それが無い状況下だと接近戦に持ち込まれるとわらわはとても脆い。

 だから、旦那様に護衛をしてもらっていたが、恐らく村のほうにも手が回っていると考えるのは妥当。

 あちらにはタンガガよダダがいるが、何を仕掛けているか解らない。ならば、一刻も早く村に戻る必要がある。

 リスクを犯してでも、早くここを切り上げなくては……


「……我が身を巣くう呪いをもって、我が騎士道を体現せん」


 それは、宝剣の封印を解くための鍵となる詠唱。

 鞘あふれだす悍ましい気配。

 旦那様が宝剣を鞘から引き抜く。

 鞘から現れるのは、黄金の輝き。見る者魅了する美しいその剣身。不自然にまでに目を引き付けるそれは使い手を破滅に導く呪いの剣。

 魔剣ティルヴィング。

 使い手に勝利と、そして破滅を齎すとされるその剣を構え、そして……


『きゅいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!』


 謎の鳴き声が響き渡る。

 それは根の森の中央。大穴のあるほうから。

 そこから飛び出してきたのは、ここからでも観測できる程、巨大なミミズ。

 そして、それに押し出されるように、緑色の甲冑が、こちらめがけて飛んでくる。

 巨大な盾に、巨大な剣。見事な装飾の鎧の見るからに騎士といったその姿。


「あ~~~れ~~~~~~」

 

 ……それが、間延びした声と共に手足をバタバタさせながら飛んでくる。

 ぐるぐると回転しながらこちらに飛んできて、頭から地面へ突っ込む。

 

 バシャ……


 泥濘に頭を突っ込み、脚をバタバタさせている騎士殿(仮)。

「何、これ?」

「さ、さあ?」

 旦那様とわらわの間に微妙な空気が流れたのであった。

前回ナナシってキャラを出しましたが、某女神転生のキャラと被った感……

ともあれ、ゲームのナナシさんは技・速特化型でやっております。銃さいこーーー


最近展開に迷い気味。ご意見等あれば、感想いただけると助かります~。

さ、催促じゃないよ?

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