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とある少女の旅立ち(視点????)

視点が大きく変わります。


視点『?????』


 

 今日は旅立ちの日だった。

 そこは森の中、葉が落ちた木々の間から見えるのは、澄み切った青い空。

 遮るもののない青い空間は、冬らしくて私は好きだ。


「あのー、話聞いてますかー」

 はっ!ついぼんやりしてしまった。

 どれもこれも『ナナシ』様の話が長いのが悪い。

 顔を『ナナシ』様に向ける。

 そこにいるのは困ったような表情を浮かべる一人の幼女。

 7歳程度だろうか。大き目な瞳が特徴で、目鼻立ちも整っているまさに美少女といえる存在。

 肌は白く、というか透き通って反対の風景が見えてしまっているのはご愛敬。

 幽霊さんだから仕方ない。話が長いのも百年単位で生きるロりババアだから仕方が……


「私の年齢については考えるのも禁止ですよ」


 うぐ、さすがはロりババア、こっちの考えも読むとは……


「怒りますよ?」


 ……すみません。


「姉さん。いい加減にしてください。姉さんのせいで話が全く進まないではないですか」

 そう言うのは、私の弟。

 金髪の髪をオールバックにしたエルフの少年。普段は姉貴と呼んでいるが、『ナナシ』様の手前格好つけているようだ。


「はぁ、まぁ、いいです。いいですか、あなた方使節団の目的は……」

「あちら側の情勢確認及び、七部族連合に親書を届けること」

「そう、ここからでは第四大陸の情勢は解りにくいです。貴方達は比較的情勢の落ち着いているハイロード王国へ行き、そこから情報を集めながら北上。七部族連合を目指します」

 確か昔教えてもらった。ハイロード王国は、第四大陸の真ん中あたりに位置する王国でダンジョン化した森や山に囲まれた天然の要塞。

 七部族連合は、第四大陸の最北に位置する魔族領。『暴食』の魔王が作ったとされる王国で、人や亜人、魔族が平和に暮らす国だと聞いている。

「数年前の情報だとアルタニア帝国とかいう人類至上主義を掲げる国が拡大し始めたと聞きますが、もっとも南にある国。あなた方の向かう先とは逆方向。ですので問題ないと思いますが一応気に留めておいてください」


「お任せを。ナナシ様。何があろうとお二方には指一本触れさせませんゆえ」

 背後から声がする。

 そこにいるのは、筋肉ダルマの騎士ヨハン。

 彼の配下とも言える筋肉ダルマの集団が綺麗に列を作っている。

 その数、10名。少ないが、これ以上人が集まっても目立つだけだ。


 気がめいる。

 何かって? なんでこうも野郎。しかも筋肉ダルマばかり集まっているのだろう。

 女の人は一人もいない。

 男なんて触っても硬いし、臭い。その点女の子はいい。柔らかいし、いい匂いがする。

「うん、チェンジで」

 そういうと弟が頭を叩いてくる。

 むかついたので、仕返しに頭を叩き返す。

 ずごん、という音と共に、弟が顔面から地面に叩きつけられる。


「あ、やば」

「姉貴!何しやがる!」

「ん? お返し」

「あんた、馬鹿力なんだから手加減しろよ! 本当、エルフらしくないよな!お前!」

「ん。エルフ違う。私、メス豚」

 私の血は、エルフ以外にももう一つの血が混じっている。

 それはオークさんの血。豚さんの血が入っているせいか、力の加減を間違えるとこのようになる。


 その様子に、騎士の人たちも苦笑を浮かべている。

 あまりそこに緊張感は無い。

 まぁ、そうだろう。これは難しい任務ではない。南部は荒れ始めているとはいえ、帝国一国が騒いでいるだけ、しかも帝国と大層な名称がついている割にどこにでもありそうな小国にしか過ぎない。

 中央部、北部に影響を与える程ではない。

 つまりは、これは将来、部族を率いることになる弟を七部族連合に挨拶する為だけの旅行。情報収集はついでなのだ。

 いくら私たちにとって未開の地であっても、私達二人と騎士団がついているのだ。そうそう遅れをとることは無い。


「あはは、まぁ、色々言いたいことはありますが、時間です。ゲートが開きますよ」


 そうナナシがいうと、森がざわめき始める。

 吹き荒れる風。しかし、それは自然に発生する風ではない。

 視界の先には、黒い点。

 そこに向かって、枯れ葉が吸い込まれていく。

 それに比例するように、穴は大きく広がっていき、最後には直径3mを超える巨大な球体となる。


「騎士団。前へ!」

 ヨハンの言葉と共に騎士達が穴へと飛び込んでいく。

「それでは、お二方。私達が先導します。ついてきてください」

 ヨハンが穴へ消えた後、私達は穴へと近づく。


 ごうごう、と響く風の音。それに負けないように大きな声を上げる。


「行ってくる。ナナシ! お土産買ってくるから」


「あははは、無茶はしたらダメですよー」


 そう言って、私達は穴へと飛び込む。

 そして、私達の体は落ちていく。


 それは木の根で出来たトンネル。

 根は、青く、赤く、光を放ち、四方を明るく照らしている。


 途中、いくつか分岐点があるがまるで、決まったレールの上を走るかのように体は右へ左へと移動し決まった方向へ進んでいく。


 十分くらい落下しただろうか。


 突然、視界が開ける。

 

 そこは、四方が土の壁に囲まれた空間。

 背後には真黒なゲートがあり、上にはどんよりとした空。

 騎士達は、どこか緊張した面持で集まっている。


「?」

 

 彼らはこの地に何度も来たことがある。

 だから、出発する際は、緊張しつつも張りつめきっていない程良い緊張感を保っていた。

 しかし、今は違う。

 陣形を整え、武器をいつでも抜けるよう腰に手を当てている。

 臨戦態勢。


「……姉貴。上」


 弟の言葉に上へ意識を向ける。

 剣の音に爆発音。巨大な何かが歩くことで響く振動。

 そして……



「うわああああああああああああああああああああああああ」


 悲鳴を上げて、何かが降ってくる。

 それは黒ずくめの人間。それは地面にぶつかり、そのまま肉塊となる。


「大丈夫ですか?」

 筋肉騎士のヨハンが私に近づいてくる。

 しかし、そんなことはどうでもいい。背後にあった巨大なゲート。

 それがしぼんで、消え失せる。


「……ゲート」

「閉じましたな」

「次、開くのは?」

「この時期はゲートが開きやすい時期ではありますが、そうですな。一日後ですな」

 それを聞き、私はうん、と首を降る。

「結構ピンチ?」

 下を見る、地面の下を移動する何かの音。

 血の匂いと戦いの気配に誘われ、何かが近づいてくるのが解る。


 ともあれ、私はガウス沼地の中心部にあるとされる『根の森』へと降り立ったのであった。


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