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帝銃騎の息子 1

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

いきなり短くてすみません。石は、石は投げないでっ

ともあれ、450PT突破。ここ2日間の上昇率にびくびくしているマイナーです。

 

 その言葉に、俺の背筋ゾクッと冷えあがる。

 そのねっとりとした目、劣情と怒りと歓喜。それらが混じりあったどこか狂気じみたその目。

 初めて向けられた未知の視線に体が勝手にすくみ上る。

 こんな目をした奴に捕まればどうなるか、考えただけでぞっとする。

『おい、現実逃避するな。それだけじゃないだろう?』


 ……いわれなくても解っている。

 しかし、逃避したくなる気持ちも理解して欲しい。


 勝てない。


 その姿を見た時、察してしまった。


 これがあのボンボンの力を見せた姿。

 初めて見た時は、どこにでもいそうな目が厭らしいだけのボンボンだった。

 しかし、今はどうだ?こうしてみるだけで体が震えてくる。

 その圧倒的なまでの実力差。

 見るだけでわかるガルドなんて小物に見えてくるそんな威圧感。

 本能が訴えかけてくる、こいつには逆らってはいけない、と


「あ……」

 足が半歩後ろへ下がる。

 逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、と

 やかましい程、鳴り響く本能の警報に体が勝手に逃走しようと勝手に動いてしまう。



 アルフレッド・グランイット。

 五帝騎の一角。アーデン・グランイットの跡継。

 ……正直、人目見た時から手に負える相手だと思っていなかった。

 だから、罠にかかった時は、ほっとした。

 

 あの罠は強さとかに関係ない、そう思っていた。

 おかんのゴーレムの一つ。加湿用のゴーレム。あれはゴーレムの核だけの存在で、水を自分の手足のように操るといった異色のゴーレムだ。

 水を、気体にすることも、氷にすることも可能。

 だから、気体化させた水を奴の喉の奥で液体化させ、その場に留まらせたのだ。

 いくら強かろうが、呼吸が出来なければ死ぬ。

 まさに強さとか関係なく殺せる必殺の道具だと思っていたが、まさか二階、丸ごと破壊するとは……

 あれでは、どこにコアを隠そうがひとたまりもないだろう。


 俺は奴の化け物っぷりを甘く見ていた。

「これが、一軍に匹敵する魔術師の系統の力ですか」

「あはは、まさか。私は半人前。しかも我が系統は大多数を相手するには向いていません。が……」

 その目の欲望を隠さずに、彼は笑顔で答える。

「必要であれば、その一軍に匹敵する魔術師とやらも打ち取って見せましょう」

 自信があるのだろう。

 そう言い切る彼に、歯をかみしめる。


「逃げないでいただけると助かります。私も紳士です。抵抗しなければ、乱暴なことは一切しないと誓いますよ?」

 絶対嘘だ。ぐっちょぐっちょのねっちょねっちょにする気満々の眼だ。あれは……


 いくらボンボンであろうと、その受け継がれた血は本物だ。

 鷹の子供は、どんなに弱くとも鷹には違いないのだ。


『どうする逃げるか?逃げるだけなら何とかなるかもしれん』

 その提案は、俺の中に甘くしみ込んでくる。

 ああ、魅力的だ。どうせ勝てないのだ。なら保身に走って何が悪い。

 大体、あんな目をした奴に捕まったら何をされるか解らない。

 男なんてばれた日には、八つ裂きにされればいいほう。想像もつかない程の苦しみの果てに殺される可能性も否定出来ない。

『いや、案外、坊主への執着を考えれば、本当に嫁にさせられる可能性もあるがな』

 そんなじじいの声に耳を傾ける余裕もない。

 ぐるぐると、様々な思いが駆け巡り、そして……

 

「ク、リス様」

 声がした。

 聞きなれた家族の声。


「お、にげ、ください。足止めは私が」

 振り返るとサーシャが立ち上がろうとしている。

 しかし、足腰に力が入らないのだろう。

 よろよろと立ち上がろうとするその姿。

 その姿に、怒りがこみあげてくる。サーシャでも、アルフレッドでもなく、この情けない自分自身に


 何をやっているのだ。自分はっ!

 サーシャを見捨てて、逃げる? 領民を、ダンガガをダダを、見捨てて?

 馬鹿か! そこまでして生き残りたいのか?俺は!


 体は震える。仕方がない。所詮は俺も動物、本能からの恐れとは抑えることは出来ない。

 が、乗り越えることは出来る。


 だから、前へ。

 半歩下がった足を前へと踏み出す。

「クリス様!」

「ありがとう。サーシャ、けど、守られてばかりってーのは俺の趣味じゃない」

 その言葉に、目の前の男が口を開けて笑う


「あはははははは! 逆らうというのですか?力の差を知って? すばらしい!それでこそ! それでこそ我が伴侶になるに相応しいっ!」

「残念ですが私はあなたのものになるつもりはありません」

 そういっても男の笑みは深くなるばかり。

 ああ、醜悪だ。欲望に取りつかれた人間とはこうまで醜いものなのだろうか?

 顔が整っている分、表面に出る醜さは見るに堪えないレベルだ。

「ええ、ええ。それでいいのです。あなたの大事なものを奪い、尊厳を奪い。追い詰め、そして最後に私に縋り付いてくる。その光景を想像しただけで震えが止まりません!

 だから、抵抗してください!思う存分。そのすべてを私が打ち砕いて見せましょう」


 そう言って、彼が手を上げる。

 その瞬間、彼の周りにあった瓦礫や家財道具が、音を立てて吹き飛ぶ。


「五帝騎が一、帝銃騎アーデン・グランイットの息子。アルフレッド・グランイット。この技、その目に焼き付けるがいい!」

 そうして、戦いが始まる。俺にとって絶望的な戦力差の戦いが……

 


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