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分断2(ガルド視点)

本日、二度目の更新です

 俺の名前はガルド。

 ウェルウォード王国で活動していたB級冒険者だ。

 祖国に雇われ活動していた俺は、国が壊滅し、ギルドもゴタゴタ。仕事しようにも仕事が無い状況。

 このまま盗賊にでもなるかってところで、俺はアルフレッドとかいう帝国貴族に拾われた訳だ。

 

 仕事の内容は盗賊より酷いが、ダンジョン内で同業者をこっそりぶっ殺し、装備品を奪ったりしてきた身だ。別に今更傷つく良心など残っちゃいねぇ。

 何より、帝国の繁栄の為なら多少の犠牲もしゃーないとも思ってる。

 どうせ、ギルドにも色々バレかけていた訳だし渡り船っちゃ、渡り船だ。


 そんな感じで、お人好しの領主を騙し、後は、世間知らずのお嬢様をとっ捕まえてお仕事終了……とか思っていたら、あのアマ予想外にも抵抗してきやがった。


 即席の罠で、兵士一人死亡。んで、見事戦力を分断させられた、という訳だ。


 とはいえ、所詮は餓鬼の浅知恵。こちらも戦力分断させられたが、それはあっちも同じこと。

 ならば、堂々とその罠を食いちぎって、あの餓鬼を後悔させてやる。


 そう、あの時の俺は、そんなことを考えていた。

 その餓鬼の浅知恵にどっぷりと浸かっちまってるなんて、俺は考えもしなかったんだ。



◆□◆□



「氷結結界!!」

 俺は自身の固有魔術を発動させる。

 どこにでもある氷を操る魔術。固有魔術としては在り来たりで、しかしそれゆえ汎用性の高い魔術だ。

 目の前に出来る巨大な氷の壁。

 飛んできた矢が、氷にあたり、弾かれる。

「やれやれ、ボンボンはこらえ性がねぇなぁ」

 雇い主が、あのお嬢を追いかけて、階段を駆け上がっていくのを見て、小さく笑う。

「で、見事戦力を分断させられた訳だが、大将どうする?」

「まぁ、二人でやるっきゃないだろうが、しかし」

 ちらりと、氷の壁から顔を出そうとすると容赦なく矢が飛んでくる。

 

「うぇ、こええ。なかなかの腕だな」

「ああ、魔術を使っていない割にはいい命中制度だぜ。大将、助かったぜ。壁無かったらお陀仏だった」

 距離にして80m程か。屋敷の中心を貫く長い廊下。玄関の両脇には、二階にあがる階段があるが、その通路は一直線。遮蔽物は一切ない。

 その真っ直ぐな通路の先に狙撃手がいる。狙撃手の前には、家財道具で作られた壁。

 明らかにこちらの銃を意識して作られたものだ。

(つーか、なんで、銃のことがバレている?)

 あの領主達は、これがどういった武器なのか全く検討のついていない様子だった。

 まぁ、当たり前の話だ。この大陸には無い概念で作られた魔術を必要としない兵器だ。

 確かに、魔術を使わない兵器ってーのも確かに存在する。すべての人間が魔術を十全に扱えるかっつーと答えはNOだ。

 しかし、魔術なんて便利な代物がある以上、どうしても最後はそこに頼ってしまう。魔術を使わずして扱える兵器ってーのは時代遅れの骨董品でしかない。

 だが、これはなんだ? 俺の知らない概念で作られた魔術を必要としない兵器。こんなの見たことも聞いたことも無い。

 

 初めてこの兵器を見た時の衝撃は今でも覚えている。

 正直、体が震えた。俺もB級の冒険者だ。この武器で武装した雑兵相手なら3、4人程度なら相手が出来るだろう。

 だが、5人、6人となればどうか?答えはNOだ。B級でさえそれだ。その他大多数のB級以下の冒険者はこの兵器の前では狩られるのを待つ獲物でしかない。

 もしこの兵器が出回り始またら、恐らくこの社会構造は思いっきり変わるだろうな。

 

 まぁ、だが、それは今、俺達の考えることじゃあない。

 B級の俺にとっては、まぁ魔力を消費しないで一定の効果を出す便利なサイド武器ってわけだ。


「んじゃ、ま。やりますか」

「おうよ!」

 そう、相棒に笑いかけると同時に、壁がはじけ飛ぶ。

「そーらよっと!」

 弓を構える狙撃手に対し、銃を乱射する。

 暗闇に咲く火花が、俺達の姿を浮かび上がらせる。

 しかし、関係ない。相手はこの武器がどんなものか理解しているようだ。 

 なら、この銃の音がしている間は、狙撃が出来ないはず。


 しかし、相手もそれを想定していたようだ。


「大将!!」

 

 1本、2本、3本と

 天井スレスレの高さで打ち上げられた矢。

 それが俺に目掛けて降り注いでくる。

「はっ!」

 そうだよな。元々、弓矢っつーのは、上に向かって射つものだ。

 このような天井のある家内だと、直線で射たざる得ないだろうが、だからと言って上に射ってはいけないという訳ではない。

 命中精度が悪いとは言え、銃の前に姿を晒すのは危険。ならば、ということで遮蔽物に隠れたまま、斜め上に向けて矢を放ったのだろう。

 それにしちゃあ、しっかり俺目掛けて降ってくるが、ま、偶然か。狙撃手の勘がいいのだろう。

 さて、肝心の俺はというと右手は銃が握られたまま、残ったのは左手のみ。まぁ、見ての通りピンチといった訳だが……

「だが、関係ねぇ!」

 左手で剣を握り、そして……

「おらぁ、元々、双剣使いなんだよっ!」

 魔術を発動させながら、剣を振るう。

 吹き荒れる吹雪。矢が猛風に煽られ、流れを変える。


「はっ!」

 

 と、気が緩んだ矢先。

 その風を割いて、一つの影が降ってきた。

「あああああああああ!!!」

 手に持ったのは棍。

 金髪碧眼、恐ろしい程整った容姿にドレス姿。

 そう、こいつは……

「なん、で!てめぇがここにいる!」


 クリス=H=ウェストロード。

 ここにいないはずの彼女の姿に焦りを感じつつ、俺は剣を振るった

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