0話 とある傭兵の生涯
※男の娘ものですが┌(┌^o^)┐ではありません(汗
聞こえるのは、風が吹く高い声と舞い上がる砂の音。
視界に広がるのは灼熱の太陽が照らす、金に輝く砂漠の風景。
喉が渇く。体の水分を奪っていくその忌々しい太陽を仰ぎ見る。
一歩一歩進むが、その足は重い。まるで、足が鉛の塊になったかのようだ。
ゆっくりと遅遅とした足取り。しかし、その足は止まることなく目的地へと進んでいく。
「みんな、大丈夫か?」
そういって背後を振り返ると、そこには誰もいない。
そんな自分に小さく苦笑する。
そうだ。もう、自分しかいないのだ。
私こと、オーファン・ターナーは、世界各地の戦場を渡り歩いた傭兵だ。
小さな規模であるが、傭兵団を率いて、戦場を渡り歩いて来た。
目的は一つ。世界各地で戦争の火種を生み出す『色欲』の魔王を倒す為だ。
小さな規模の傭兵団にしては、活躍したほうだと思う。
固い絆で結ばれた少数精鋭の傭兵団。過去には魔王を後一歩まで追い詰めたこともある。
しかし、その結果として魔王に眼を付けられ、結果としてはこの通り。
一人、また一人と仲間を失い。気がついたら私一人になったというわけだ。
砂丘で出来た日陰に入り、体を休める。
水筒を取り出し、残り少ない水を口に含む。
体が水を求め、水筒の中身を飲み干したい欲求が芽生えるが我慢する。
水は計画的に分散させてきた。残りの量で解るとおり、目的地である魔王のアジトまでもう少しだ。
帰りの分は用意していない。
帰りの分を担いで動ける程、体力が残っているわけでも無いし、元々生きて帰るつもりなどない。
こんな身体だ。どうせ、この砂漠に足を踏み入れた段階で、死ぬことは確定しているのだ。
ジンジンと痛みを自己主張する顔をガリ、と掻く。
体は傷だらけ、包帯で覆った右半分の顔は火傷で醜く爛れ、しまいには、左手は切り落とされる始末。
満身創痍。そうとしか言いようがない。
すでに戦える体ではない。安静に暮らせばそこそこ長生き出来るだろうが、ベットの上で朽ち果てていくのを待つのなら魔王と刺し違えるつもりだ。
どうせ、心配する友もいない。精々、病院の商売人どもが、金づるが居なくなったことに気づき慌てる程度だろうか。
いけ好かない彼らの顔を想像し、くっと顔を歪める。
ゆっくりと起き上がり、再び足を進める。
諦めの悪い本能が、少しでも生存率を上げる為、休めと叫ぶが無視だ。
これ以上休んだら、起き上がる気力を失い。砂に埋もれてしまうだろう。
再び一歩、一歩と足を進める。
仲間達、そして焼き払われた故郷の人々の仇を討つことだけを考え、只管前へと進む。
暗い欲求に顔を歪めながらも、どこかな自分が現状を分析する。
恐らく私では魔王を倒せないだろう。
それは仲間が揃った状態。怪我一つない身体だったとしても結果は同じだ。
幾度と魔王とその軍勢と対峙した結果からの冷静な分析だ。
魔王と倒す為に様々な物を犠牲にしてきた。
かつての名前を捨て、魔王を倒すべく研究を続けるターナー家の養子となった若き時代。
ターナー家は、魔術の名家の一つだ。魔王を倒すべく特化した魔術を研究し続け、その技を私が引き継いだ。
しかし、魔術の適正が無い私はその技を生かしきれずにいる。
ぐるるるるるるる、と獣のうなり声が耳に入る。
顔を上げると、そこには、二足歩行をした大柄な狼の群れ。
狼人。魔王の臣下たる獣人共だ。
「この距離まで気づかないとは、私も焼きが回ったものだ」
小さく苦笑し、人差し指をその軍勢に向け、意識を集中させ、そして……
「魔弾よ。穿て」
発動のキーワードとなる言葉と共に魔術が発動する。
ダン、と銃弾のように放たれた一撃は、先頭に立っていた獣人に当たり、同時に崩れ落ちる。
ドサ、と砂の音共に、戦いの幕が開ける。
これで残された道は倒れるまで前へ進むのみとなった。
最早、余計な雑念を持つ必要はない。ただ、身体が動くまで暴れまわるまでだ。
だが、最後にふと思う。
せめて、せめてこの身体がターナー家の魔術に高い適正を持っていれば違う結果になっていただろうに……
いや、私が高い適正を持っていなくてもいい。後継者さえいれば、この魔術を伝承させることが出来きたはずなのに、と
お久しぶりです。
ちょっと長編書きたくなったので投稿させていただきました。
頑張って投稿していきたいのでよろしくお願いします。




