表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔天創記 (五)  作者: ちゃすけ丸
第16章
91/107

~ 90 ~

 しばらくした後、集合場所に現れたのは大柄な青年ブライトだった。



 彼は旅に必要な荷物を山ほど詰め込んだ大きな袋を肩に担ぎながらマリアンの下へと駆け寄ると「おはよう」と声をかける。



 そして安堵の表情を浮かべながら「早く出てきて正解だったよ」と続けた。



「おはようございます、ブライトさん。 約束の時間まで、まだ時間があるのに、もうお集まりになるなんて…… こう言っては失礼ですが、いつもギリギリにいらっしゃるブライトさんらしくありませんね。 もしかしてノアさんの為に意気込んでいらっしゃいますか?」



 遠くを眺めていた彼女だったが、相手の存在に気がつくと笑みを浮かべて言葉を返した。



「いや、そんな意気込みは無いんだけど…… 実は朝一番にマリアンちゃんに謝っておきたい事があってさ。 きっとマリアンちゃんなら誰よりも早く集合場所に居ると思って走ってきたんだよね」



「私に謝りたいことですか?」



 頷いたブライトは珍しく神妙な面持ちで話し始める。



「実は昨日の朝、俺に打ち明けてくれた事をフィーネに話しちゃったんだよね。 思い悩んでいる事を本人の許可を取らずに他人に話すのは良くないことだと思ってさ。 彼女に何か変な事を言われたら、それは俺が話したせいだから…… ごめん」



 彼が深々と頭を下げるとマリアンは慌てた。



「そ、そんな! 頭を上げてください! そのような事で頭を下げられてしまっては逆に困ってしまいます。 それに、その事は既にフィーネさんから聞いてますから」



「……え? 知っているの?」



「はい。 実は昨夜遅くフィーネさんと話す機会がありまして、そこでブライトさんを脅して聞き出したと聞いているのです」



「……脅して?」



「そうです。 だから私、ブライトさんが怪我をされていないか心配でした。 私の事なんかで怪我をされてしまったら本当にどうお詫びしたら良いのか分かりません。 大丈夫でしたか?」



「大丈夫も何も……」



 一瞬沈黙したブライトだったが、すぐに次の言葉を発する。



「マリアンちゃん、俺を殴ってくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ