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「自尊心が強そうなあなたが小さかったとは言え大泣きしたなんて恥ずかしい昔話をすると言うことは、ちょっとぐらい信じても良さそうに思えてきたわ。 でも、今の話だけではあなたが盲目的に兄の力を信じていることとは結びつかない。 まだ何か理由があるんじゃないかしら?」
「それは、学校で勉強すればするほど、あの時のお兄ちゃんが使った精霊術が如何に凄いモノだったのかが解ってきたからよ。 勉強してもたどり着けない領域にお兄ちゃんは学校に通う前から辿り着いている。 この事実に期待しない人が居るとでも思う!?」
「精霊術に縁が無い私には、あなたが興奮気味に話す理由が分からないのだけれど、とりあえず彼の潜在能力が高そうだということは解ったわ。 後はその力が何故、戦闘で発揮されないのかが気になるところね」
「それは…… きっと、お兄ちゃんが本気を出していないから……」
答えるものの伏せ目がちになったリノの表情にフィーネは「そこは本当に知らなさそうね」と呟くと、徐に泉から立ち上がった。
泉を出ようとする彼女に対して大人しく浸かっていたリルが問いかける。
「もう出るですか?」
「面白い話も聞けたし、やる事も出来たしね。 あなたも出たら?」
「リルはまだ浸かっているです。 何ならこのままここで一夜を明かしても良いぐらいです」
「それはあなたの勝手だけど、茹で猫になるかもしれないと助言しておいてあげるわ」
「そんな事にはならないです」
「あら、そう。 それじゃあ、ごゆっくり」
フィーネは泉から出ると近くの岩の上に置いておいたタオルを身体に巻き付けてから歩き出す。
その様子にリノが「今更隠しても意味ないから!」と叫ぶと、彼女は「私の身体を無銭で見ることができる男はレイヴァンと、これから死ぬ人間だけなの」と答えた。
意味が解らず首を傾げる三人を無視してフィーネは出入り口とは真逆に足を進めた。




