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「何について聞きたいの?」
怪訝な表情を浮かべるリノに向かってフィーネは「そんなに警戒しないで。 大したことではないわ」と切り出した。
笑顔を見せてくる彼女に怪しさは増すばかりだが、断る理由が無く今度はリノが無言で続きを促すと、フィーネは「あなたの兄について知りたいの」と言った。
「お兄ちゃんのことですって?」
予想していた質問と乖離があったのか、驚いた表情を浮かべるリノに対してフィーネは淡々と続ける。
「あなたは異様なまでに兄の力を信じている。 それはどうして?」
「妹がお兄ちゃんの事を思ってはいけないと言うの?」
「そうは言っていないわ。 ただ今日一日彼の行動を見てきたけれど、悪魔と渡り合える力を持ち合わせているようには見えない。 それどころか対峙する度胸すら無い。 彼がどれだけ本気を出したとしても下級悪魔一匹たりとも倒すことができない。 そんな優男にしか見えないのよ。 それなのに、あなたは随分と兄を信じているみたい」
「それは、あなたがお兄ちゃんの事を何も知らないだけよ」
「そうね。 だから知りたいの。 話してくれるかしら?」
鋭い視線を向けられたリノはしばらく唸った後「しょうがないから話してあげるわ」と答えた。




