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魔天創記 (五)  作者: ちゃすけ丸
第11章
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~ 54 ~

 再度「どうするの?」と尋ねると彼は助けを求め腹黒青年と大男を見つめた。



 それに応えるように二人が口を開く。



「俺たちはノアについて行き、悪魔封印の横取りをするだけだから、どの道を通ろうが関係ないことだ」



「たしかに。 それにトロールが出たとしてもレイヴァンとフィーネが居れば何とかなるだろうし、そこまで詳細なギルドからの情報が出ているなら、他のハンターたちも討伐に来ているだろうから、逆に安全だったりするかもしれないよな」



「そうですよね。 やはり時間が惜しいですし最短の道を使いましょう」



 兄が頷くのと同時に腹黒青年は何か思いついた様子で慌てて声を上げた。



「他のハンターたちが試験の対象者である学生と知らないで助力した場合、問題は生じるか?」



「……さぁ、どうかしら」



「ふむ…… シンディ、規則については君が一番詳しそうだから是非教えてもらいたい。 問題は生じるのだろうか?」



「は、はい! レイヴァンさんが仰るとおり、その場合でも部外者が関与すれば落第になります。 課題を完遂するための過程での助力は一切認められていません。 逆に言えば、ワームを封印した帰り道や、先程のノアさんのように目的に向かって行動していない時に助けられた場合は問題にありません」



「なるほど。 教えてくれてありがとう」



「い、いえ……」



「ちょっと! シンディったら、何で重要なことを得体も知れない相手に簡単に話しちゃうのよ!」



「だってレイヴァンさんが急に真剣な表情で私のことを見つめるんですもの」



「それぐらいで怖じ気づいてどうするのよ!」



「違います。 怖じ気づいてなんかいません! ただ……」



 そこまで言うと顔を赤らめたシンディは両手を頬に当て顔を背ける。



「……まさか、こんな腹黒青年に惚れたとでも?」



「レイヴァンさんって、一見すると冷たそうな感じですけど、何気無い所作の一つ一つを見ると女性に対する優しさを垣間見ることができますし、何と言っても凛々しいお顔をされていますから」



「こんな時に、あなたって人は…… シンディ、あなたの悪い癖よ!」



 苛立ちをぶつけている間に、友人を誑かした張本人である腹黒青年は兄との会話を進めていた。



「ノア、君の提案した経路は使わない方が良いかもしれない。 理由は今シンディが話したとおりだ。 もし悪魔との交戦中に他のハンターが駆けつけ君を助けたとでも言われてしまったら失格になってしまう。 ハンターが告げ口をしない限りあり得ないことだが、今は規則に厳しそうな妹がいるからな」



「そう言われたら、そうですね」



「なるべく戦闘を避けられる道を選ぶことだ」



「でしたら、西から回り込むようにして炭鉱に向かいます。 下手をすると半日ほど時間を無駄にしてしまうかもしれませんが、こっちからなら妹たちが目指している精霊の泉のある村もありますし」



 兄が地面に描いた地図に新たな線を加えると、腹黒青年たちはそれを見て頷いた。



 腰を下ろしていた大男が立ち上がり、食事の為に広げていた荷物をまとめ始める。



「ノア、早速出発しようぜ!」



「ブライト、お前は今の話を聞いていたのか? 目的を達成するまで彼への助力は認められないんだぞ」



「……そうだった」



 恐る恐るこちらに顔を向ける大男に向かって盛大にため息をつく。



「それぐらいで失格だなんて騒ぐほど私は小さい人間じゃないわよ!」

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