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魔天創記 (五)  作者: ちゃすけ丸
第8章
44/107

~ 43 ~

「今は生きるか死ぬかって時なんだし、家柄とか爺さんは関係無いよな?」



 ブライトはレイヴァンから同意を得るため顔を横に向けたが、そこに居た彼は目を見開き驚いた表情を浮かべていた。



 珍しく硬直する彼の様子にブライトは訝しみ「どうしたんだよ」と声をかけるが、彼が答えることはなかった。



 流石に変だと思っているとレイヴァンは兄妹に向かって「君達の祖父は、まさか…… クロノスなのか?」と尋ねる。



 彼の質問に対してリノは誇らしげに頷いた。



「流石にロディニアの出身だから知っているみたいね。 そうよ、私たちのお爺ちゃんはロディニア国の丞相にして稀代の精霊術士でもある賢者クロノスなの。 凄いでしょう?」



「サウスローのマテリアル家だと名乗ったから、もしやと思ったが本当に親族だったとは……」



 驚愕するレイヴァンの姿を前にリノは鼻を高くして続ける。



「だから、お兄ちゃんも本気を出せば何だって出来るに決まっているの。 旅のハンターの助けなんて要らないわ!」



「リノ…… 残念だけど、僕が本気を出したところで精霊術は……」



「お兄ちゃんは真剣味が足りないだけよ!」



「だから!」



 再び兄妹の口論が始まろうとした時、それまで驚きの声を漏らしたまま立ち尽くしていたレイヴァンが不意に口を開き話し出した。



「ノア、可能であれば君の手助けをしてあげたかったが、そういう訳にもいかないようだ。 俺たちは自分たちの目的を果たすため出立することにするよ」



「そうですか……」



 ブライトの発言があり、心の中では協力してもらえると考えていたのであろう、レイヴァンの言葉を聞いたノアは心底残念そうな表情を浮かべた。



 それに対してリノは安堵の表情を浮かべる。



 納得がいかないブライトはレイヴァンに詰め寄ろうとするが、三者三様の表情を見ていた発言者本人は真顔で続けた。



「因みに俺たちの目的は君が倒そうとするラヴァワームを横取りして封印することだ」



「……え?」



 声に出して驚いたノアはもちろん妹のリノと友人二名、憤慨していたブライトに傍観していたフィーネ、全員が理解できずにいる中レイヴァンは何食わぬ顔で更に続ける。



「ところで、ラヴァワームは複数体同時に現れたりするのだろうか? もしそうだとしたら実に厄介な話だな。 横取りするにも、ここにいる大男は間が抜けていて、目の前の戦闘に注力していると瀕死に追い込んだ悪魔の封印を頻繁に忘れてしまうのだ」



「それって……」



 ノアが理解するのと同時に彼の妹であるリノもレイヴァンの企みを察したようだ。



 声を荒げ「あなたたちの旅の目的はメフィストフェレスのはずでしょう!」と抗議する。



 対するレイヴァンは笑みを浮かべると「もちろんだとも。 ただ、目的を果たすために旅をしていると何かと金が必要なのだ。 こうして金になる話が目の前に転がっているのに、無視してしまうのは如何なものかと思ってね」と答えた。



「良い年した大人が、そんな見え透いた嘘を言うなんて信じられない! あなたはワームと戦った後、瀕死の相手を意図的に見逃すことで、お兄ちゃんに封印させるの機会を与えるつもりでしょう!」



「嘘だなんてとんでもない。 もし俺が嘘をつき、今君が言ったようなことをすると思うのなら、君たちは俺たちの後を追ってくると良い。 潔白だと言うことを証明しよう」

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