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「実は御館様から伝言を預かって参ったです」
「……伝言?」
「はい」
「内容は?」
「最後の封印は私が解くから手出しは無用とのことです」
「冗談でしょ」
「御館様は冗談をおっしゃるような御方ではございません」
「最後の一つを横取りだなんて図々しいにも程がある」
「メフィストフェレス様は既に五つの封印を解き、多くの同朋を助け出されました。 既に十分な功績がございます。 最後の一つにつきましては……」
「嫌だ」
「メフィストフェレス様!」
「それ以上言ったら、その鼻を削ぎ落とす」
メフィストフェレスの言葉にウコバクは押し黙った。
格上の悪魔に口答えをするのは本意でなかったし、何より目前の相手は言ったことを必ず実行するのだ。
自慢の鼻を失う訳にはいかない。
しばらく沈黙を続けると剣から手を離したメフィストフェレスが尋ねた。
「ベルゼさんは最後の封印について何か情報を得ているのかい?」
「詳しくは存じませんが、このような伝言をされるのですから、おそらくは何かしらの情報は得ているものかと」
「確かにそうだ」
「実際、そうそうたる皆様に指示を出されておいででした」
「それは興味深いね…… よし、決めた。 今からベルゼさんに会いに行こう。 ベルゼさんから最後の封印に関する情報を聞き出して、他の誰よりも先に僕が封印を解放してしまおう。 これで万事解決だ。 我ながら冴えていると思わない?」
屈託のない笑みとは裏腹に凍てつくような瞳で同意を求めるメフィストフェレスに対しウコバクは慌てて「おっしゃるとおりでございます」と答えた。




