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レイヴァンが尋ねると青髪の少女は「相手に素性を尋ねるなら、まずは自分からじゃないかしら?」と返した。
その毅然とした態度は実に頼もしく、その性格は妙に心地良いものだと尋ねた本人は思わず口角を釣り上げた。
「これは失礼を」と恭しく謝罪をしてから自分の名を告げ、続けて旅の目的と現時点での目的地を口にする。
そして最後に「別の場所に二人の旅仲間を待機させているが」と一言添えてから隣にいる二人を紹介した。
一通りの話を聞いた青髪の少女は「あの悪魔を討とうするなんて余程の大物か底抜けの愚者か」と述べた後、名乗った。
「私の名前はリノ・マテリアル。 ロディニア国南都サウスローの王立精霊術学校に通う十四歳よ。 今は卒業試験で精霊の泉に向かっていたところなの」
「あたいはアーシェ・クラフト。 リノと同じ学校に通う十五歳。 同じく泉に向けて冒険中だ。 よろしくな、レイヴァンさん」
火の精霊術を扱えるという赤茶髪の少女は見た目に反することなく男子のような口調で名乗るとレイヴァンに握手を求めた。
彼が快く応じ二人の手が離れたのを見計らって最後の少女が前に進み出る。
肩にかかる長さの金髪の少女はロングスカートの裾を摘みドレープを見せて愛らしくお辞儀をすると「シンディ・ロックウェルと申します。 二人と同じく精霊術学校に通う十五歳です」と名乗った。
口調は大人しく格好も貴族令嬢を彷彿とさせるが、彼女もまた自信に満ちた表情をしている。
きっと彼女も相当な精霊術士に違いないとレイヴァンは感じた。




