~ 16 ~
「おはようございます、ブライトさん」
見れば白を基調とした修道の装束を纏う女性が微笑んでいた。
「……なんだ、マリアンちゃんか。 びっくりさせないでくれよ」
「ご、ごめんなさい」
「あ、いや、そんな真剣に謝らないで。 気がつかなかった俺が悪いんだし」
ブライトは力を抜くと再び腰を下ろす。
「日の出までもう少し時間があるから寝ていれば良いのに」
「この時間に起きる習慣が身についているものですから、どうしても目が覚めてしまって」
「そうなんだ。 だとしても洞穴の中に居た方が安全だと思うけど」
「そう思うのですが……」
珍しく歯切れの悪い返事をするマリアンにブライトは首を傾げた。
「もしかして何かあったのか?」
彼が尋ねると彼女は背筋を伸ばし身体を硬直させた。
余りにも解りやすい反応だったため迷うことなく図星だと解る。
そうなると気になるのは、その何かだ。
「もしかして、それは…… レイヴァンに何か関係があったりするとか?」
詮索するのは流石に悪いと思う部分もありブライトは躊躇いながらマリアンに尋ねる。
すると彼女は目を伏せて口を閉ざしてしまった。
「変なこと聞いたみたいで、ごめん」
「いえ、そんな……」
マリアンが短い言葉を小声で返した後、二人の間には沈黙が訪れた。




