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人々を強引に掻き分けてやってきたのは大きな身体をした五人の男たち。
彼らは皆、鋼を基調とした重厚な鎧を身に纏い、背には大剣と大楯を担いでいた。
一目でハンターだと判る格好の彼らはレイヴァンたちにも「邪魔だ」と言って、その場から立ち退かせる。
輪の中心にたどり着くと先頭にいた一番強面の男が地面に腰を下ろして休んでいる青年に向かって「デカくてヤバい悪魔を目撃したってのは、お前か?」と尋ねた。
「そうだ」と相手が肯定するや否や今度は「どんな悪魔だ?」「何匹だ?」と質問をする。
矢継ぎ早に情報を聞き出した彼は「野郎ども、さっさとトロールを討伐して、日が沈む前から浴びるように酒を飲もうぜ!」と拳を掲げて村の外へと出て行った。
レイヴァンたちは他の四人が続いて出て行くのを呆然と見送っていたが、「何なのよ、あの人たち! いきなり割り込んで来るなんて本当に失礼しちゃうわ!」とリノが憤ると、他の皆も我に返り各々に一瞬の出来事の感想を漏らす。
男たちが林の中に消えるとブライトはレイヴァンに向かってそれとなく尋ねた。
「威勢良く出て行ったけど大丈夫かな?」
「さて、どうだろうな。 とりあえず、装備を見た限りでは郊外に出る大型悪魔を専門にしているようだし、自信もありそうだから大丈夫だろう。 個人的には渡りに船だな。 トロールは彼らに任せて俺たちは旧炭鉱を目指すとしよう」
「任せて良いのかよ? 炭鉱を目指すにしてもトロールが出た分岐路を使うんだろ?」
「餌を獲り尽くした、或いは獲り逃したトロールが、その場所に留まることは考えにくいからな。 今のハンターたちが戦闘に入るなら、おそらく道を外れた林の中のはずだ」
「その間に通り過ぎるって事か?」
「まあ、そういう事だな」
「……なんて言うか、今日のお前さんはやる気を出してるよな。 普段ならメフィストフェレス以外の厄介事は御免だとか言うのにさ」
「トロールが逃げ出す程の悪魔なら、メフィストフェレスに繋がっている可能性があるからな」
「確かに、その可能性について考えてなかったわ」
「それに、俺たちは未知の悪魔を討伐するという目的ができた訳だからノアたちより先に炭鉱へ行って暴れても手助けにならないことになる」
「なるほど!」
「炭鉱に近づいたら索敵。 ラヴァワーム以外の悪魔が居たら、そいつを優先して討伐するぞ。 その際、乱戦になったらワームはお前に任せる。 いつも通りしっかりと封印してくれよ」
レイヴァンの最後の発言の真意を理解したブライトは「もちろん任せておいてくれ。 レイヴァンが戦闘に集中できるように雑魚は一匹たりとも逃したりしねぇよ」と満々の笑みで頷いた。




